はんなり、万華鏡

京都を中心とした旅行記や文化についてあれこれ。

舞妓さんの髪型・おふく

2007-02-04 22:24:42 | 京都・舞妓さん変身体験(髪型いろいろ)

大きい舞妓さんが結う髪型の一つにおふくという髪形があります。
小さい舞妓さんが結う割れしのぶよりも若干地味になった髷で、割れしのぶでは赤い鹿の子を髷に掛けますが、おふくになるとおふく掛けという布を掛けます。おふく掛けも初め赤→ピンク→水色・紫などになります。
おふく掛けは主に銀の箔押しされた縮緬の帯揚げなどを切って作るそうです。
凝り性な舞妓さんは刺繍の半襟などを利用する事もありますし、無地の布に銀糸で刺繍する場合もあります。下の画像は私が手作りしたおふく掛けです。

昔は割れしのぶの舞妓さんが旦那が付いたらおふくに髷替えしていたとかで、髷を見れば一目で分かったという話を聞き、昔の写真でおふくに結った舞妓さんを見ると複雑な気分になりましたが・・・
現在はそういった意味合いではなく、お店出ししてから1~3年程で髷替えするのが一般的だそうです。
見た目が大人っぽいと髷替えは早くなるようで、花街によってはお店出しから一年経たないうちにおふく髷になっていることもあるようです。
ですので、同じ時期にお店出しした舞妓さん同士でも、大人っぽい子は一年ほどでおふく髷、おぼこい子は三年ほどでおふく髷、というように差があったりします。

おふくになると、簪と着物が地味になります。
割れしのぶの時は大かんは小さいお花が沢山ついていて派手な色が多かったデザインから、花の数も基本的には三輪や一輪と少なくなって、色も落ち着いた感じになります。
後ろに挿していた、橘と呼ばれる珊瑚と翡翠の玉の付いた簪から、平打ちと呼ばれる銀や真鍮の簪(塗りの櫛を挿す時はお揃いの塗りの平簪)を挿します。
髷の手前に挿していた、花が沢山の段になっている勝山と呼ばれる大きな簪は、段の数が一段か三段で少し地味になっている細勝山と呼ばれる物か、または花櫛(摘み櫛)と呼ばれる櫛か、塗りの櫛を挿します。
花街によっては、おふく髷になると細勝山は挿さないで櫛のみというところもあります。
簪については好みもありますので、おふくの舞妓さんでも七輪のお花の簪を挿す場合もあります。
下の画像は左が細勝山です。割れしのぶ用の勝山とは違い、段が一段のみです。
右が夏用の糸巻き櫛です。糸巻き櫛は6月~9月の夏に挿し、摘み細工で出来た花櫛は10月~5月に挿します。

 


本物の舞妓さんに聞くと、おふくの方が割れしのぶよりも軽いそうです。
私は両方の髷を結った事はありますが、あまり意識していませんでしたけど、割れしのぶは鹿の子留めという飾りを髷に付けるので、確かに物理的にもおふくの方が軽いかも。
鹿の子留めも豪華な物になると銀の台に翡翠や珊瑚などの装飾がありますしね。

   

※画像は全て私が変身体験した時のものです。 

割れしのぶもおふくも結い方は途中までは一緒です。
ですが髷の位置は割れしのぶはより高く、頭の上にどんと乗っかっている感じですが、おふくになると髷の位置も下がるので、より大人びた雰囲気になると思います。

京都に数多い舞妓変身が出来るお店の置いてあるカツラの殆どは割れしのぶです。
最初からおふくのカツラを置いているお店はごく僅かのようです。
地毛で髪が結えるお店ならどちらの髪型も結えます。
初めて舞妓変身した時は髪型の違いなんて全然気にしていませんでしたが、舞妓変身にはまってアレコレと勉強しているうちに、舞妓さんの装いは本当に奥深いものなんだと思いました。
まだまだ結っていない舞妓さんの髪型、挿していない花簪もあるので、当分やめられそうにないですね(^^)


