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平仮名文化

2017-07-09 | 日本語の謎、なぞ
Q:なぜ平仮名と片仮名と二種類作る必要があったのか。―― なぜなら、外国語を取り入れた日本語は漢字を文字都市、ことばとしてきたので、それを記号化する仮名文字を必要とし、そのときどきに用途を以て使い分けててきたからである。漢字を文字に入れた日本語は文字をことばとして意識し、文字そのものに用途をもたせる文化となった。片仮名は音読みの漢字に発音表記としてとらえるが、もとは、漢字を訓読する日本文に用いたことで、経典などの漢文、歴史記録などの漢字文、そして日本語の手習い文字へと、その用途を担ってきた。平仮名は漢字を崩した草書体で、和歌の三十一文字を表すべく、日本語の韻文から散文までを表記する。平仮名は貴族の消息ふみ、宮廷の女性たちの手習い歌としてもっぱら用いられていたが、時代が下って、片仮名による漢文訓読文に対する、平仮名書きによる法華経と言った経文を発生させるなど、一方で、徐々に日常語の和文に浸透をすることになるが、長く貴族文化の痕跡を残し、明治以降にも平仮名が担う文化は、正式な日本語としての漢字カタカナ交じり文体に位置付けられることがなかった。平仮名表記は現在でこそ発音を表わす文字として機能しているが、片仮名にその位置をとってかわるのは、表音式日本語の音韻による教育の成果である。

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