紫紬の細い帯
ばあさまの形見の糸
大きな玉繭を煮て糸にとり
染め上げつむいでとんからり
七人の子を育てながらとんからり
逢ったことのないばあさまを
一本の細帯に偲ぶとき
秋は昔を語り出す
長火鉢の熾
長いキセルで吸う煙草
頭のてっぺんそり上げて
二百三高地の髪型に
たすきを掛けて山の家
蔵の二階でとんからり
機織りしていたその時代
時はしずかに流れ沢山の人が
長い歳月かけて育った家にもう誰も居ない
棲む人の居なくなった思い出の家に
秋は今年もやって来る
秋海棠がこぼれ咲き
柿の実が枝に残り紅く光る秋
単衣の着物が終わると
温い紬の季節が来る
もう誰も居ない家静かな蔵
ちいさな歴史は星になる
ばあさまの形見の糸
大きな玉繭を煮て糸にとり
染め上げつむいでとんからり
七人の子を育てながらとんからり
逢ったことのないばあさまを
一本の細帯に偲ぶとき
秋は昔を語り出す
長火鉢の熾
長いキセルで吸う煙草
頭のてっぺんそり上げて
二百三高地の髪型に
たすきを掛けて山の家
蔵の二階でとんからり
機織りしていたその時代
時はしずかに流れ沢山の人が
長い歳月かけて育った家にもう誰も居ない
棲む人の居なくなった思い出の家に
秋は今年もやって来る
秋海棠がこぼれ咲き
柿の実が枝に残り紅く光る秋
単衣の着物が終わると
温い紬の季節が来る
もう誰も居ない家静かな蔵
ちいさな歴史は星になる