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ガルシア=マルケスの、なぜか長年邦訳されなかった作品、やっと読み終えました。だらだら読んでたから・・・(汗)
この作品、イギリスではガルシア=マルケスの作品で一番人気だ、と聞いてましたが、最近コロンビアで発表された、最近25年間でもっとも読まれたスペイン語小説の第一位もこの「コレラの時代の愛」なんだそうです。
まあコロンビアでの調査なので、ガルシア=マルケス贔屓なのかなとも思うのですが、他の作品は、93位に愛その他の悪霊について
日本では今まで邦訳されてなかったので比較のしようがないのですが・・・ちなみに「百年の孤独」が一番読まれているのは日本らしいです。
さて、そんなに人気の高い作品ということで、どんなかな・・・と読んでみました。
先にあとがきを読んだら、ガルシア=マルケスがそれまでになくリアリティのある文体で書いている、ということでしたが、確かに「百年の孤独」を筆頭とするマコンドものや「エレンディラ」なんかと比べたらリアルですが、そこはガルシア=マルケス、十分にあり得ない現象を描写しつつ、独特の雰囲気を醸し出してます。
あり得ない描写で煙にまかれつつ、フロレンティーノ・アリーサとフェルミーナ・ダーサの永きに渡る愛の物語が描かれる・・・と思ったのですが、実際には二人は全く違う人生を送り、最後にその軌道が交じり合うまで、二人の人生がそれぞれ描かれていました。
結論から言うと、そんなに好きな作品ではないかなーと(汗)「迷宮の将軍」よりは好きですが。
なんだか、たまたま直前にわが悲しき娼婦たちの思い出を読んだせいか、この作品との関連を色々と感じてしまいました。
なんだか、最後の老人の愛、を描くためにあそこまで長々と二人の人生を描いていたように思えて・・・
しかし、「コレラの時代の愛」では、最後に二人の愛を貫くには現実から離れて行かなければならない、という結末でしたが、「わが悲しき-」ではもっと現実的に祝福された愛、になっていて、このあたりのガルシア=マルケスの心境の変化が面白いかなーと思いました。いや単に自分も老人になったから、ということかもしれませんが・・・
そう思うと、なんだか「わが悲しき-」の方は俗っぽいかな。「コレラの-」の方が終わり方としては綺麗でしたね。
「わが悲しき-」の訳者あとがきで、「コレラ-」に出てくるアメリカ・ビクーニャがヒロイン(?)になった物語のようだ、と書いてありましたが、確かにそうかも・・・。
でもそう思うと、余計に俗っぽさを感じてしまうのでした。やっぱり若い娘の方がいいですか、と(汗)
そういう意味では、やはり「コレラ-」の方がまだ面白いかな。
と、話の筋だけを追うとこんな感想になってしまうのですが(汗)
しかし、「わが悲しき-」も「コレラ-」も、現実と幻想を自在に行き来する文体に煙に巻かれて、引き込まれて読んでしまうのは、やはりガルシア=マルケスの力ですかねえ・・・
なんだかとりとめのない感想ですが(汗)まあこれでようやくガルシア=マルケスの長編作品全部読めてよかったよかった、ということで。(?)