アルルの女(28)
———————————【28】———————————————
Le lendemain, à l'aube, la mère entendit quelqu'un
traverser sa chambre en courant. Elle eut comme un
pressentiment :
———Jan, c'est toi ?
Jan ne répond pas ; il est * déjà dans l'escalier.
Vite, vite la mère se lève :
———Jan, où vas-tu ?
———————————(訳)—————————————————
次の日の夜明け、母親は誰かが走りながら、部屋を通り抜ける
のが聞こえた。母親は虫の知らせのようなものを感じました。
———ジャン、お前なのかい?
ジャンは答えませんでした; すでに階段のところにいました。
急がなきゃ、急がなきゃと、母親は跳び起きた。
———お前、どこへ行く気なの?
———————————《語句》—————————————————
pressentiment (m) 予感、虫の知らせ
プレサンティモン
entendit:(単純過去3単) <entendre (他) (が)聞こえる、聞く
Entendez-vous le bruit des voitures ? / 車の音が聞こえますか?
——Oui, je l'entends. / ええ、聞こえます.
———————————≪文法≫—————————————————
il est * déjà dans l'escalier. 過去の話をしているのですが、現在形
になっています。 se lèveここの現在形も。印刷ミスではありません。
物語文は基本的に「過去形」ばかりなので、
それを繰り返してばかりでは、だんだん、面白くなくなるのです。
そこで、「読み手の眠気覚まし」の薬として、現在形をパッと入れます。
過去の話だからと言って、読者を安心させてはいけない。
現在形を使って、臨場感を作り、眠気を吹き飛ばしてもらいます。
これをprésent narratif (物語的現在)と言います。
過去でも現在形。天地がひっくり返る手法。空に草木が生え、地面に
お星さま、みたいな。そういう手法です。
飽きっぽい私たちのために、作者は苦労するのでございます
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