不完全性定理で有名なクルト・ゲーデルがアメリカの市民権を獲得したのは1948年のことだが、その件について興味深いエピソードが残っている。彼自身傑出した論理学者であり、その後見人としてアインシュタインも名を連ねているのだから、市民権取得には何の障害もある筈はないのだが、その為には口頭試問を受けなければいけないということなので、彼はその対策としてアメリカ憲法の勉強を始めたらしい。彼の超緻密な頭脳から見ればアメリカ憲法はあまりにも粗雑なものだったのだろう。彼は、アメリカ憲法の条文は矛盾だらけだと言い出したのだ。そのうえ、「憲法に忠実である限り、アメリカ合衆国はいつでも合法的に独裁者の国になりうる。」という事実を発見してしまった。この時周囲の人たちはちょっと心配になった。アメリカが独裁国になる可能性のことではなく、口頭試問でゲーデルが余計なことを口走って試験管の心証を悪くするのではないかということをである。
今までこれはネタ話だと思っていたが、昨今のアメリカの政治情勢をみると冗談では済まされないような気がしてきた。天才ゲーデルには今日の状況はお見通しだったのかも知れない。CNNなどの報道によれば、トランプ政権がトランプ大統領や連邦議会占拠事件の参加者を捜査した連邦捜査局(FBI)職員十数人を同日中にも解雇すると報じた。自分に刃向かった検察官や捜査官に対しては徹底的に報復するつもりらしい。逆に議会占拠事件の受刑者や被告人約1500人に恩赦または減刑を与えた。最高裁判事は既に前回の任期中に右派優勢になっている。共和党内にはもう彼に刃向かうものはいない。
大統領就任式にはイーロン・マスク氏はもちろん、Googleのスンダー・ピチャイCEOにAmazon創業者のジェフ・ベゾス氏、Metaのマーク・ザッカーバーグCEOにアップルのティム・クックCEOと、ビッグテックのお歴々がずらりと並んでトランプの顔色を窺っている。トランプは元々傍若無人な人物だったが、ますます万能感を得ているように見受けられる。冗談抜きでアメリカの独裁国化を心配しなければならないような気がする。
今までこれはネタ話だと思っていたが、昨今のアメリカの政治情勢をみると冗談では済まされないような気がしてきた。天才ゲーデルには今日の状況はお見通しだったのかも知れない。CNNなどの報道によれば、トランプ政権がトランプ大統領や連邦議会占拠事件の参加者を捜査した連邦捜査局(FBI)職員十数人を同日中にも解雇すると報じた。自分に刃向かった検察官や捜査官に対しては徹底的に報復するつもりらしい。逆に議会占拠事件の受刑者や被告人約1500人に恩赦または減刑を与えた。最高裁判事は既に前回の任期中に右派優勢になっている。共和党内にはもう彼に刃向かうものはいない。
大統領就任式にはイーロン・マスク氏はもちろん、Googleのスンダー・ピチャイCEOにAmazon創業者のジェフ・ベゾス氏、Metaのマーク・ザッカーバーグCEOにアップルのティム・クックCEOと、ビッグテックのお歴々がずらりと並んでトランプの顔色を窺っている。トランプは元々傍若無人な人物だったが、ますます万能感を得ているように見受けられる。冗談抜きでアメリカの独裁国化を心配しなければならないような気がする。