舞妓さんの髪型・奴島田

2007-01-30 21:17:20 | 京都・舞妓さん変身体験(髪型いろいろ)

年長の舞妓さんの髪型の一つで奴島田という髪型があります。
この髪型は本衣装(黒紋付)と替え衣装(色紋付)の時に結うそうです。
鬢付け油をたっぷりと塗ったかもじを使っているのでとても重い髷です。

今回、初めてこの髪型を結って正装の舞妓さんの格好をしました。
お正月らしく本衣装(黒紋付)です。
金糸などの刺繍が入った豪華な物で、襟もプラチナ糸です。髷には本物の翡翠と珊瑚の根掛けと、赤い手絡で飾って頂きました。
舞妓さんはこの髪型でお座敷に出る時は、お正月の花簪などの他に正装の時しか挿せない鼈甲の櫛と簪を挿します。
通常の衣装の時は襟足は二本足に塗りますが、本衣装の時は左下の画像のように三本足になります。一番右下の画像にある専用の金具を使って三本足に白粉を塗ります。

  

本衣装は祇園甲部では1月7日(一部の置屋では15日も)、替え衣装は1月14日まで着用し、祇園甲部の大きい舞妓さんは1月15日まで奴島田を結い続けます。
小さい舞妓さんは割れしのぶを結います。
でも最近聞いた話によると1月8日から1月14日まで、大きい舞妓さんは奴島田ではなく通常のおふく髷を結っていることもあるらしい、という情報を聞きました。
以前髪結いさんからは15日まで奴島田だから大変、という話を聞いていたのですが、置屋によるのかここ数年の話なのか?
祇園甲部以外の他の花街で、大きい舞妓さんがこの時期におふく髷を結っている姿も見かけたことはあります。
まぁ、奴島田を何日も結い続けるのはかなりしんどいので、特定の日だけにしているのかもしれません。

私は年末からお正月まで6日間この髪型で過ごしました。
舞妓さんは冬季は普通一週間から10日程度は日本髪を解かないで維持させるそうですが、この髪型は通常の髪型よりも髷が重く維持するのも大変なのだそうです。
私は結っている間は高枕で寝ましたが、寝ている時に髷の重みで根が緩んで下がって行くように感じました。
舞妓さんもそうですが、昔の人はよく重たい日本髪を結って寝られたと思います・・・・

お正月の舞妓変身体験」「お正月の舞妓変身体験その二」でも奴島田についての記事と写真があります。

 

※画像は全て私が変身体験した時のものです。 

 


舞妓さんの髪型・勝山

2006-07-11 22:21:41 | 京都・舞妓さん変身体験(髪型いろいろ)

祇園祭の期間になると、舞妓さんは勝山という特別の髪型を結います。
この髪型は舞妓さんなら誰でも結えるというわけではありません。普段おふくという髷を結っている大きい舞妓さんだけが結えます。

勝山髷は、元々は「勝山」という名の遊女が好んで武家風に結った髷から発展したものだと言われてます。
舞妓さんが結う勝山髷は京風ですし長い年月に間にアレンジされているでしょうから、元々の勝山髷とはちょっと雰囲気は違うと思います。
髷を輪にして左右から梵天という飾りを挿します。江戸時代のお姫様の吹輪という髪型と良く似ていて、とても豪華で可愛い髪形です。
勝山を結うのは、髪結いのタイミングにもよりますが、大体は鉾建が始まる7月10日頃から、花傘巡行(後祭)と還幸祭がある7月24日頃まで結うそうです。この時期は銀の祇園祭用の豪華な簪を挿します。

最近は本格的に舞妓さんの髪を結ってくれる変身のお店もいくつかあります。とても素敵な髪型なので結って戴いた事があります。
勝山髷は油をたっぷり塗ったかもじを使うのでとても重いです。

 


