当たり前の話だが、どんな政策にも実現すべき目標がなければならない。こんなことを言うのは、日本政府のコロナ対策に納得できないからである。4都府県に本日発令される緊急事態宣言のことである。その期間は4月25日から5月11日までの17日間だという。期間が短すぎる。
感染症は出来るだけ数を抑え込んでしまった方が、後の対処が楽になるというのは常識である。感染者数が少なければ少ないほど、感染経路のトレースを徹底することができるので、より少ない労力で感染の拡大を防ぐことができる。実際に、台湾やベトナムはそれを徹底することで、コロナの抑え込みに成功している。たった17日間で宣言解除してしまえば、また元通りに感染者数が増大するのは目に見えている。すでに東京と大阪の医療は限界を通り越している。医療施設がもともと貧弱な地方は少し感染者が増えただけで対応しきれなくなる。これ以上の状況の悪化があってはならない。
今までの経緯からして、17日間だけでは劇的な効果は期待できないのではないだろうか。無知な政治家は今まで「今が正念場」とか「ここが勝負」とか言って、国民に我慢を強いてきたが、今後もそれを繰り返すつもりなのか。なぜ17日間なのか? 東京新聞によれば、IOCのバッハ会長が5月17日に来日するからではないかと見られている。緊急事態発令中にオリンピック関連のセレモニーをやるのはカッコ悪いということか。これは決してうがった見方ではない。初めての緊急事態宣言はオリンピックの延期が決定されるまでなかなか発令されなかった。二回目の宣言解除は聖火リレー開始前だった。明らかにコロナ対策がオリンピックの影響を受けている。こんなことがあって良いのか。
私だって、水泳の池江璃花子選手やゴルフの松山英樹選手がオリンピックで活躍するところを見てみたい。どの選手も人生を賭けて精進していることを考えれば、その活躍の場を奪ってしまうのは忍びないことではあるが、この一年間というもの、燃え尽き症候群一歩手前で踏ん張ってくれている医療現場の人たちや、コロナのせいで職を失って苦しんでいる人たちのことを考えるなら、なにごとにも優先してコロナ対策に全力を傾注すべきだと思う。
緊急事態宣言は事態の打開のために出すのでなければならない。ただ期限を決めて発出すればよいというものではない。政治家が自分の立場を守るために出す、宣言の為の宣言であってはならない。

コロナ禍でもツツじは鮮やかに咲く