万葉歌人は伝承の歌から、皇族、臣下、防人、読み人知らずなどなど、階級をなしての、万葉集が国民的歌集であることに異論はない。国民的とは、国民に拠る、国民のための、国民の、そのものである。ふるく臣民といった方がよいのかもしれないと、すると君主国の故を以て、明治政権で規定されてしまったので、古代国家における用法ではどうか。臣下の歌集である。それを意図したのは、万葉集では歌集の内部ではわかりにくいが、それをドラマと眺めると、舒明朝にかかわる古代王族の継承にある事件がある。 >「乙巳の変」は、結局、何を実現したか。それは遠山氏がほぼ十年前に看破したことだが、天皇位の初の生前譲位 と、ここに、ひとつの史観が明らかにする大化の改新であり、持統朝におけるドラマの構築である万葉劇詩と見える。 . . . 本文を読む