10月11日(土)
K池氏のマンションを出ると、外は小雨模様。午後から天気回復という予報を信じて、JR東海道線藤沢駅に向かいます。最後の東京口ブルートレイン「フジブサ」(はやぶさ+富士併結列車)撮影するためです。お立ち台通信に掲載されていた藤沢駅東1.5Km地点までてくてく歩いていきます。目的のお立ち台には、既に重装備の同業者1名がスタンバイ中。了解を得て隣に陣取らせてもらいます。「フジブサ」を待つ間、同業者さんと世間話(マニア話)に興じます。大阪から来たという同業者サンの言う事には、「色々と東海道・山陽筋を渡り歩いたけど、ここ藤沢ポイントが一番!」と太鼓判を押されていました。
←例の231系のヘッドマーク付き団体電車の返しをキャッチ
その割に来ている人が少ない事を指摘すると「今日のカマ(EF66)は43号機で、人気がない機関車だからネ。関東の人は、何号機が引っ張ってるかが大事やから!」と分析してくれます。「さっきまでは231系のヘッドマーク付き団体電車を撮ろうと何人かいたんだけど、通過したら帰っちゃった。あっちの方がこっちの人(関東のマニア)にとっては魅力的みたい」これを聞いて驚きます。いくら珍しいヘッドマーク付き列車とは言え、所詮は通勤電車・・・。それなのに、ブルトレより優先するなんて、あり得ない・・・! 私との感覚の違いに少々戸惑いながら、人気のないカマを待ちます。
←人気の無い43号機に引かれた「フジブサ」
待った甲斐がありました。予定時刻より数分遅れで通過・・・。関東の方には魅力のないカマですが、私にとってはこの出会いは宝物となりました。同業者サンには待機中にブルトレ情報をいろいろと教えて頂きました。やはり、直接人から情報を得ることは大切です。
が、これが万能の真理でないことを、後日知ることになります。
←撤収しようとしたら、こんなのもやって来ました。
湘南ライナーで大宮まで出て、上越新幹線に乗り込みます。三連休初日とあって新潟行き「とき」自由席は超満員!客室内はすし詰めの為、窓のない連結部で立ちん坊を続けます。高崎・越後湯沢でも解消せず終点までこの状態では・・・と思っていたら<浦佐>で多数下車してようやく着席できました。が失礼ながら<浦佐>のような小さな街で大量の下車客があるのが驚きでした。
長岡で在来線の「北越」に乗り換え新津へ到着。三国山脈を抜け日本海側に来たというのに、どんよりした雲が頭上を覆います。橋上化した新津駅北口から送迎バスに乗りこみ新津車両所を目指します。
ステンレスの板切れ(乱暴な表現ですが)で箱を造り、それにに配線をはわせ、ドアや天井を取り着け、シートを取り付け・・・。そういう風に、徐々に電車の形になっていきます。<見学者は、電車が誕生する瞬間に立ち会える>様な展示になっています。
←工場外では、完成したばかりのE233が見学者を乗せて試運転しています。
解説の方のアナウンスによれば、車体つり上げより車体を正確に台車に下ろす方が圧倒的に難しく、熟練技術を要するとのこと。私が観た回は一発で決め、ギャラリーから拍手が・・・・・。それにしても電車のボディーが工場天井を移動する様は様はサンダーバード秘密基地かウルトラセブン極東基地内部みたいで、いつ見ても興奮します。
←キハE120もお披露目です。私的には、後ろのカラフルなスイッチャーに興味津々であります。
現在は京浜東北線用E233しか作っていない新津車両所ですが、意外にも楽しめました。
それにしても、流れ作業で次から次、電車が製造されていく様は、昔みたガンプラのCMを思い出させてくれます。《ここジオン開発工場では次々とモビルスーツが開発されていた・・・》というナレーションが頭に浮かびます。もっともここで製造されている白いE233系は連邦軍のGMに似ているような・・・・。
