2016年12月1日に、舞妓さんの踊りが鑑賞できる施設がオープンすると友人から情報を貰いました。
花街・宮川町の近くにあり、舞台で踊る舞妓さんをテーブル席に座って鑑賞するようです。
京おどり期間中と日曜日以外の開催となり、昼に二つ、夜に二つと合計四つのコースがあり、基本的には舞妓さんの踊り、舞妓さんに説明、記念撮影とオリジナルの手ぬぐいがついていて、コースによってはお弁当やおつまみとアルコールのセット、舞妓さんによるお点前があります。
夜のコースが昼のコースよりは料金は高いです。
出演する舞妓さんは宮川町の特定の置屋さんに所属する方々がメインで、公演によっては1名~2名となるそうです。
祇園甲部では舞妓さんの舞が鑑賞できるお店がいくつかありますが、宮川町ではあまり聞いたことがなかったので、こういう形式の施設は初めてかしら?
行ってみたいなぁ。
舞妓さんが一番最後に結う髪型、先笄。
江戸時代では、京阪の若奥さんが結いました。
舞妓さんが芸妓になる直前に若奥さんと同じ髪型を結うというのを聞いた時、複雑な気分になりましたが、この時期の舞妓さんはとても美しい。
先笄を結う時、祇園甲部では黒紋付に白い襟の正装ですが、宮川町は黒紋付に赤い襟を付けるようですし、色紋付に赤い襟という花街もあります。
色紋付きに赤い襟の拵えはとても色っぽく感じますね。
襟替え直前の舞妓が、先笄を結い「黒髪」を舞うと聞きますが、「黒髪」は芸妓さんの舞なので舞妓のうちは舞うのを許さない花街があるとも聞いたことがありますが、「黒髪」はこの先笄を結っている期間にしか舞わないという説明も読んだことがあります。
街による違いなのでしょうか。
芸妓に襟替えをせず、年季明けで舞妓のまま辞める場合に、認められて特別にこの姿になることを許される舞妓さんもいます。
私は、祇園甲部の先笄に黒紋付、白い襟の拵えと、井上流の黒髪が好きです。
井上流は能の影響を受けているからか、顔に表情を出さないし振付もあまり色気が無いと言われていますが、黒髪に関しては他の流派よりも色っぽいと評されているようです。
舞妓としてデビューすることをお見世出しといいます。
過去に二度ほど見かけたことがあります。
たまたま京都にいる時期にあると知り見る事ができました。
二回とも、どちらも途中雨に降られてしまいましたが、雨の門出というのは縁起が良いそうです。
希望や夢に溢れ、これまでの頑張りが報われて素敵な笑顔でした。
舞妓になるために置屋へ入り、置屋のおかあさんやお姉さん達と寝食を共にしながら、舞や行儀作法、京ことばを習い、半年から一年ほど修行します。
面倒をみて下さるお姉さんが決まり、舞の流派のお家元から舞妓として出して良いとお許しが出ると、お見世出しが決まります。
舞の上達が早い人は早くお許しが出ますし、状況によってはお許しがなかなか出ない、ということもあるそうです。
修行も後半になると、お姉さんの名前から一文字をいただいた名前(例えば姉さんが豆○○なら豆△、など)が決まります。
どのような名前にするか、置屋の人々が考えることもあれば、晴明さんに相談して決めるところもあるとか。
舞妓と世話をする姉芸妓は姉妹となり、これを妹を引く、といいます。
姉芸妓は妹を引き立てるだけでなく様々な責任も負い、妹舞妓の花簪を誂えたり旅行に連れて行ったりすると聞いたことがあります。
姉の名前の一文字を妹が貰い、その妹が新しい妓を引き名前の一文字を与え、ずっと受け継がれて行きます。
これを「筋」と呼ぶそうです。
新しい置屋さんなどでは妹を引く芸妓がいないので、置屋が全面的にその舞妓の面倒を見て、お姉さん無しで出る舞妓さんもいます。
お見世出しの一か月前になると、割れしのぶという舞妓さんが最初に結う形の日本髪を結い、舞妓さんとほぼ同じ格好(帯は短めの半だら、袖は短め)をし、お茶屋に出てお座敷での振る舞い方などを勉強します。
