しょぼい毎日

いつも理想はでっかいが、結果はしょぼい・・・。そんな日常を綴ってみました

秋旅(1)20世紀の光景を求めて

2008-10-18 23:57:12 | 旅行記

10月10日(金)

今日から4泊5日の予定で旅に出ます。

高速鳴門で神戸方面行き始発バスに乗りJR新神戸駅へ向かいます。

Img_4692 ←新神戸駅で西進する0系「こだま」と遭遇。「20世紀の残照。0系が見られるとは!こいつは幸先よい」と一人喜んでいました。

8:25分発、ひかり364号に乗車し、静岡を目指します。久しぶりの東海道新幹線ですが、車内で爆睡!目が覚めたのは静岡到着直前。新幹線を降りても頭の中は、なかなか目覚めてくれません。

Img_4700 静岡から在来線に乗り継ぎ吉原へ。西側の跨線橋を渡るとそこは岳南鉄道の乗り換え口。左に見える緑の電車は、京王井の頭線デハ3000形の中間車を改装・運転室を設けた8000系「がくちゃん かぐや富士」(長い愛称)。右奥に見えるは、元松本電鉄のEO403号車電気機関車。ここでは、日本では絶滅寸前の私鉄貨物輸送を行っています。そして、これから訪れる比奈駅ではおそらく最後の突放*が行われています。これを見るために、私は駿河まで来ました。

*突放入換とは、入換機関車が推進運転で貨車の列を加速した後、列の途中の連結器を解放する。その後、機関車は急ブレーキをかけると、解放された先頭側の貨車は、慣性で走り続ける。貨車に添乗した構内作業掛が、突放された貨車のブレーキを操作し、貨車を目的の位置に停止させる一連の作業。端から見ていると、ひとりでに無人の貨車が走ってくる様である意味不気味・・・。いや不思議・・・。

Img_4709比奈駅を降りると、駅舎側に留置してあったチョコレート色のクラッシックな機関車ED501*に運転士が乗り込むのが見えました。これから入れ替え作業が始まる模様。なんと良いタイミングでしょうか!

*昭和3年川崎車両製で上田温泉電軌でデロ301号として使用。昭和40年三河鉄道へ譲渡後に名古屋鉄道へ入籍、ED501となった。昭和45年岳南鉄道へ譲渡。とても現役とは思えない、文化財級の機関車といえる。

Img_4746  ←動き出した貨車に、係員がしがみつき製紙工場内に運ばれていきます。

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←機関車が工場内にワムを押し込んでいきます。

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←貨車の入れ替えを縫うように、「新赤がえる」7000系電車がやって来ます。(同じく京王井の頭線デハ3000形改造車)

Img_4739 Img_4741 ←係員をステップに乗せたED501が工場から出てきます。

Img_4778←比奈駅隣接地に放置されているなぞの廃車体群

先ほどの作業は、普通の入れ替え。見たかった突放ではなかったけれど、車扱い貨物全盛期を彷彿とさせる作業でした。今が21世紀とは思えない、昔ながらの作業を間近で見ることが出来て大満足です。

Img_4847JR吉原に戻り、沼津に向かいます。ここで御殿場線に乗り換え。富士の裾野を越えていきます。松田にて途中下車。ここで小田急「新宿」直通特急<あさぎり6号>に乗り換えます。JR松田と小田急とはごく短い短絡線によって結ばれています。ここを通る列車は<あさぎり>4往復のみ。この短い短絡線を乗車しないことには、<日本の鉄道全線完乗>を達成できません。よって、<あさぎり>乗車は、この旅行の要でもあります。JR松田駅で切符を購入すると、硬券2(乗車券+特急券)と磁気券1(座席指定券)の計3枚出されてびっくり・・・・!

JRの駅で硬券が発券されるとは・・・。今が21世紀とは思えない!

