昨日は久しぶりに水彩画を描きました。ルマンクラシックで見たフォードGT40マーク2。アランマンが特別に仕立てた軽量ボディを持ったXGT-2です。
ルマンクラシックではコンクールデレガンス用の車両が芝の上で展示されていて、そのときに撮影した写真をもとにしました。
パソコンに大写しにした写真をみながら、アルシュのブロックという水彩紙に鉛筆でスケッチ。この段階で何度も描き直して丸1日かけて下書きを仕上げる過程をFacebookでリアルタイムでアップしました。
ちょっとずつ直してはスキャンしてアップすると、どこかおかしいところが見えてまた描き直すという繰り返し。22回ほどスキャンして、やっと下書きが書き終わりました。
翌日の色着けは楽しいものです。写真をパソコンに大写しにして、水彩でアルシュの水彩紙に色を塗っていきます。
その際、なるべくパレット上で、色を混ぜながら気に入った色になると、一発で仕上げるつもりで色を置いていきます。田辺恵子さんもおっしゃっていましたが、色よりも明度が重要です、というお話は面白かったです。昔の石膏デッサンも思い出しながら、明度を意識して色を置いていきます。
このボディ色の段階で、グレーの中にあまり幅をつける必要はありません。あとで明度の低い色が出てくるからです。
今度はボンネットの黒を描きますが、ここには空が映り込んでいるので青をたっぷりと混ぜて、気持ち良く面の流れを意識しながら描いていきます。全体を見ながら明るくなりすぎないように調整しますが、あとで明度は落とせるので気持ち明るめに、派手目の色を使って描いておくと、あとで落ち着かせることは簡単です。
色をつけていく面は、常にそのとき絵の具を置いただけで完成していくように、最低限の手数で描いていきます。ライト等のポイントとなる部分は、この段階でフィニッシュさせてしまいます。このとき、全体を見ながら明度と色味を合わせて色を置いたあと、パソコンでライトの部分の写真を大写しにして、細部を描き込めるのはいいですね。
色着けの過程もFacebookで生中継しました。それぞれの過程でスキャニングしていくと、自分でも明度や彩度が客観的に見られます。
ポイントになるホイールも先行させて仕上げていきます。常に一発置いた色でその部分が仕上がる気持ちで描いていきます。ホイールも複雑なので、大写しにしてディテールを拾います。
室内も色を置いて仕上げます。よく予備校時代に習ったことで、色はぼかしても形はぼかすな、形はぼかしても色はぼかすな、という話がありました。
色がすーっと抜けていくように描く時は形はしっかりと描くこと。形をぼやっと描く時は色味はしっかりと明度彩度を組み立てること、という意味です。
室内はあまりくっきりとは描いていないので、明度と彩度が他の部分とつながるように注意して、あくまでもガラスの内側にあるように描いていきました。これでクルマはほぼ仕上がりです。
後ろの人物はさらっと仕上げます。デッサンはドローイング、クロッキー的なものにして、色も単純化しておいていきます。色はぼかしても形はぼかすな、というところで下書きの形をしっかりととって、色はさらっと塗る感じで主役を引き立てます。
奥のアバルトは撮影した写真に全部写っていなかったので、同じ場所でとった別の写真と組み合わせて仕上げました。色味は淡くぼかす部分もありますが、形はなるべくぼけないようにさらっと仕上げます。エッソのロゴ等はポイントなので丁寧に描いておきます。
これで色着けは約半日で完成しました。
この作品は9月の個展にて販売いたします。9/13-18まで今年もペーターズギャラリーにて水彩画展「スポーツカーグラフィック」を開催いたします。8月ぐらいまでにあと20点ぐらい描きためようと思っています。
よろしくお願いいたします。