プロ・アスリート羽生結弦 公式・広報サイト(Yuzuru Hanyu' s Official Site)花になろうよ!

フィギュアスケートのプロでプロ・アスリート、
表現者・羽生結弦の公式・広報サイト 
teamSirius広報

日本のフィギュアスケート会場で写真撮影が禁止になったきっかけの事件と一部ファン、一部マスコミによる人権侵害

2017-06-13 | フィギュアスケート全般について

 

 

日本のフィギュアスケート会場で、海外では可能な写真撮影がなぜ禁止なのかと、不思議がる人たちがいますが、 

今から12年ほど前、当時からフィギュアスケートを見ていた人たちなら、そのきっかけとなった事件を知っていると思います。

 

これを、前から書こうかどうしようかと悩んでいたのですが、これは羽生選手のためのブログなので、

一応遠慮していました。 

 

だけど、羽生選手は、将来フィギュアスケート界を担っていく一人になるつもりなら、知っていた方が良いと思いますし、

羽生ファンのほとんどは知らない人ばかりですし、第二・第三の被害者を出さないためにも、残酷なことが積み重ならないためにも、書いてみることにしました。

 

これは、ある事件がきっかけでした。

 

その被害者となった選手の名は、安藤美姫さん。 

私の記憶が正しければ、当時、確か、17歳だったと思います。

 

(これから書くことは、安藤美姫さん本人と関係者と思われるかたから依頼があったり、何らかの事情で削除した方が良いと判断したら、削除するつもりです。)

 

この事件の詳細は、男性で知っている関係者やファンはそれなりにいると思いますが、

女性のファンで詳細を知っている人は少ないはずです。

 

だからこそ、女性だけど知ってしまっている数少ない一人として、女性視点から見たあの事件のことを、書いてみたいと思います。

 

理由は、それを知っているか知らないかで、「見方」「見え方」が大きく変わるだろうと思うからです…

 

 

当時私は、いつもは行かない歯科医院に、検診の予約を入れてみて、そこに初めて行ってみたことがありました。

予約制だったので、私以外だれも待合室に人はいなくて、座って周囲を見渡した時、

置かれていた雑誌ラックの中に、「フィギュアスケートの…」という見出しのついた雑誌を発見しました。

 

「フィギュアスケート」という文字を見ると、新聞でもなんでも、反射的に反応して記事を読む習慣があった私は、

いつものごとく反応して、その雑誌を引き上げてみました。

 

それは名前が有名な写真週刊誌でしたが、取り上げてみた途端、表紙が女性の裸だと気が付いて、「うっ」と一瞬思ったのですが、私は自分が女性だから、だからどうというほとでもないので、一瞬躊躇はしたのですが、

気にしないことにして、「フィギュアスケートの」写真が中にあるのを期待して、そのまま開いてみたのです。

 

私がアホだったのは、「写真週刊誌」とは、表紙がどうであろうと、文字通り「色んな写真が中にある週刊誌」のことなのだと、この時までは本気で思っていたことでした。

だから、普通の写真雑誌と同じように、「普通の」フィギュアスケートの写真が、あるものだと期待していたのです。(それまで、中を見たことはありませんでしたからね。)

 

でも、初めて中を見たこの雑誌は、ページをめくってもめくっても、ひたすら女性の裸ばかりが続き、

肝心な「フィギュアスケートの」写真はちっとも出てきませんでした。

 

ページをひたすらめくり続けて、後半に差し掛かった頃、ようやく私は、(もしかして、この雑誌は、「その手の写真」のみなのでは…?)という疑いを持ち始めました。(←遅いですね(笑))

 

どこにも、フィギュアスケートの写真を見つけられないまま、最後の1ページをめくろうとしたとき、私は心の中で怒っていました。(どこにもフィギュアスケートの写真なんてないじゃない!あの見出しは何だったの!)と。

 

そして、記憶が正しければ、確か、本当に最後の見開き1ページだったかと思います。

やっと「フィギュアスケートの…」という見出しを見つけました。 

 

「フィギュアスケートの…」の先の言葉は、何だったかは、私は覚えていません。

良く見出しを見ないまま、フィギュアスケートの写真を探しただけだった私は、そこで見た写真の数々に、あまりにも大きなショックを受けました。 

 

そこにあった写真は、それまで散々見させられてきた女性たちの写真より、はるかに激しいショックを私に与えたのです。

 

どんな写真だったかというと、人間の身体の「部分的な」ところを、そこだけの興味をもってカットして拡大した写真でした。 驚くような角度、それも色んな角度から、いくつも載せられていました。

 

これは、会場で撮られた写真でした。

一体どうやったら、こんな、そこだけの写真ばかりを撮れるのか、あるいは、どうやったら演技をしている最中に、そんな角度の写真を撮ることが出来るのか、私はむしろ不思議に思ったくらいです。

 

顔はもちろん載っていないので、この「部分的な」拡大写真が、いったい誰のものなのかは、普通の人には判りません。

顔を載せないことで、愚かにも、「配慮したつもり」だったのかもしれません。

 

だけど、フィギュアスケートを良く見ていた私には、そこに映り込んだ「衣装の一部」「衣装の切れ端」だけで、

それがもともと誰の写真なのかは、一発で判ってしまいました。

 

 

安藤美姫さんは、当時、明るく、元気はつらつとした印象の選手でした。 

人気がかなり上がってきて、男性ファンが増え、加熱していた頃かと思います。

だからこそ、そういう「変な」ファンが増え、「変な」需要が増し、「おかしな」目線が増え、そこに目を付けた写真週刊誌が、そのような写真を掲載したのだと思います。

 

