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私説 源氏語り22

2013-09-29 | 源氏語り
 因果  私説 源氏語り22


藤壺の宮のところで管弦の遊びなどをなさっている。

そこへ帝が若宮を抱き上げて出てきたのである。

この物語りのクライマックスであった。

筋立てを追い、物語を読み、そう思う、それは知らない、知らされない場面でもある。

  れいの、中将の君、こなたにて御あそびなどし給に、いだきいでたてまつらせ給ひて

しかし、これは作者が用意した世代物語の伏線となっていたのだった。


だれも同じシーンがふたたび、あるとは、思ってもみないことであろう。

紅葉の賀から柏木まで、時を経て語られた、輪廻と言うべきか

このことは物語を追えば、ふつうに見て取れる。

読み取れることである。



そうか、源氏物語をわかるとはこういうことだったのかと、ひとり合点をしたのであった。

光源氏の物語ではない、輝く日の宮の物語である、男の青春や栄耀栄華を描くものではない、女の宿世を描くものである。

源氏物語思想があるとすれば、やはり作者は書き手、語り手の仏教的因果律による世界観にある。

           

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