祇園甲部では格式の高い、見習い茶屋と呼ばれるお茶屋で見習いをし、同じ見習い茶屋で見習いをした芸舞妓同士は見習い姉妹となります。
見習い茶屋の女将は発言力が大きいようで、節分の日には舞妓さんは普段と違う特別な髪形を結いますが、髪型によっては置屋のおかあさんが許可しても、こういうのは舞妓さんらしくないからあかん!と反対されてしまうということがあるそうです。
祇園甲部は置屋のみを経営しているところもありますが、甲部以外の他の花街ではお茶屋も兼業する置屋がばかりのようで、余所のお茶屋で見習いをしないのが多いようです。
お見世出しの日のお化粧は、お姉さんがしたり、専門の顔師さんを呼んでして貰うのと、花街や置屋によっても違うようです。
この日は正装なので襟足は三本足と呼ばれる描き方になります。
下の画像のような専用の型を使って描きます。
出たてさんは、眉に赤と黒を混ぜて使う人が多いですが、目元は赤で縁取るだけ。
ある程度キャリアを経ないとマスカラを使ったり黒でアイラインを入れられないようです。
舞妓さんはおぼこいのが一番!と、花街によってはマスカラの使用が奨励されなかったり、置屋によっては眉は黒一色のみ、赤を混ぜてはいけないという決まりのところもあるようです。
正装ではなく通常の拵えの時は、襟足は二本足を呼ばれる描き方になり、二本足の場合は置屋によって形に違いがあります。
マニアな方はこの襟足の描き方でどこの置屋の舞妓さんか判る、という話も。
口紅は一年を超えてお姉さん等からお許しをいただくまでは、「我が出ないように」と下唇のみに紅をいれるという描き方ですが、先斗町は初めから上唇にも両方入れるという話を聞いたことがあります。
髪型は、舞妓さんとして最初に結う、割れしのぶという髪型。
赤い鹿の子を付けた可愛らしい髪型。
お見世出しから三日間は特別な割れしのぶで、形は通常の割れしのぶと同じですが、油を塗った重たいかもじを使って髷を作ります。
通常の割れしのぶに使うかもじは軽い毛です。
結いたての割れしのぶに、下の画像にあるような見送りと呼ばれる銀色の飾り差し込みます。
お見世出しの日から三日間の衣装は黒紋付、豪華な帯、刺繍や箔押しの襦袢。
簪と櫛は鼈甲、銀のびら簪は両側に挿します。
この鼈甲の簪は置屋で代々受け継ぐ財産というべきもので、今時はなかなか作れないらしいです。
先斗町は、左側に挿す一番大きい簪が鼈甲ではなくて松と鶴の簪のようですが、直接見る機会がなく、一度生で拝見したいです。
とある置屋さんでは、同じ置屋内でも複数の筋の芸舞妓が所属しそれぞれ姉さんが違います。
ある「筋」の舞妓だけが、その筋のお姉さんから何代も受け継いできた特別な帯を、お見世出しの時に締めることが許され、同じ置屋の姉妹でも筋が違っていれば締めることは許されない、なんてこともあるとか。
お見世出しの挨拶回りでは、祇園甲部は男衆さんが付き添い、豆○さんの妹の豆△さんです、というように紹介しながら一緒に回ります。
他の花街では、お茶屋のおかあさんなどが付き添うことが多いようです。
ご挨拶用のお扇子を手に持ちながら挨拶回りをしますが、よく見ると背中の着物と帯の間にお扇子を差し込んでいます。
これはお見世出しの時だけするのかもしれません。
祇園甲部の舞妓さんも祇園東の舞妓さんも同じでした。
舞妓さんとして、第一歩。
お見世出しの目録が、祇園甲部と祇園東は玄関の内側に貼っていますが、これも花街によって違うようで、宮川町では玄関の外に貼るので通りがかりに拝見することができます。
関連記事:「見習いさん」
1月7日は、京都五花街の上七軒を除く四つの花街で始業式が行われます。
