樅の木は倒れて
地上から姿を消した
樅の木は長い歳月
家を庇護し野鳥を育くみ
脚元の屋敷神とともに
北風を遮り空に向かって
真の主の姿でどっしりと構え
長い間立っていたが
時は替わり樅の木は必要とされなくなった
彼は黙って涼しく何処かに
堂々と去っていった
賑やかに
多くの人人が集まり生まれ育っていった佳き時代
滔々と流れた慈愛の歳月を
樅の木はその体にから発し続けたが
慈しみの時が去ると
すべてが雲・霧のように無情に流れて変化したが
恨みの一言もなく消え去った
巨きな樅の木は小さな声を
それでも密かに発したが
天上の人ひとのほかには誰も
その声を聞き取れるものはいなかった
はるかに遠くからも眺められた高い梢
巨きな樅の木を
大地は永遠に忘れることはない
地上から姿を消した
樅の木は長い歳月
家を庇護し野鳥を育くみ
脚元の屋敷神とともに
北風を遮り空に向かって
真の主の姿でどっしりと構え
長い間立っていたが
時は替わり樅の木は必要とされなくなった
彼は黙って涼しく何処かに
堂々と去っていった
賑やかに
多くの人人が集まり生まれ育っていった佳き時代
滔々と流れた慈愛の歳月を
樅の木はその体にから発し続けたが
慈しみの時が去ると
すべてが雲・霧のように無情に流れて変化したが
恨みの一言もなく消え去った
巨きな樅の木は小さな声を
それでも密かに発したが
天上の人ひとのほかには誰も
その声を聞き取れるものはいなかった
はるかに遠くからも眺められた高い梢
巨きな樅の木を
大地は永遠に忘れることはない