2015年のグランプリ・ファイナル(2年連続in バルセロナ) で、羽生選手がNHK杯に続き、
史上最高難易度の演技を、ノーミス&ほぼパーフェクトでこなし、フリーの歴代最高得点を、さらに更新しました。
ショートと合わせて総合得点も歴代最高をさらに更新し、総合で330点越えという、とんでもない結果に。
その演技を観た直後の私の感想は、こちらページ。
本当に素晴らしくて、技術的難易度は、総合的にみて男子シングル史上、過去最高レベルでしたし、それをノーミスでパーフェクトにやってのけたということ、一つ一つが美しく高いレベルでまとまっており、出来栄え点が類をみない高さで評価されたことや、演技としての芸術性も非常に高かったということで、歴史に残る偉業だと騒がれました。
羽生選手のもっている技術の全てをつぎ込んだような演技でしたので、もともと技術において既存の男女枠を超えたような、特異な才能をもっていた羽生選手ですから、それを全て投入したようなあり得ない演技を実行したことは本当に凄いことだし、大変なことです。
羽生選手にある多彩の才能が、ことごとく生かされていて素晴らしいです。
特に、このフリーの「SEIMEI」で注目すべきだと私が思うこと、それがこの記事に書いてあります。↓
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151214-00000049-nksports-spo
以下、上の記事から、一部抜粋です。
[「極めるため、常に模索する。今大会では音響設備が日本に比べて良くないのを感じると、「一番大きくボリュームを上げて」と要求した。太鼓や笛の音を最大限に強め、会場に合わせた。イヤホンは常に10種類持ち歩くほどで、わずかなノイズも逃さない聴力に、曲の編集担当も舌を巻く。特にフリー「SEIMEI」は本人のこだわりで30バージョン以上の編曲を繰り返した作品。極めるには、ただ滑るだけでは不十分。その姿勢が快挙を生む。」
羽生選手は、今回初めて、曲の編曲から参加したのですが、ピッチを変更したり、冒頭に自分の息を吹き込んだり、色々と試行錯誤を重ねたとの情報は事前にテレビ放映でもありました。
でも、この記事によれば、羽生選手はなんと、30バージョンも編曲を作って、自分でベストを模索したのだそうです!
初めの頃とは曲の印象も全然変わったのが途中でわかったので、「かなり変えたな~すごく良くなったな~」とは思っていたのですが、「え?30バージョン?! そこまでやっていたのか!(笑)」という驚き。
こだわり抜いたのがよくわかります。 さすがですね!
最初に聞いたころは、曲がとても滑りにくそうに見えていました。 これじゃあ、ジャンプ成功できないよ、というのが私の率直な感想でした。
羽生選手も、和の音楽は、「いざやってみたら、色々大変だった。(西洋音楽と)全然違った。」とインタビューで答えていました。
そういった、あらゆる違和感がなくなっていくまで、調整したのでしょう。
音楽の、この羽生選手バージョンへの変更、すなわち、音楽の編曲に羽生選手自身が関わり、「羽生結弦化」したことこそが、このフリー「SEIMEI」の成功には、とてもとても大きく影響していると私は思っています。これなくして、この偉業はなかったでしょう。
さらに、この記事によれば、現地の会場での音響を自分で事前に確認して、色々と羽生選手の側から指示を出してお願いしている、とのことです。そういった一つ一つの細かいことが、音楽にピッタリ合った演技へとつながっているのですね!!
