ジェーン・オースティン読書シリーズ、5作目です。あと1作・・・!
この作品、オースティンの作品の中では地味ながらも一番に挙げる人もいたりして、影の名作らしいです。
書かれた順番としては、後期の3作のうちの1作目、「エマ」の前に書かれているそうです。
読んでみての感想・・・とにかく主人公のファニーが地味(汗)こんなに内気なヒロインも珍しいのでは。
しかし、超内気なくせに非常に頑固だったりして、余計に話が進展しない感もあり・・・
設定からして、非常に少女マンガな展開になりそうな雰囲気ではあったんですが、ファニーの超お堅い性格もあってか、はたまたもともとそういう意図だったのか、ファニーが幸せになる最後の展開は最後の最後で簡単に説明されているだけでしたし。
・・・そういう意図だったんでしょうね。この作品に関しては、恋愛話よりも、オースティンの道徳観を人間模様に託して表現することに重きが置かれているなあと思いました。
主人公のファニーが超お固くて道徳観念の鑑のような性格なのも、彼女を主人公としてよりも傍観者として位置づけようとしているように思えました。ファニーの気持ちにはほとんど変化がないので・・・。むしろファニーの周囲の人たちの人間模様の描かれ方が面白かったですね。特に、ファニーが完全に傍観者だった第一部での。
クロフォード兄妹やバートラム姉妹など、ファニーやエドマンドの道徳観念とは逆の立場の人々が、他の作品のごとく単なる悪役ではなく、彼らなりの思いや葛藤が、他の作品よりも描かれていたように思いました。
まあ、あくまでもファニーの道徳観念=オースティンの道徳観念の正しさを証明するために存在、であるところは他の作品と同じなんですが、違う立場なりの彼らの気持ちへの理解?があるように思えて、そのあたりがちょっと他の作品と違うかなあと思いました。
その分、悪役?を笑いのめすようなユーモアも少なめで、余計に地味な印象かもしれません。笑えるのは鷹揚すぎなバートラム夫人くらい? ノリス夫人はちょっと笑えない感じだったかな・・・
作品としては、明らかに少女マンガチックな初期の作品、「分別と多感」とか「高慢と偏見」よりも高度な技術で書かれているなあ、と感じます。この後に書かれた「エマ」もそうですが。
しかし、正直なところ、「高慢と偏見」とか「エマ」の方が読んでいて面白かったなあ・・・
どうも、ファニーがあまりにも立派すぎる道徳観念の持ち主なのがひっかかってしまって、バートラム姉妹がいなくなって一躍注目されるようになってからの展開がちょっと読んでいてイライラしました・・・(汗)
といいつつ、やはり先が気になってどんどん読めてしまいましたから、このあたりのストーリーテラーとしての才能はやっぱりすごいなあと思います。
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