↓JR側駅舎から短絡線方向をのぞむ。左側の線路が急カーブを描いて小田急線に接続する。

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このクラッシックな硬券で乗り込む電車が、未来的なデザインをしたJR東海371系電車です。この電車、タマゴを彷彿とさせる柔らかなフォルムを持ち、デザイン的にはJR特急の最高峰だと(私は)思います。同じ区間を乗り入れているケバイ塗色(私の主観)の小田急20000系電車より洗練されていると

Img_4865

車内も外装と違わず、登場当時JR東海が、いかに気合いを入れたかが分かるものとなっています。これだけ素晴らしい電車でありますが、量産されずわずか1編成しか作られませんでした。少数派故、消えるのも早いかもしれません。それまでに撮影したい列車です。雪のかぶった富士山をバックに1枚ものにしたい・・・。そんな望み(欲望)が湧いてきます・・・・。そんなことを考えている内に、新宿の高層ビル群が見えてきました。いつの間にか、知らないビルが増えています。

新宿からJRに乗り換え上野駅へ。Img_4874上野駅のコインロッカーに荷物を詰め込み上野公園に向かいます。先ほどまで激しく降った雨は上がった様ですが、陽はとっぷり暮れています。公園内は結構人通りも多く、賑やかです。7~8分歩くと目的の東京都美術館に到着しました。「フェルメール展 光の天才画家とデルフトの巨匠たち」を鑑賞します。今回の旅の行程で外せなかったのが<これ>!金曜日のみ8時まで開館(入館は7時30分)を利用して、かねてよりの念願を果たします。17世紀オランダの画家フェルメールは、現存する作品がわずか三十数点しかありません。この少ない作品のどれもが、西洋美術の至宝と呼んでもよいものなのですが、今回この展覧会に以下の7点が出品されています。

・マルタとマリアの家のキリスト
・ディアナとニンフたち
・小路
・ワイングラスを持つ娘
・リュートを調弦する女
・手紙を書く婦人と召使
・ヴァージナルの前に座る若い女

寡作な作家の作品、30数分の7が一度に集まるのですからこんな機会は滅多にありません。このようなわけで、遠くまで来てしまいました。本来なら海外の美術館に足を運ばなければならないのですから安上がりだとも言えます。

とは言え、今回はフェルメールの代表作といえる作品は来ていません。予定されていた<絵画芸術>は画が傷む恐れがあることからオーストリア政府から国外持ち出し許可が下りませんでした。ヒットラーが欲した、この絵を見てみたかった。こうなればウィーンに行くしかないんですが・・・。いったい、いつのことになるだろうか・・・・・?

光の魔術師の秘密を少し覗くことが出来ました。ともかく1600円の価値はありました。

願わくば<真珠の耳飾の少女> <牛乳を注ぐ女>の様な代表作が、いつかまた日本に来て欲しい・・・・*

*2000年以降、両作品とも日本に来ていました。このころは、絵画から遠ざかっていたとは言え、残念・・・・!2004年に神戸に、現在は国外禁止の<絵画芸術>が来ていた事を後で知り大ショック。

さて上野から秋葉原に電車で移動します。鉄研同期で現在単身赴任中のK池氏と待ち合わせ、何故か手羽先屋さんで再会を祝います。そこでジョッキを傾けながら、昔の鉄道談義に花が咲きます。K池氏も私も貨車を趣味とした仲間同士です。あそこの駅は撮影させてくれなかった。敷地外から撮影していたら、くず鉄泥棒と間違われてしまった等、今となっては懐かしい思い出話ばかりが出てきます。そして話の最後に「もう21世紀になってずいぶん経つからね。いままでよく車扱いの貨物輸送が残ってきたと思うよ・・・・。でも、もう貨車の趣味は終わってしまったな・・・。本当に・・・」という寂しい言葉を合図に、ささやかな宴は終わります。今夜は、東武「五反野」付近のK池氏のマンションに泊めてもらいます。思い出話が過ぎたのか足元が頼りない帰路となりました・・・。