年末年始を京都の友人宅に滞在することとなり、始業式まで見ていけば?とのご厚意に甘えてしばらく居候を決め込みました。
以前から、黒紋付きの芸舞妓さん達が挨拶回りをするとう華やかな光景を見たいと思っておりましたので、やっと叶いました。
Facebookなどの情報で、撮影場所に関する祇園甲部の歌舞会からのお願いが発信されていて、当日昼頃に歌舞練場の前に行くと貼り紙がされていました。
撮影者に対するお願いと撮影可能の場所についてのお知らせとなります。
でも、立ち入り禁止になっている場所では???と思われるところに入り込んだ人は結構いたような・・・
人や車が通る場所に座り込んでいる人もいたようで、通行の邪魔になるし本人も危険ですよね(^^;)
後から耳にした話によると、こういう場では以前からアマチュアカメラマン同士のいざこざがあり、今回も暴力に発展するようなトラブルがあったらしいです。
こういった流れに嫌気がさした芸舞妓さんなどは、タクシーで人ごみを抜けて祇園の北側まで出てから挨拶回りを始める場合も多いようでした。
1月13日の京舞井上流家元のご自宅へ伺う初寄りとは違い、この日はお家元宅には挨拶に行かないらしいので、基本的には歌舞練場がある南側から回る芸舞妓さんご一行は多いです。
芸舞妓さんには「筋」というものがあり、舞妓または芸妓としてデビューする時に、お世話になる姉分を決め、そのお姉さんから名前の一文字を貰います。
同じ名前の一文字を持つ芸舞妓が姉妹筋となり、こういった挨拶ごとの時には同じ筋の芸舞妓が一緒に行動するのが多いようです。
一つの置屋さんで一つの筋、というのが多いのですが、分家が多い置屋さんなどは複数の置屋に分かれていたりします。
そういう場合は、違う置屋で同じ筋の芸舞妓さん達が一緒に行動することもあるようですし、また同じ置屋内でもお世話になるお姉さんの筋が違うこともあり、同じ置屋でもバラバラに行動することもあります。
たとえば、ある置屋さんでは「葉」と「まめ」の名前を持つ芸舞妓さん達がいますので、「葉」と「まめ」が分かれて行動するように。
新しく置屋を始めたお家などは妹を引く姉芸妓がおらず、一番年長の舞妓さんが下の舞妓さんを引きつれて行動するという場合もあります。
筋の姉妹が多い場合、5、6人でぞろぞろと連れ立って歩く様は壮観ですね~(^^)
芸舞妓さん一行について歩いていくカメラマンさん達も多いようですが、私は特定のエリアでぶらぶらして遠目から挨拶回りをする芸舞妓さん達を見て、自分がいる方にやってきたら写真を撮ったり、知り合ったカメラマンのおば様方をお喋りしたりして、始業式後の黒紋付き姿の舞妓さんの舞を見に行くことになっていたので祇園の北側へ。
道すがら、北側に舞妓変身の店を構えている某店の変身さんを見かけました。
こういう日に変身姿で祇園を歩くのは気まずいでしょうね・・・・
始業式の後の黒紋付き姿で舞を見る会は、長年ネットでは知っていましたが機会がなく、やっと行けて嬉しいです~。
舞妓さんは去年出たばかり、長崎県のご出身でお喋り上手で明るい方。
鶴やおめでたい柄の入った黒紋付き、白地に金が入った豪華な帯。
稲穂の簪、赤と白の寒菊に扇面のモチーフがついたお正月の花簪に、紋付きの時にしか挿さない鼈甲の挿し物。
お抹茶をいただき、鏡餅という、お正月にしか舞わない舞を見て、帰りには舞妓さんから花名刺をいただきました。
楽しかった~。
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使い慣れないコンパクトデジカメで撮ったので、かなり微妙な写真ばかりです・・・
コンパクトデジカメながら別売りのレンズを付けることもできるので、レンズを付ければまた出来が違うかな?
一眼レフは重いしかさばるから面倒になってしまいました(^^;)