はんなり、万華鏡

京都を中心とした旅行記や文化についてあれこれ。

だらりの帯

2011-05-24 19:00:00 | 舞妓の衣装・装飾品

先日、以前放送された、京都の舞妓さんの装いや着付けを紹介した番組のビデオを観まして、そういえば花街によって舞妓の象徴であるだらりの帯の重なり具合が違うなぁと思い出しました。

うちにある書籍や写真などを確認しましたが、確かに結構違いがあります。
戦前などの舞妓さんの写真を見ますと、だらりの帯は左右の重なりが小さく(というかほとんど重ならない)、まさにだらっとした結びなのですが、現代の舞妓さんは左右の重なりが大きく、花街によってはX型です。
昔の舞妓は今の小学生から中学生くらいの年齢の少女で、背も体つきも小さく、だらっとした帯がより子供らしく見えたように思います。
現代の舞妓さんは、年齢も高くなった分、背も体つきも大人とあまり変わりません。
左右の重なりが大きくなったのは、身長や体つきにあわせて変わって行ったようです。
宮川町で舞妓の着付けをする男衆さんによれば、より女性らしく優美に見せるのにだらりの帯の形を工夫されているとか。

何年か前に、祇園甲部の舞妓さんと花街によってだらりの帯の形が違うという話をした事があります。
その舞妓さんによれば、祇園甲部は左右の重なりの大きさは五花街の中では中間くらいだとのことでした。
手元にある写真や書籍での判断となりますが、五花街の中で上七軒が一番左右の重なりが大きく見事なX字。

上七軒の舞妓さん


宮川町の舞妓さん

祇園甲部の舞妓さん


祇園東はちょうど良い角度の写真がないのですが、宮川町と同じくらいの重なり具合だったと思います。
先斗町は後姿の写真がないのですが、一番だらりとして左右の重なりが小さいと思いました。
先斗町は日本髪の鬢の形や化粧など、昔ながらの雰囲気を大事にしている花街のようなので、より昔の舞妓さんの姿に近いのかもしれません。

祇園甲部と宮川町は基本は男衆さんが着付けをしますが、イベントなどで泊りがけで出張する時などは、同行する置屋のおかあさんや芸妓さんなどが着付けをするので、帯の重なりの具合が普段と違う時があります。
男衆さんによる違いもあると思います。
あの帯を締めるのは相当大変らしいです。
筋力つきそうです(^^;)

祇園・芸舞妓日記

2011-05-23 22:55:54 | 京都・本
美しいキモノ 2011年 06月号から、「祇園・芸舞妓日記」の連載がはじまりました。

このたび、祇園甲部の舞妓の紗矢佳さんが襟替えをして芸妓になり、同じ日に妹分の舞妓となる紗月さんがお店出しをされました。
その紗矢佳さんと紗月さんが「美しいキモノ」で連載を持つと聞いておりまして発売を楽しみにしていたのですが、先日本屋さんを覗いたら掲載号が売っていました。

紗矢佳さんの舞妓最後の姿と、置屋に入り舞妓の修行をする紗月さんの姿、お店出しの日に日本髪を結いに行く姿、二人の晴れの日の姿などを写した写真など、10ページ以上に渡って特集記事が組まれていました。

紗矢佳さんはちょっと縁がある方で、舞妓さんとして出た頃から知っていました。
新人さんなのに舞が上手いな~と感心する舞妓さんでした。
いつのまにか、舞妓さんとしてトップクラスの人気になり、芸妓として襟替えをして同時に妹分の舞妓を引くのは数十年ぶりの快挙と成し遂げると聞いてびっくりしていたものです。

妹を引く、というのは、自身の名前の一部を与え、様々な面倒を見ることをいいます。
紗矢佳さんの名前は君佳さんという姉芸妓から「佳」の一文字を貰いました。
君佳さんは里佳さんから「佳」の一文字を貰いました。
姉芸妓は、妹舞妓を引き回して、たくさんのお客様に贔屓にしてもらえるようにしたり、妹舞妓が挿す花簪を作ってあげたりするそうです。
また、妹舞妓を旅行に連れて行ってあげたりとか、様々な面倒を見るので大変な物入りなので、妹を引かない芸妓さんもいるとのことです。

今回の記事には、見習いさんの衣装、お店出しや襟替えに三日間に着る黒紋付、二日目の挨拶回り時に着る衣装、四日目から六日目に着る色紋付などの説明もあり見応えがあります。

連載とのことですので、次号はどんな内容になるのか楽しみです。