梵天には撫子の花が付いています。撫子の色はピンク色のが多いですが、好みによって赤にしたり、赤やピンクの中にちょっとだけ白を入れたり、襟替えの近い舞妓さんなどは水色などのちょっと地味な色にする事もあるそうです。
髷に付ける手絡の色も最初は赤で、キャリアによってピンク、水色、薄紫色と変わるそうです。
夏なので銀の箔押しした絽の布を使用して、より涼しげに見えます。
下の画像は、左が赤い手絡にピンクの撫子の梵天、右がピンクの手絡に水色の撫子の梵天です。右の方がよりキャリアのある舞妓さんの拵えという事になります。

 

 
お祭り用の簪も毎年デザインが変わるそうで、お花にトンボや露芝、団扇などがモチーフになります。
ある舞妓さんに聞いてみたところ、毎年デザインは変わるものの、祇園祭用の簪なら好きな物にして良いそうで、デザインが好きじゃないとか皆とは違う物を挿したいという場合は、過去に作られた簪で好みのデザインの物を挿してる舞妓さんもいるそうです。
髷の手前に挿す銀の飾りは、3段から7段までの段になっているのですが、大きい舞妓さんほど段の数が多くなるそうで、大きい舞妓さん用は5段から7段と聞いています。
小さい舞妓さん用は3段ですが、その分飾りが大きいです。
また、小さい舞妓さん用のはお花などの色が濃い目の色使い、大きい舞妓さん用のは色使いは地味になります。
下の画像はどちらも勝山髷ですが、簪は左が大きい舞妓さん用で5段、右が小さい舞妓さん用で3段です。
色が白っぽく飛んでいますが、実物はもう少し濃い色合いでした。
小さい舞妓さんは通常通り割れしのぶ髷に、この祇園祭の簪を挿します。
7月上旬、7月後半は、団扇や朝顔などの簪を挿します。
7月後半にあったイベントに来られた舞妓さんが、髷はすでに通常のおふく髷なのに、簪は祇園祭用のを挿してました。
7月後半に髷を変えたら、団扇などを挿すと聞いていたのですが、イベントだから派手な方が良いということなのか、豪華な祇園祭の簪を見ることが出来てお得でした。

 

※画像は全て私が変身体験した時のものです。

京都で五つある花街のうち、祇園甲部、先斗町、宮川町、祇園東は八坂神社の氏子で、上七軒は北野天満宮の氏子です。
北野天満宮の氏子である上七軒の舞妓さんは、勝山髷を結ったり祇園祭用の簪は挿したりはしないらしい?という話をどこかで聞いたことがあったのですが、数年前に祇園祭期間中の上七軒に行ったところ、勝山を結っている舞妓さんを見かけました。
所属する置屋さんの方針によって、結うところと結わないところがあるという話も後日どこかで聞きましたが、今は殆どの置屋で勝山を結わせているようです。
素敵な髪型ですものね、簪も豪華ですし(^^)


舞妓さんの髪型・お染(節分の変わり髷)

2006-03-06 23:01:33 | 京都・舞妓さん変身体験(髪型いろいろ)

節分の時には舞妓さんはいつもとは違った髷を結い、町娘のようなお着物を着て、特別な装いをするそうです。舞妓変身のお店でも、節分の時期には、節分の時の舞妓さんと同じような格好をさせてくれる所があります。

 

私が結った髪型は「お染」という髪型。出たばかりの若い舞妓さんが結う髪型で、割れしのぶという髷に橋というしっぽのような毛が掛かっています。昔はかなり若い娘さんが結った髪型なのでしょう。
今回は本物の舞妓さんが髪を結う美容室で結って戴きました。この時期はお茶屋のお客様なども舞妓さんの格好をさせて貰うそうで、美容室では日本髪を結うお客様が沢山いらっしゃいました。

 

※画像は全て私が変身体験した時のものです。

縮緬の可愛らしい柄のお着物に黒い襟を付け、くす玉の簪を挿すと江戸時代の町娘のような姿になります。この節分の時期に結える髪型は色々あるそうです。もっと他の髪型も結ってみたいな。もっと年を取る前にね。(^^;)今でも十分年寄りですけど・・・・