3月20日、祇園の一力亭で行われる「大石忌」という催しに行きました。大石忌とは、赤穂の大石内蔵助の命日に、歌舞伎の「仮名手本忠臣蔵」縁の一力亭で大石さんを偲ぶ催しです。
長年関心のある催しでしたが、一力亭のお客様しか入れないのだろうなぁと思い諦めていましたが、ツテで招待券のお余りをいただけたので、この大石忌を目当てに久しぶりに京都へ。
招待券には、開催の時間と出演する井上流のお家元のお名前、芸妓さん達のお名前、舞の演目、注意事項などが記載されています。
開催はお昼間で招待客は数百人いるらしく、京舞井上流家元や祇園甲部の芸妓さんの舞が数回あります。
小雨が降る中、一力亭の前からグルっと取り囲むように、四条通沿いに並びます。
通りすがりの観光客が「なんの行列ですか?」と聞いてくる始末。
やっと、あの暖簾をくぐり、中へ入ります。
暖簾をくぐる前に写真を撮り忘れたので、裏から。
門から入って正面はお客様の玄関、左側に芸舞妓さんの入口があり、舞妓さんのおこぼや芸妓さんの下駄・草履がずらっと並んでます。
袴をつけた年配の下足番のおじさんに履物を預けて、お玄関から建物の中へ。
入口には、芸妓さんと舞妓さんが。
赤い壁で知られる一力亭。
中の壁も赤いです。
一階のお座敷の奥に仏間があり、大石さんと四十七士が祀られています。
この仏壇の前で舞があります。
お蕎麦とお抹茶が出るのですが、一回目の舞が始まる為、まずは舞を鑑賞。
井上流お家元による「深き心」と、芸妓さん三人による「宿の栄」。
「深き心」は、多分この大石忌でしか舞わないのではないでしょうか。
かなり広いお座敷でしたが、大勢の人々で朝の満員電車のよう。
お茶屋内には、大石さん縁の品々、屏風や掛け軸があり、お廊下や階段下などには芸舞妓さんが配置されてご案内。
急な階段を上がっておニ階へ。
こちらで討ち入り蕎麦をいただきます。
お蕎麦は、濃い目の温かいおつゆが入っていて、でも一般的な温かいお蕎麦とは違い、おつゆは少なめでひたひたではないです。
お皿に葱と大根おろしが盛られていて、好きな量を取ってお蕎麦に乗せて食べます。
美味しいです。
お蕎麦を運ぶのは、洋髪に色無地に赤と白の柄の入った絹地っぽい前掛けをした芸妓さん達。
お蕎麦をいただいて、今度は別の部屋でお抹茶をいただく。
こちらのお運びは主に、白塗りのお引きずりの若手の芸妓さんと舞妓さん達。
大勢の芸舞妓さんが、裾を引きながらお茶を持って、まるで渋谷のスクランブル交差点のように座敷を行き交うのに、全くぶつからない!
芸舞妓さん達は、舞と地方担当の方々を含めて、30人はいたでしょうか?
接待にあたる芸舞妓さんは、舞妓になる時に一力亭で見習い(デビュー直前にお茶屋でお座敷のマナーを勉強すること)をするなど、一力亭に縁の深い方々のようです。
お茶には、大石さんの家紋らしい二つ巴紋が入った、とらやのお饅頭。
お茶のお道具などにも二つ巴紋が入ってました。
最後に、お庭にあるお茶室のようなお手洗いに入りました。
草鞋のような履物を履いて行きます。
なんとなく、古い旅館にあるような畳敷きの「御不浄」的なイメージでしたが、一力亭のお手洗いは近代的なシャワートイレでした。
一力亭に伺えたのは、とても貴重な機会となりました。
今回は京都の友人宅に泊めて頂いたり、随分とお世話になったので感謝です。
桜も開花が早かったので少しだけ見ることが出来たので幸運でした。
次は、いつ京都に行けるかな?