母はふるさとの風

今は忘れられた美しい日本の言葉の響き、リズミカルな抒情詩は味わえば結構楽しい。 
ここはささやかな、ポエムの部屋です。

空の瞳

2013年06月30日 | 季節
六月
空の瞳に涙あふれ
目のふちからこぼれる涙は
細い瀧になり
幾つもに分かれ
ひろい地面を湿らせ
花々のつぼみを潤し
生き物を育み
自転する地球を糸車にして
生き物のすみかや家の屋根屋根をしとど濡らす
緑の山を 原っぱを
水の匂いで包む 

空の瞳は
海洋の国々の水の田を滑らかに光らせ
やがて白い雲のむこうに
絹衣をなびかす天女のように姿を消す

六月の空には目に見えぬ
幾つかの
瞳がある
物言わぬ
女神の瞳がある
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