全日本フィギュアスケート選手権2015が始まり、男子のSPが終了しました。
さすがに連戦で、かなりお疲れなんじゃないかと想像できるわけですが、事前報道によれば、安定しているとの情報と、ちょっと疲労気味なのではとの、2種類に分かれていた印象でしたが、演技を見て思ったのは、なるほど、その両方なのだな、と。
6分間練習では、抜群の精度で、完成度の高いジャンプを、安定感と共に見せてくれていました。
NHK杯、グランプリファイナル、全日本選手権という、この過密スケジュール気味の流れは毎年、トップ選手たちに負担が重く見え、ただブログでこうして追うだけでも私まで過労になりかかるくらいだから、相当に本当はキツイのではないかと想像されます。
羽生選手はそれでも今回、それらの情況を含めて、
「どんな中でもノーミス出来るように」という課題を自分に課して前向きに取り組んできたようです。
本番では、最初演技前がちょっと、いつもより気が焦っているように見えた気がしました。落ち着き切れていないような印象がありました。
最初の4回転サルコウが、ちょっと軸がぶれてしまい、着氷に失敗して転倒したのですが、直ちに立ち上がって立て直し、イーグルに繋げるという、ある意味では逆に凄いなというフォローを見せて、その後の演技では、難易度の高いジャンプもスピンも、ミスなく安定感を発揮してくれました。
羽生選手の技の完成度の高さや余裕から、もはや大変なことをやっているように全然見えなくなってしまっているところが、大したことをやっていないかに感じさせてマイナスの影響さえ見えてくるほどにレベルが上がった昨今の羽生選手ですが、
一つ失敗したらリスクの大きいショートで、2種類の4回転とトリプルアクセルを跳べるということ。
しかも4回転の一つはコンビネーションにして、残り二つは「超」のつく難易度の前後でこなし、それをあたかも余裕に見せて、抜群の完成度と美しさでこなす、そのことはやはりそれだけでそもそも「頭一つ抜けている」証拠です。
ステップは今回、レベル4に認定され、良かったですね!
神演技だの、神の領域だのと呼ばれるものというのは、自分が全く神ではないことを痛感出来ている時にこそ、そしてそのような心の状態でこそ、むしろ可能となるものだと、私は思います。
羽生選手はそれを、誰よりもわかっているからこそ、ここまで出来ているわけですが、
周りが色んなことを言い、煽り、期待し過ぎるからこそ、どうすれば良いのか。
ここからは、それが一番難しい闘いかなと、思います。
でも、きっと羽生選手はこれを、乗り越えていけるだろうと信じています!
疲労続きの中、また、羽生選手の長所を攻撃したような妨害の力が働いた中でも、きちんと演技をまとめられるほどの冷静さと謙虚さと強さを持ち、悔しさの中でも見せてくれた穏やかな笑顔や、直ちに反省して絶えず自分を見つめ直す態度も、一つ一つが、羽生選手がずっと目指してきた「本当の強さ」に、きちんと近づいている証拠じゃないかなと、私は思いました。
良い集中が出来ますように。
フリーは、明るい晴れやかな気持ちで終えられますように!
心から、お祈りしています!