新津車両所を後にして、新津駅から羽越線を北上します。中条駅で下車。今回の新潟紀行の目玉とも言える、伝説の濃厚温泉<西方の湯>に向かいます。駅から乗り込んだタクシーの運転手さんに西方の湯に行くよう依頼すると「それどこですか?」との返事。思わず、言葉を失います。地元の認知度低すぎ・・・!住所地番を言い「ああ、あそこね」と頼りない言葉を返し、既に薄暗い新潟平野を海岸方面へ向かいます。
闇の中、どこを走っているのだろうという漠然とした不安とタクシーのメーターがどんどん上がっていく、直接的なサイフへの脅威が気分を滅入らせます。やがて、暗闇の中にほのかな明かりが。
ここが、全国の温泉通をうならせた、西方の湯です。それにしてもタクシー代2350円は痛い・・・。
フロントで500円支払い浴室へ。施設が必要以上?に巨大な為、少々廊下を歩きます。伝説?の温泉に入れるとあって子供の様にわくわくします。服を脱ぎ、浴室の戸を開けると「何じゃ、これ!」と叫んで、ただただこの温泉の凄さに圧倒されます。何がすごいって・・・。とにかくこの温泉、臭うんです!ずばり<アンモニア臭>!ひらたく言えば、便所の香り・・・・。
クレゾール臭、ヨード臭、アンモニア臭が混じっている。例え風邪をひいていて鼻が利かなかったとしても、くらくらしてしまう程に鼻を突く。湯の表面を黒い湯花が浮遊しているのが、ある意味不気味。お湯の色はほんの少しクリームを入れたコーヒー色。
とにかくこの温泉、ただものではありません。
内湯の外には岩風呂風の露天風呂が2つ見えます。照明が無いため、白い湯船と黒い湯船があるように見えました。私は、外の出て白い方に飛び込みます。飛び込んだのは、2本ある源泉の成分の薄い方と思っていました、が・・・・、何の感触もない。狐につままれる思いとはこのことです。あまりの暗さのため分からなかったのですが、お湯が張られているのは1つだけ。私が飛び込んだのは、お湯が無い浴槽でした。トホホです。隣の黒い湯のお風呂に改めて入り直します。少し身体が温まり、周囲を見回します。内湯の明かり以外の灯はありません。ここまで暗いとすこし気が滅入ります。と雲が切れて月の光があたりを照らします。驚いたことに巨大な像が起立しています。親鸞像だということです。15m(文献によっては40mとの記載も!ウルトラセブンと同じ身長や!)本来ならありがたいお姿なのでしょうが月明かりに浮かぶシルエットは奢れる現代人を懲らしめようとする、魔神かエヴァンゲリオンの使徒に見えてしまうのは、私の心が病んでいるからでしょうか・・・。罰当たりな自分を反省しつつ、温泉を出ます。 ←温泉ねこ 1歳の<もも> いつの間にか脱衣場に入ってきて、人なつこくすり寄ってきます。相手にされないと駕篭に入って「かまって、下さいニャー」と拗ねた仕草をします。私としては、ついつい構ってしまいます。彼女に気に入られた?だけでも来た甲斐があった!?
ともかく、これほど過激、もとい個性的な温泉は全国屈指と思われます。温泉通を自認する方は、一度は入浴すべき温泉と思われます。また施設自体もユニーク(ちぐはぐ)でありTV番組「探偵ナイトスクープ」で時々取り上げられる<パラダイス>の範疇に明らかに入ると思われます。
フロントで帰りのタクシーを呼んでもらい、JR中条駅へ。帰りのタクシーの運転手さんは来たときと同じ方でした。「私は、最近当地に来たばかりで実はまだこの土地をよく知らないんです。でもお客さんのおかげで<西方の湯>を知ることが出来ました。勉強させてもらいました。」嬉しそうに話しかけて来ます。私は心の中で<そんなこと言うなら、タクシー代もう少し勉強してよ!(まけてください)>叫んでいました。だって入浴料500円に対して往復約5000円の交通費はバランス悪すぎですもの・・・。とはいえ
貴重な経験でした。
そう考えれば、今日の出来事は全て愉快に思えてきました。
今日は新発田に戻って、明日に備えます。