乳酸菌のお勉強です。

2012-04-21 21:51:38 | 乳酸菌のお勉強
シカゴさんから乳酸菌についてのコメントが詳しく書かれていました。
このままコメントとして残しておくのは勿体ないように思い
まとめてブログに載せておきます。
シカゴさんからの許可は頂きましたデス。

乳酸菌についてのお勉強で~す。



塩麹でとぎ汁乳酸菌液をつくる (シカゴ)
2012-03-26 14:48:13
こんにちは。

子供の頃から好奇心旺盛。理科大好き人間です。
これは今も衰えていません。

発酵・醸造でもっとも重要なのは「いかにして腐敗菌の繁殖を防ぎ、排除するか」つまり「雑菌に対するバリアーをどうやって作るか」ということ。それを世界各地で昔の人々が試行錯誤しながら見つけていたんですね。いくつかあるのですがとぎ汁乳酸菌培養に直接関係があるのは、

(1)乳酸菌を増やして乳酸をつくり雑菌が繁殖できない酸度にし、乳酸によって殺菌する。
(2)酵母を増やす。酵母が沢山いると雑菌が繁殖できない。

ですね。他に糖分濃度や塩分濃度を濃くするとか、アルコール濃度をある程度以上にするとか、植物のもつ殺菌作用のある成分を利用するとか…。


それから、飯山さんは「乳酸菌は米デンプンを食べて増える」とおっしゃっていますが、調べてみると乳酸菌や酵母はデンプンを分解する酵素を持っていないんですね。ではどうして米粒や玄米の中で乳酸菌や酵母が生きているのか。とぎ汁培養の初期に黒糖を加えない段階で乳酸菌や酵母が増殖するのはなぜか…。

デンプンを分解する酵素(いくつかあります)を作る微生物の中で代表的なのは麹菌(コウジカビ)です。米や麦や大豆などに着いています。最初はこの麹菌が一生懸命働いてとぎ汁の中で酵素を作っているんだろうと推測したのですが、麹菌はカビの仲間ですので酸素がないと増殖できないのですね(胞子や菌糸の状態で生き延びることはできる)。ペットボトルの口のところまで水を入れて培養するとぎ汁培養では麹菌が爆発的に増殖することはできません。また麹菌は液体中よりも水分を沢山含んだ固体(蒸した米や冷や飯)の方が大繁殖できます(米麹は蒸し米に麹菌を植えつけたもの)。

というわけでいろいろ調べてみると、実は白米や玄米の米粒には稲自身が作り出したデンプン分解酵素が含まれているということが分かりました。温度や水分が適切になるとこの酵素が働いてデンプンを分解してブドウ糖を作り出すのだそうです。

御飯を噛んでいるうちに甘みが出て来るのは人間の唾液に含まれる酵素の働きでデンプンが分解されて麦芽糖ができるためですが、しばらく水に浸して置いた米を炊飯すると口に入れただけでほんのりと甘みが感じられます。これは米にもともと含まれていた酵素の働きでブドウ糖が作られていたためなのだそうです。

というわけで、とぎ汁培養の初期にデンプンが分解されてブドウ糖ができるのは米由来の酵素の働きだということが分かりました。乳酸菌や酵母はこれを栄養分にして増殖するわけです。玄米浸潤液の中で乳酸菌や酵母が増殖するのも同じ理由によるものです。

で、塩麹の場合は米由来の酵素だけでなく麹菌が作り出した酵素がたくさん含まれていますし、つぶれた米粒にはまだたくさんのデンプンがあります。中には麹菌がものすごく沢山いるだけでなく酵母や乳酸菌も共生しているので、塩麹を水に入れておくと酵母と乳酸菌が大増殖して乳酸菌液(酵母液)ができます。ボトルや容器の上の方に空気が入っていれば麹菌もそれなりに活動してどんどん酵素を作ります。その酵素の働きでデンプンはブドウ糖に…。乳酸菌や酵母が食べきれないほどのブドウ糖ができるのです。

そんなわけで(ボトルいっぱいに水を入れずに)私が塩麹で作った乳酸菌液は10日ほどで乳酸菌と酵母と麹菌が入った微炭酸の甘酸っぱい飲料になりました。塩麹の中にいる酵母はアルコールをつくる能力が低いのでお酒にはなりませんがそれでも微量のアルコールはできているようです(塩麹と一緒にドライイーストを入れればお酒になりますね。こちらは今実験中)。

ただし、塩麹の乳酸菌や酵母は米乳酸菌ほどのたくましさがないような気がしますので、塩麹+水ではなくて、塩麹+とぎ汁にすれば強力な乳酸菌液ができるのではないかと考えたわけです。塩麹には塩分がたっぷりありますし、ブドウ糖はどんどんできるわけですから、あら塩・黒糖なしでとぎ汁乳酸菌液ができるはず、と頭の中の思考実験では結論がでているわけです。

とぎ汁・米ぬか、どちらも塩麹のみのあら塩・黒糖なしで乳酸菌液ができました。
この乳酸菌液を使って作った豆乳ヨーグルトも酸っぱ目できれい。味も悪くありません。が…、飲むと酸っぱいばかりであまりおいしくないんですね。

黒糖の代わりに白糖で作った乳酸菌液もあまりおいしくないので、乳酸菌液のあの味は黒糖の成分のおかげかも知れません。

とぎ汁1合分(500ml)に対して塩麹を小さじ2杯。暖かい環境に置いて3日後に pH3.5 になりました。ただ、3.5 になっても乳酸菌が増殖したということで酵母はまだあまり増えていないので完成までにはまだ数日かかります。あら塩・黒糖で育てた培養液の場合は3.5になってから2~3日で酵母が十分に増えて完成します。酵母は乳酸菌にくらべて身体が大きいので増えるのに時間がかかるわけです(たくさんの糖も必要)。

