万葉集を歌集であるとすると、後世の名づけのような万葉和歌集とでもしたくなる。万葉は万言の葉、よろず言の葉としてみても、開いてみれば序文があるわけでなく、それを記すものが何もないので、漢字ばかりで書かれたなかに、漢文と、日本語和歌があることに気づくと、いろいろと詞を収めているとわかり、その言葉の織り成すものは詩であることがわかる。文学のジャンルでいえば、国文学の韻文だけではないもの、そこにあるのは実は、劇詩である。ただ、それをうたうと、そこに彷彿とするのは、物語であり、綴られたできごとになる。繰り返し編纂を受けたとすれば、すべてにわたってそうではないので、巻きごとにあらためて、部立てのあることが意味を持ってくる。その雑とするのが、くさぐさ語られてきたのである。 . . . 本文を読む