そこまでやれば、完全に演技の全てが、羽生選手の「指揮下」ですから、より「羽生選手らしさ」が発揮され、素晴らしくなるもの当然ですよね。
「和」のプログラムがスケートで難しく、失敗しやすいのは、まずそもそも音楽がフィギュアスケートと合わないことが多いからですし、曲調だったり、テンポだったり、あるいは、リズムが単調すぎて見ている側(聞いている側)が飽きやすい、盛り上がりにくい、など、様々な問題点が生じることが多いです。
それを避けるには、つなぎ方や編曲の仕方の工夫で、それらをカバーできると良いわけだったのですが、羽生選手には自分でそれが出来る才能までもが全部備わっていた、ということですね。
もう、どこまでも頑張って下さい、とことんこだわり抜いて下さい、としか言いようがないですね。(笑)
私は、かつてプルシェンコ選手が天才少年として出てきたとき、他の選手と比べても、その音楽の使い方が非常に特徴的で、印象に残ることが多かったのを、よく覚えています。
必ずしも原曲ではなく、ちゃんと「乗りやすい」リズムやテンポのアレンジバージョンをよく使っていて、確実に音楽をうまく利用し、彼の技術の成功に「活かされている」印象だったのです。 音楽と調和・一致しているから、見ていて気持ちよいし楽しい。
天才・プルシェンコ選手の快進撃の裏に、音楽の使い方の上手さが、あったと思います。
トップレベルの選手は、みな、そうだと思うのですが。
多くの羽生ファンの心に残っている、羽生選手の高校2年時の「旧・ロミオとジュリエット」も、音楽の組み合わせ・編曲・構成の仕方、使い方が、非常に効果的で素晴らしかったと思います。あの音楽の使い方があってこその、あの演技だったと、私は思っています。
さて、今回のグランプリファイナルの演技動画です。
日本語解説
撮影角度の違う、画質のキレイな動画
画質は悪いけど、ユーロスポーツの解説が聞ける動画(英語)
NHK杯との違いで印象的だったのは、後半の4回転トウ+3回転トウの着氷直後に、手の表現をつけて流麗に魅せていたことや、最後の3回転ルッツ着氷直後に、(NHK杯ではガッツポーズをとっていましたけど、)今回はやはり流れるような美しい動作を入れて、途切れることなくそのままデス・ドロップからのフライング・シットスピンに入る、その一連の流れが非常に美しく、とてもとても印象的でした。すごく良かったですね!
映像のことで言わせていただくなら、あの続きのシットスピンを、上から撮るのだけは本当にナシにしてほしいと私は思いました。
ドーナツスピンを上から撮影、というのは、過去に何度もありました。円の作り方の非常に美しい選手は、それがきちんと確認できるから、上から撮る意味があったと思うのですが、羽生選手のシットスピンを上から撮る意味って殆どないのではないかと思うのですが…。
羽生選手は、シットスピンの時に手の表現の工夫をわざわざ多様にやってくれているので、横からの撮影のほうが美しく見えるし、上から撮影されたら、ただの「亀の甲羅」みたいに見えるし、手の動きもよくわかりませんので…。(苦笑)
どのくらい低い位置まで腰を落として羽生選手がシットスピンをやっているのか、そここそが一番難易度の高いところで、なおかつ、羽生選手の突出して凄い実力が見られるところなのに、本当にもったいないと感じます!
最後のコレオ・シークエンスは、やはり最もすごくて印象的なのは、羽生選手得意のハイドロブレーディングで、最後に両手をつけて立ち上がっていくところですね。あれは本当に超がつくほどカッコイイですね~!!素晴らしい!!もうそれしか言えない!
今回は、NHK杯の時よりも気迫が凄かったように見えました。
美しさや、胸を打つような意味の深さを感じさせるのは、NHK杯の演技に軍配が上がるように思いましたけど、 カッコ良さ、ゾクゾク感、闘いに対する圧倒的な勝利感、という意味ではこちらが上だな、という印象でした。
どちらがより良いか…?と問われると、「どちらも良かった!両方良かった!(笑)」が私の感想です。
両方観られて良かったと思わせてくれる… そんな ちょっとした違いのある、それぞれに素晴らしい演技を披露出来た羽生選手に、もう大拍手を贈りたいです。
羽生選手は、練習の時はハイドロに手をつけなかったり、片手しかつけていなかったりしているので、それを見ると多分、本当に体力や筋力を使うので、一日に何度もやることは決してできないような、大変で疲れる、負担のある動作なのではないかと想像されます。
本番に賭けて、気迫を込めて、全てを投入するような気持ちで、全力でやっているように見えます。そして、見事に決まっている。
