映画「墨攻」のネタバレも含みます。
映画を観て、色々と気になったので原作を読んでみました。
と言っても、映画はこの小説を原作としたマンガが原作、なんですよね。わかっていてあえて小説を読んでみたのですが。
読んでみて、やはり映画とはかなり違ったので、マンガも読まないといかんなあ、と思いました。女戦士(名前忘れた(汗))とか子団とか奴隷の人(これも名前忘れた(汗))とか出て来なかったし、牛将軍や梁適、梁王渓のキャラクターもかなり違いました。話の展開も違いましたし・・・
だいたいものすごく短いんですよね。195ページとかで、「わが悲しき娼婦たちの思い出」と同じくらいですが、1ページあたりの文字数はもっと遥かに少ないです・・・
というわけで、映画とは別物、と思いつつ読みましたが。
読んでいて、「何が言いたいんだろうなあ・・・」と思ってしまいました。まあ、いわゆるメッセージを込めて書いたものではない、というやつかもしれませんが。
戦争の虚しさとか、そういうのを描きたいわけでもなかったようだし。非戦を掲げながら戦争をしていた墨家という集団の皮肉・・・というのを描きたいのともちょっと違ったようだし。
純粋に、墨家がなぜ消えて行ったのか、を描きたかったのかもしれませんが、それにしてはあの革離の話はちょっと違ったような・・・
うーん、ちょっと何が言いたいのかわからなかったなあ、やっぱり。もしかしたら、はっきりしたメッセージを感じさせるような描き方をしたくなくて、敢えてああいう書き方なのかな、とは思いましたが。
まるで古文献に出ていた事実かのように淡々と書きたかった、というのはあったんでしょうけど。
映画のなのかマンガのなのかわかりませんが、アレンジが上手かったんだな、と思いました。革離のキャラクターや、革離が墨家の決定に背いて一人で来たのだということが後の方でわかるところなんかも映画の方が見せ方として上手かったし。
巷奄中も映画のようなカッコよさはないですしね。
革離の死に方もちょっとカッコ悪かったなあ。あっけない死、というのはいいんだけど、女の恨みというのが・・・ちょっと上手くなかったかなと。
でも、そもそもこの墨家が一人で城を守る、というこの話の設定というか発想はすごいなあと・・・やはりこの原作あってのマンガであり映画なんだな、ということはよくわかりました。こういう話を思いつくのは、ちょっと他にはいないでしょうねー。
南伸坊さんの中国風の挿絵がなかなかいい味出してました。
ところで、墨家って本当に戦闘集団だったんでしょうかね。酒見氏お得意?の、史実のようでいて実はフィクション、というやつかなーと思ってしまったのですが、
特にそういうことは言ってなかったので、本当なのかな・・・いやー、墨家って世界史で習ったけど、こんな集団だったとは知りませんでした。
やっぱり文献を調べていてそういう事実を書きたくなった、というのがこれが書かれた一番の理由だったのかもしれませんね。