とぎ汁+塩麹の場合、麹が作り出すブドウ糖が頼りなのですが一気にたくさん作り出すわけではないので酵母が十分増殖するのに時間がかかりました。結局ほぼ完成したのは10日後くらい。普通の培養液よりも4日ほど余分にかかりました。

おいしくないので飲用には適さないですが豆乳ヨーグルトづくりや噴霧用には十分使えます。麹もそれなりにいるので乳酸菌風呂に追加投入するのにもいいと思いました。



黒糖 (シカゴ)
2012-04-12 13:42:18
こんにちは。

http://p.tl/j7KI-
黒糖の名前、「梵黒糖」ではなくて「焚黒糖(たきくろとう)」でした。
メーカー直販の方は沖縄・北海道のみ追加運賃(500円)がかかるんですね。
ですから、北海道へ送ってもらうと
10袋の場合は 3600+500=4100(円) 1kgあたり 820円、代引き手数料無料
20袋の場合は 7200+500=7700(円) 1kgあたり 770円、代引き手数料無料

http://p.tl/6m7s-
もう一つの方は北海道への送料が 1480円ですので
10袋の場合は 3200+1480=4680(円) 1kgあたり 936円、代引きのときは315円追加
20袋の場合は 6400+1480=7880(円) 1kgあたり 788円、代引き手数料無料
30袋の場合は 9600+1480=11080(円) 1kgあたり 739円、代引き手数料無料
ただし、商品代金が10000円を超えると送料・代引き手数料が無料になるので
10000÷320=31.25 つまり 32袋以上なら送料・代引き手数料無料です。
32袋(16kg)で 320×32=10240(円) 1kgあたり 640円
これだとかなりお得。たぶん1年では消費しきれませんね(黒糖は賞味期限なしなので長期間保存できますが…)。私の場合実験や乳酸菌風呂用にかなり使いましたが、昨年7月に20袋購入したのがあと2袋残っています。

で、この黒糖には乳酸菌と酵母が生息しています(「黒糖+あら塩+水」で培養実験)。
市販の米粉にも乳酸菌・酵母・麹が生息していることを確かめたあと、家にある黒糖やメープルシロップやしょうがシロップで培養実験した結果、メープルシロップとしょうがシロップは殺菌されていたことを確認。

顕微鏡のこと (シカゴ)
2012-04-12 13:43:28
顕微鏡のこと。

昨年乳酸菌培養を始めてすぐに位相差顕微鏡(100倍~2000倍)というのを購入しました。染色液を使わないでも見えるので生きたままの乳酸菌や酵母が観察できます(私は車を持たない主義。その分のお金を趣味や好きなことに使います)。

乳酸菌の大きさ(太さ・長さ)は「0.5~1μm」(マイクロメートル:1mの100万分の1=1000分の1ミリメートル。昔はミクロンと言っていました)で、球状のもの(球菌)と桿状のもの(薬を入れるカプセルのような形:桿菌:かんきん)があります。米には乳酸桿菌(ラクトバチルス)が多いですがわずかながら乳酸球菌(ラクトコッカス)もいます。

酵母(イースト)の大きさは乳酸菌の10倍くらい(5~10μm)で、球形・卵形・桿形のものがあります。米にはすべていますが、球状(円形酵母)のものは少なくて卵型(楕円酵母)と桿形酵母がたくさんいます。ちなみにパンに使うイーストは円形酵母です。

麹(コウジカビ)の菌糸は太さが2~5μm、長さはミリ単位になるので成長したものは肉眼でも見えます。

200倍だと乳酸菌は糸くず(分裂して連鎖しているもの)、楕円酵母や桿形酵母は米粒のように見えます。麹は長いのですぐに分かります。400倍以上にすると乳酸菌の形状(球菌か桿菌か)もなんとなく分かりますし、酵母ははっきりとその形が分かります。

1000倍・2000倍で見るには接眼レンズとカバーグラスの間にイマージョンオイルというものを張る必要があり、使用後の後始末が面倒なので通常は400倍で観察します。私の持っている顕微鏡の800倍モードはちょっとくっきり感に欠けます。

200倍だと乳酸菌が液の中でピコピコと動いているのが何となく分かります。800倍以上だとその動きがはっきりと観察できます。プレパラートを作ったばかりで液が流れているときは連鎖した乳酸菌が液の流れを利用して泳ぐ様子が見えます。酵母や麹は運動性を持っていません。

培養初期や中期には乳酸菌が4~10個くらい連鎖したものが沢山見られますが終期には単独のものがほとんどになります。酵母は円形・楕円のものは出芽(雪だるま状)で増え、桿形のものは分裂で増えるので、盛んに増殖している時は連鎖している桿形酵母や出芽酵母がたくさん観察できます。コウジカビはまばらです。

塩麹の場合は糊状の部分をスプーンで少しすくって、水を加えて薄めたものを観察します。それでもコウジカビの菌糸が紙の繊維のようにびっしりからみ合っているのが分かります。その周りには乳酸菌や酵母がたくさん集まっています。

増殖はねずみ算式に倍々ゲームで行われます。大きさが10倍だと表面積は100倍、体積は1000倍になりますので、酵母は乳酸菌に比べて生きていくために必要な栄養分が相当に必要です。したがって米粒に住む酵母や麹は乳酸菌に比べると数が少ない上に、増殖に要する時間も長いので、培養初期には乳酸菌が爆発的に増えるのに対して、酵母は終期になってようやく爆発的な増殖が起こるわけです。



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