そこが本当に感動的なのですが。
そのすぐ後に、男性だと羽生選手以外はやらない(できない)、レイバック・イナバウアーを続けてやり、さらにそのまま、片足を氷につけずにぶんぶん振り回して回転していく「トラベリング・キャメル」という難易度の高い技をやりながら、最後のコンビネーション・スピンに入っていきます。
その最後のスピンでも、羽生選手のやっているスピンは非常に難易度の高いもので、特に、羽生選手しかできない、片足を頭の上に載せてぐるぐる回るあの体勢のキャメルスピンは、まさに「超柔軟・変態スピン」としか呼べないような、ちょっと男性の常識を超えているものだと思うので、最後の最後まで、どこまでも「羽生選手にしかできない」ような技をいくつもいくつも投入して、これでもかこれでもかー!と見せてくれる、そんな凄いプログラムになっています。
(でも、その分、羽生選手の身体に相当な負担がかかっているであろうことも、ファンとしては頭のどこかに、忘れないでおきたいですね。)
全てのジャンプ、ジャンプの種類、入り方と着氷後、その流れの美しさや完璧さもそうですし、前半に投入されている、ビールマン・スピンも含めて、本当にまさに、羽生選手が「一つも出し惜しみしないプログラム」になっている、そこがホントに凄くて感動的なのだと思います。
特に、後続ジャンプに両手上げを入れて下さったのが、私には最高です。(笑)
今回、女子の優勝者だったロシアのメドベデワ選手が、片手上げのタノ・ジャンプを多用しているのですが、羽生選手の両手上げのほうがずっと「美しい」という… それがもう驚きですね。いや、素晴らしいです。
唯一課題に上がるのが、たぶん、第2パートのステップシークエンスだと思うのですが、音楽にピッタリ合わせるとレベルが3に落ちる印象で、それはたぶん、和の音楽独特のリズムの難しさからくるのだろうと思います。でも、曲には合っているので、その時の方が見た目の印象は良いことが多いので、出来栄え点が高くなりますので、総合的には高評価になりますから、何が良いのか難しいところですね。
でも、羽生選手は、レベル4とれないと、気に入らないでしょうけれども。
あえて言うなら、最後のクロスロール(すり足のように見えるところ)が、最初のオータムクラシックの時の演技が、なぜか一番印象的で、動きが和的で、カッコよく見えました。
最初の頃は手抜き気味に見えた中間パートでしたが、前回も今回も、とにかく美しく澄んだ演技に変わった印象で、余韻があり、後続ジャンプが両手上げになった3回転アクセル+2回転トウループも含めて、とても流れるような美しさで満ちているところが、音楽にも合っていてとても素敵です。
だからこそ、演技全体にメリハリが効いているし、とにかく、今回の演技で凄いのは、ノーミスだというだけでなく、全てが「美しく」「流麗で」「流れが途切れることなく澱みなく」「ひたすらカッコよかった」という、もうそれに尽きるかと思います。
無理やりケチをつけるなら、最後、終わった後の顔が、やはりちょっと怖かったよ!(笑)という…
「サムライ」だったら、「してやったり」感のある、あれで素晴らしいとは思うし、死闘が繰り広げられた後なら、まさにあんな感じなのでしょうけれども、演技直前に思っていたという、「俺だぞ!」感が、ちょっと見えてしまったところかな、と思います。
日本的な「闘い」がメインテーマだと漠然とイメージしている人たちから見たら、あれで文句なしなのだと思いますが。
映像で顔が確認できなければ、わからないことであり、遠目で全身で見ていれば、何も問題ないとは思うのですが… 世界中の人は、テレビ映像で、細かい表情まで見えてしまうので、羽生選手も大変ですね。
ですから、ラストは、NHK杯のほうが、私はちょっとだけ良かったかな~と思いました。 理由は、「余裕の、圧倒的な勝利」「喜び」「精神的超越感」を感じるからです。
終わった後の、キス&クライでの涙、涙を流している羽生選手の顔は、なんとも言えない輝きがあって、本当にとても素敵でしたよ!
なぜ泣いているのか、自分でわからなくなっていることも含めて… それも含めて、とても素敵な涙だったと思いました。
美しい涙だと思いましたし、見ていてぐっとくる、一番の泣き顔でした。
本当におめでとう!! 本当に頑張ったよね!!
最高の演技でしたね!!
まだまだ、今後も、色々な「最高」が続くと私は思っていますけど…!!(笑)
この時の羽生選手に出来る、最高の演技を見せてくれて、全身全霊で成し遂げた演技を、本当にどうもありがとう!!
