先日、ドキュメンタリー映画「はんなり Geisha Modern」を見てきました。
六本木ヒルズでの特別上映会で、映画に協力した企業や団体関係者や外国人の方が沢山来ていらした他、若い人も多かったです。
ロサンゼルスに拠点をおく曽原三友紀監督は元アナウンサーで、現在ハリウッドなどで日本文化のアドバイスや映画舞台のプロデュースなどをされていて、日本の芸者役などでハリウッド映画に出演するなど女優としても活動されています。
ハリウッド映画や小説などで描かれる「ゲイシャ」に対して、日本人としてとても残念に思っていたそうです。
役作りの為に東京の芸者さんや京都の芸舞妓さんと接して、彼女らの芸への精進やおもてなしの精神を映像にして表現するのに今回の映画を作られたとか。
確かに、ハリウッド映画や外国でのゲイシャの描かれ方はひどいものだし、ハリウッド映画「SAYURI」は原作はちゃんとしてるのに、映画は…姿でさえ本物の芸舞妓とはまったく違うモノでした。
私は花柳界とは無関係の人間ではありますが、常々残念に思っていました。
数年前に映画制作の話を聞いてずっと公開を楽しみにしていました。
映画は京都と六つある花街のお茶屋の女将や芸妓さんなどが、花街や芸舞妓に関する様々な思いや想い出話を語ったり、芸舞妓が着用する着物を染める職人さんなどのインタビュー、お茶屋での芸舞妓のおもてなし、舞妓のお店出しと襟替え、衣装の着付けや日本髪の髪結いのシーン、などが中心です。
上七軒の北野をどりの映像や舞台裏、稽古を付ける花柳流のお師匠さんのインタビューはわりと長く時間を使われていて、歌舞伎の舞台裏はテレビでも紹介される事はありますが、花街のをどりの舞台裏なんてなかなか紹介される事はないですね。
祇園甲部の都をどりの映像も出ていまして、甲部の舞妓さんのお店出しの様子、美容室で髪を結う舞妓さん、化粧をする舞妓さんがそれぞれ支度をして、巽橋近くのお茶屋さんでお客様をおもてなしし、祇園小唄を舞うシーンなどがありました。
歌が好きだった芸妓さんが、舞妓になって芸妓になった後も歌う事を捨てきれずに芸妓を続けながら歌手になったエピソードも紹介されていました。
宮川町では花街の事を紹介するホームページを立ち上げた元芸妓のお茶屋の女将さんが、自分の育てた舞妓さんの中で初めて襟替えして芸妓さんになる時の思い入れや襟替えの様子などの紹介がありました。
先斗町では芸妓さんが汗まみれになりながら踊りの稽古をする様子などがあったり、嶋原では太夫さんがかむろを従えて道中する姿や、客の品定めをする「かしの式」などの紹介がありました。
他に京都五花街合同公演の映像もありました。
上七軒で仕込みさんになったばかりの少女が、初めての踊りのお稽古で上手く出来なくて一人廊下の隅で肩を落として泣いていて、同期の仕込みさんや芸妓のお姉さんに慰められ励まされるシーン、祇園甲部の仕込みさんが修学旅行生に舞妓さんと誤解されたので自分はまだ舞妓さんじゃない、と答えているシーンなどが心に残りました。
この上七軒の仕込みさん、彼女が舞妓さんになってから一度だけお会いした事あるんですよね。実は。今はもう芸妓さんになられました。
祇園甲部の仕込みさんも、やはり舞妓さんになってから多分お会いした事あるかも?
残念ながら祇園東に関しては殆ど紹介がなかったです。
映像も美しく、お茶屋の女将さんや芸妓さん達の花街で生きる姿勢や芸の精神が良く表現されていたと思います。
限られた会場でしか公開しないので、もっと沢山の人に見ていただけると嬉しいのですけどね。
実はこの日、コンタクトレンズが乾いたりして調子悪くて、あまりはっきり映像を見られなかったのです。なんか視界がぼやけちゃって。
機会があればまた見に行きたいです。
映像の上映の後、映画の中でも紹介されていた、アメリカの富豪と結婚した祇園の芸妓「モルガンお雪」の姉の孫にあたるお茶屋の女将さんと、祇園甲部の芸妓さんと舞妓さんがゲストとして挨拶に出られました。
芸妓さんは黒地に赤い楓の柄の入った着物をきりりと着られ、舞妓さんは黄色の紅葉の花簪と黄色い花櫛に、簪の色が映える濃い青のお着物で、お二人とも素敵な装いでした。
今頃の季節に相応しい、紅葉の枝を手にして舞を一曲舞い、別室で芸妓さんのお茶屋のお点前と記念撮影がありました。
来場者の皆さんは大喜びでした。
この日はマスコミ向けの上映が一回、一般向けの上映が二回あって、私が見た回の後にもう一回上映がありました。
私は夕方から仕事があったのでエレベーターを降りて会場を出ようとしたら、映画のチラシを持った人と何人も擦れ違いました。
次の回を見る為に上に上がって行ったようです。
なんか人だかりが出来てるな、と思ったらビル入り口の所で芸妓さんと舞妓さんがスタッフと一緒に呼込みをされてました。
寒いのにお疲れ様です。次の回の上映も盛況だったみたいですね。
芸妓さんと舞妓さんを後にして、遅刻しそうな私は駅まで走って行くのでした。
はんなり Geisha Modern に関する以前の記事はこちら
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