この写真、男性がどう感じたかは私は知りませんが、

女性であった私から見たら、本当に言葉を失うほどに、本当にショックな写真でした。

 

一言で言うと、「人間として扱われていなかった」からです。

まさに、人格なき「モノ扱い」でした。

 

それまでさんざん載っていた、全身裸の女性たちの写真のほうが、まだ「人間として」映っていただけ、ずっとマシに見えたほどでした。 

(この写真を見るまでは、かなり呆れて見ていたのですが。)

 

例えていうなら…

誰か知り合いが亡くなって、御遺体に対面に行ったつもりが、

棺の中をのぞいたら、目に入ってきたのが、その故人の「人体のバラバラパーツだったような衝撃」、に近いかと。

(注:たとえです)

 

 

私はこれを見た後、ショックと激しい怒りを感じると同時に、思わず涙が出てきました。

 

もし自分が、17歳の時に、これを同じようなことをされたとしたら…と想像して、

多分私だったら、耐えられないな…と、そう感じたからです。

マスコミ不信はもちろん、人間不信にもなって、恥ずかしさのあまり、きっと消えてしまいたいような気持ちになるだろうな、と、そう思ったからです。

 

もちろん、私は彼女ではありませんし、彼女はフィギュアスケーターで、人にいつも見られているわけですし、性格も全然違うので、感じ方は人それぞれです。

 

でも、普通の女性だったら、普通の17歳の少女だったら、これは絶対に耐えがたいと思われる… 

そんな写真だったことは、証言しておきます。

それを、全国にばら撒かれたのです。 もちろん、本人の許可や同意もなく。

 

その2日後ぐらいだったでしょうか…

新聞で、「日本スケート連盟が、写真週刊誌に厳重抗議した」という記事を読んで、私はホッとしたのを覚えています。

 

確か、この後から、日本で、フィギュアスケートの会場における写真撮影が禁止になっていったはずです。

(違っていたらご指摘下さい。)

 

日本の会場でだけ、写真撮影が禁止になっているのは、かつて日本で、そういう不名誉な事件が起きたり、酷い人格侵害にあたるようなことが起きたからこそ、です。

 

その後、インタビューや取材などで、カメラに追い回されてテレビに映る安藤美姫さんの顔から、笑顔は完全に消え、

カメラに向かって、ものすごい形相でにらみつけてみたり、嫌悪感をむき出しにしたり、

それまでとは比べ物にならないほどの不愛想な敵対的な態度で、カメラを無視することが増えました。

 

私はそれを見て、安藤さん本人は、あれをきっと見てしまったんだな…と思いました。

 

そして、(ああ、無理もない…あんなことをされたら…)と思って、胸を痛めながら見ましたけど、

その事情を知らない多くの普通の女性たちは、

「ねえ、なんか安藤美姫は最近、いきなり態度が酷くなって、全然可愛くなくなったけど、どうしたんだろう…?」

などと不思議がるようになりました。

 

 

今でも時々、私は思うのです。

もしあの事件がなかったら、安藤さんの人生は、どう変わっていたのだろうか… と。

 

あの事件は、どれほど安藤さんを傷つけたのだろうか… と。

 

 

これを読んだ後、あなたの印象や感想は、何か変わったでしょうか。

 

私がとても残念だったのは、安藤さんはその後、ある意味、悪い方向へ開き直ってしまったかのようにも見え、

私が大好きな選手 2名(男女それぞれ1名ずつ(笑))に対して、

色気がないだのなんだのと、平気でいうようになってしまったことでした。

(私には十分な魅力があるように見えていましたので。)

 

でも、「マスコミとの距離感が苦手」などという安藤さんを見るたびに、私はあの写真を思い出すのです。

 

かつて、そんな事件があったということや、具体的な事情、どんな写真だったかなどを知っている人と、知らない人とでは、

たとえ同じものを見たとしても、そこから見えてくる真実というのは変わります。

 

一部の、自称ファンの暴走と、一部マスコミの度を越した行動というのは、時に人権侵害の域に達して、

人の人生を大きく狂わせます。

 

 

最近、見ていてとても気になることが沢山おきているのを見て、書くことを決めました。

 

 

私は、その歯科医院に行ったのは、その時一回きりで、それっきりです。

いつも行く歯科医院には、そのような写真週刊誌は置いてありませんでした。

もし、あの日あの時、そこに行かなければ、私もあれを見ることは決してなかったでしょうし、知ることもなかったでしょう。

想像さえできなかったと思います。

 

だけど、その写真週刊誌の発売日に、なぜかそこに行ってしまい、それを見ることになった偶然を、今では決して偶然とは思えないので、女性であれを当時きちんと見た人は本当に数少ないと思うので、どんなものだったのかを証言できる一人として、女性の視点で、あの写真を見た感想を書かせてもらいました。

 

 

特に、未成年の10代の少女に向けて(少年も同じですが)、そういった残酷な人権侵害が、二度と起きないことを願っています。

 

 

この文章が、かえって安藤さんを傷つけるものにならないことを、心から願って…

 

 

 

 

「御国が来ますように。
御心が行われますように、天におけるように地の上にも。」
(主の祈り (イエス=キリストの祈り) : マタイによる福音書6章10節  新約聖書  新共同訳より)

※ 御心… 神様の御意志、ご計画のこと


最新の画像もっと見る