ショートもフリーもどちらも素晴らしくて、その両方がそろった、そこが本当に凄かったですね! しかも2大会連続。
これからも、果てしなく期待していますけど、でも、基本的には、
「楽しんじゃって、ちょうだ~い~~~♪」 です。(笑)
プルシェンコ選手が、「もっと上達する」と、羽生選手へ期待を込めて、賛辞とエールを下さっています。
http://www.nikkansports.com/sports/news/1580338.html
私は、4回転ループについては、羽生選手の冷静な判断に任せて、焦らずに待ちたいですね。
こちらは、演技終了後の、インタビューです。
インタビュアーがスペイン語と英語で話し、羽生選手が英語で答えています。以下、羽生選手はたぶんこう言いたかったんだよね、という予想を含めて、訳してみます。
質問者 「 ユヅル、あなたはもっと自分を向上させられると思いますか? あるいは、どのようにして、このような「トップ(トップスコア)」でいる状態に、向き合ってきたのでしょうか?」
羽生選手「わかりません。僕はただ、完璧な精神と完璧なジャンプを望み、全てのエレメンツを完璧に終わらせたかっただけです。 スコアはスコア、僕の演技は演技であって、それらは違うものですから。そうですよね? 僕は今日、とても良い気分です。 それは演技が理由なのではなく… つまり、僕が言いたいのは、皆さんが僕を支えて下さったことへの感謝。 僕の演技は、観客の皆さんとテレビの前の皆様のおかげだからです。」
質問者 「どのようにしてそのような氷上での「強固な自信」を得たのですか? 外から見ていて、すごく強い自信があるように見えるのですが。 どうやって得たの? 食べたの?どこで見つけたの?どこに行けばちょっとでも買えるの?(笑)」
羽生選手 「 わかりません。 僕こそ、何かそういったものが欲しかったくらいですから。 僕はとても緊張していたし、今日はとてもすごいプレッシャーがありました。 自信はありませんでした。どうか皆さんが教えてください。どうやったら僕の演技前に、自信を得られるのか。」
質問者 「じゃあ、秘密なのですね? どこからあなたの自信がくるのか、私たちにはわからない。(教えてもらえないのですね?)」
羽生選手 「いえいえ。秘密じゃありません。 そう答えたつもりなのですが。 どうか僕に教えてください。ここの住所に送って下さい。(下を指さす)」
質問者 「最後の質問です。あなたを尊敬し憧れて、たった今これを見ている小さなスケーターたちに、何を言ってあげられますか。」
羽生選手 「僕は小さい頃、NHK杯での花を拾うスケーターであり、旗持ちをやったりしていました。 僕は、プルシェンコ選手や、ジョニー・ウィアー選手や、アレクセイ・ヤグディン選手のような強いスケーターになれることを夢見ていました。 どうか、スケートを続けること、練習をあきらめずに続けて、夢を見続けて下さい。」
こちらは、解説の佐野さんが、羽生選手の今の4回転サルコウの凄さについて、解説して下さった番組動画です。↓
ジャンプは重力に逆らっているわけですからね。羽生選手は、理想の角度も計算していそうですよね。
こちらは、NHK杯とグランプリ・ファイナルの得点について、解説された番組の動画です。
もうすぐ、全日本選手権ですね。 お疲れが取れていますように。
羽生選手が、大会を通して、充実感と幸せを感じられますように…!!
望むのは、それだけです!(笑)
更新有難う御座います。
何度見てもかっこいい~~~
あ~何て素敵なの~~~
各国の解説者の皆様が、口を揃えてゆづ君の事、べた褒めして下さって本当に嬉しくてどうしましょう(笑)
同じ演技でも、見る角度によって随分違うものですね。
カメラワーク、私はNHKのほうが良かったかなって思いました。
中でも一番惜しかったのが、最後の見せ場、気持ちも盛り上がり、ハイドロの後手を前に差し出す胸キュン仕草なのに・・・え~~~何で角度かえるの~?駄目じゃないのスペインのカメラマンって本気で悲しかったですもの・・・
今回の「SEIMEI]もう最高のプログラムです。
今までの中で私の一番になっちゃいました。
あ・そうそう映画の「SEIMEI]の音楽で動画作られた方がいらして見させて頂きましたが、とても素晴らしかったですよ。
ゆづ君が編集に携わった「SEIMEI]とまた違った優雅さがあって・・・作られた方凄いと思いました。
いよいよ、明日からですね出場される選手の皆さん頑張って下さいね
そしてゆづ君、気負わずリラックスしてっていっても無理でしょうけど、応援してるからね。
管理人様、今日のコメントで、もし気分を害された所があったならごめんなさい。
それではまた