最後の授業(29)
LA DERNIÈRE CLASSE
Récit d'un petit alsacien
————————— 【29】————————————————
Seulement les bancs, les pupitres s'étaient polis, frottés par
l'usage;les noyers de la cour avaient grandi, et le houblon
qu'il avait planté lui-même enguirlandait maintenant les
fenêtres jusqu'au toit. Quel crève-cœur ça devait être
pour ce pauvre homme de quitter toutes ces choses, et
d'entendre sa sœur qui allait, venait, dans la chambre au-
dessus, en train de fermer leurs malles ! car ils devaient
partir le lendemain, s'en aller du pays pour toujours.
—————————— (訳)—————————————————
ただ椅子と机は、こすられて、長年の使用でつるつるに光ってい
た;校庭のくるみは大きく成長していた.アメル先生お手植えの
ホップの木は今や、屋根のところまで窓を葉で飾っていた.これ
ら全てのものと別れることは、そして先生の妹さんが二階の部屋
で行ったり来たりして彼らのスーツケースの荷造りをしている音
を聞くことは、この哀れな人にとって、いかに断腸の思いであっ
たろうか.なぜと言って、彼らは明日出発しなければならず、永
久にこの国とおさらばするのだから.
—————————— 《語彙》———————————————
banc:(m) 腰掛、席
bancs (de l'école) 教室の生徒用椅子
pupitre:(m) 教室机
polis:(形、過去分詞、s は複数語尾) 光沢のある、磨かれた、
<polir (他) みがく、光らせる
frottés:(過去分詞+複数語尾s) <frotter (他) こする、摩擦する
l'usage:(m) 使用、「長年使ってきたこと」を言っています.
読み手と書き手の間に了解がなければle は使えないので
すが、使い続ければ光沢が出るという当然の原理として
「了解」扱いで定冠詞になっている.
noyer:(m) くるみの木、くるみ材
cour:(f) 中庭、校庭
avaient grandi:(3複大過去) 大きくなった
<grandir (自) 大きくなる、成長する
houblon:(m) [植物]カラハナソウ属クワ科の多年草植物、
ホップ(ビールの原料、ビールはホップと小麦で作る)
planté:(過去分詞) planter (他) (植物、球根を) 植える、
(種を)まく
enguirlandait:(半過去3単) <enguirlander [アンギルランデ](他)
❶花[葉]飾りで飾る; ❷叱りつける、どなりつける
crève-cœur:(m) [複数不変] 耐え難い悲しみ、断腸の思い
ça devait être:devait はdevoir の直説法半過去、
ここの文は後の de quitter ...と d'entendre にかかって、
(...と別れるということ、 ...を聞くということ、
それはどんなにか crève-cœur 「断腸の思い、耐えがたい
悲しみ」だったに違いない)の意味.
つまり
Ça devait être crève-cœur de quitter toutes ces choses.
ç = de quitter toutes ces choses
toutes ces choses = 教室の椅子や机、クルミの木や自分で
植樹したホップの木などなど
これらのもの全てと別れるのは、
entendre:(他) 聞く、…が聞こえる
malle:(f) 大型トランク、旅行用大カバン
devaient:(半過去3複) <devoir
pour toujours:(副) 永遠に