勝又壽良のワールドビュー
好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。
韓国、「逡巡」10月、日本で開催される日・米・豪・印4ヶ国安保対話に欠席後に「何が起こる?」
2020年09月25日
韓国経済ニュース時評米国経済ニュース時評
韓国の「中国恐怖症」は、骨の髄まで染みこんでいる。
頭では、中国から離れて米韓同盟の原則に戻らなければならないと考えている。だが、現実に行動へ移すには気が重い状態で逡巡している。
『朝鮮日報』(9月25日付)は、「韓国が二の足を踏む間にポンペオ長官、来月日本でクアッド会議」と題する記事を掲載した。
米国務省のポンペオ長官が来月初めに来韓した直後に日本を訪問し、日本、オーストラリア、インドと共に「4カ国安保対話(クアッド)」の会議を開催することが24日までに分かった。
自由民主主義などを主要な価値として共有するアジアの主要国と米国との協議体「クアッド」は、この会議で中国に対抗する同盟連帯を強化し、対応戦略について協議を行うとみられる。
(1)「韓国が抜けた状態で、米国が対中戦線参加国との同盟関係を固める場面が日本で演出される形だ。外交関係者の間では「韓国が米中の間で留保的な立場にこだわる間に、主要な多国間協議体の一員から外れてしまった」
「このままでは米国の同盟国の中で仲間外れの立場に転落するのではないか」など懸念の声が出ている」
朝鮮李朝時代末期と同じパターンである。
中国の顔色を覗って右往左往しているのだ。当時の世界情勢は、米英主導であったにもかかわらず、中国とロシアの両帝国を恐れていたのだ。
時代を読めないことが、現在の南北朝鮮分断の遠因にもなった。今の韓国と全く同じ振る舞いだ。
(2)「ポンペオ長官は来月7日ごろ、1泊2日の日程で来韓するが、その際にも中国に対する圧迫メッセージを公開の席で出すと予想されている。
ポンペオ長官は韓国側のカウンターパートとなる康京和(カン・ギョンファ)外交部(省に相当)長官と会談し、ファーウェイ排除、経済繁栄ネットワーク(EPN)への参加など、反中政策への積極的な協力を求めるとみられる。
米国による対中圧力政策が引き続き強化される中、韓国にこれらへの支持と参加を求める要請が一層強まっているのだ。
ある外交筋によると、米国は「クアッド」に韓国などを含める「クアッド・プラス体制」を構想しているという。
これに先立ち中国は先月末、楊潔チ・中国共産党外交担当政治局委員を韓国に派遣し、「米国の側に立つな」とのメッセージを間接的に伝えた」
韓国は、中国の恫喝に怒ってみたものの、次の行動が取れないという気弱さを抱えている。蛇に睨まれた蛙である。
立派な米韓同盟があってももこの「ていたらく」である。刷り込み現象とは恐ろしいものである。口先だけで、行動が伴わないのであろう。
(3)「米国の圧力にもかかわらず、韓国政府は「安全保障は米国、経済は中国」という基本政策を打ち出し、あいまいな立場を取り続けている。
ある外交官幹部OBは「政府は先月の韓米日国防相会議にも納得し難い理由で参加しないなど、米日と徐々に距離を取ろうとしている」
「これに対して中国、北朝鮮、ロシアは連帯を強化している」と指摘した」
このパラグラフは極端である。
米韓同盟を結ぶ韓国が、中国、北朝鮮、ロシアと連帯を強化しようというのならば、日韓首脳会談を開こうなどと考えるはずがない。
文政権は、心が千々に乱れており、ともかく日本とは協調関係を回復させようという「外交ヘッジ(保険)」に出てきたと見るべきだろう。
冒頭に指摘したように、韓国進歩派は意思統一されていない。日本を恐れるグループが存在するのだ。
『ハンギョレ新聞』(9月25日付)は、「『アジア版NATO』と安倍前首相の大きな影」と題するコラムを掲載した。筆者は、同紙のパク・ミンヒ論説委員である。
4カ国の安保対話を意味する「Quad(クアッド)」は、2007年に当時の安倍晋三首相の主導で始まった。
米国、日本、オーストラリア、インドが手を握り、中国に対応するための非公式安保フォーラムだ。
安倍首相は「自由と繁栄の弧」という概念を掲げ、米日印豪の4カ国が中心となって中国を包囲しようという構図を描いた。
(4)「最近この構想は、米日印豪4カ国が核となり、それ以外の国を下位パートナーとして引き入れて中国に対抗する多国間安保機構へと拡大しようという「Quadプラス」へと発展している。冷戦時代にNATO(北大西洋条約機構)がソ連に軍事的に対抗したことを連想させる「アジア版NATO」構想である。
米国は、ここに韓国が参加すべきとの信号を送り続けている。最近、スティーブン・ビーガン米国務副長官とマーク・エスパー国防長官が相次いで、インド太平洋地域にNATOのような多国間安保機構が必要だと述べ、Quad4カ国に加え、韓国、ニュージーランド、ベトナムなどに言及している」
米日印豪4カ国の「クアッド」は、将来の「アジア版NATO」を目指している。米国はここへ、韓国、ニュージーランド、ベトナムなどが参加することが望ましいとしている。
(5)「Quadには日本のアジア戦略が込められている。日本の右翼勢力は、日米同盟を強化しつつ韓国や台湾などを下位パートナーとして引き入れ、平和憲法の修正、自衛隊の軍備強化と活動範囲の拡大などを通じて軍事力を強化しようとしている。
これには、中国を抑えて日本がアジアの主導権を握るという意図とともに、米国がアジアから撤退する時に備えなければとの不安も作用している。
安倍前首相は、南北和解を推進する韓国の朝鮮半島平和プロセスをQuad戦略の障害と考えて執拗に妨害し、退任後も「アジア版NATO」のかたちで韓国外交に大きな影を落としている」
このパラグラフは、なんとも幼稚なことを言っている。
中国の飽くなき領土拡張の暴走を食い止めるために「クアッド・プラス」が構想されている。韓国が中国を恐れるように、アジアでも、共同でこの中国を食い止めようという案である。
韓国一国による中国のご機嫌取りでは、横暴を防げないのだ。
ならば、韓国も「クアッド・プラス」に参加する方が効果的である。
「合従」(同盟)は、「連衡」(一対一の関係)よりもはるかに安全である。
だから中国は、「合従」を嫌い「連衡」へ持ち込み、相手国を飲み込む意図である。秦の始皇帝が、中国を統一したときの手段が、合従を壊して連衡へ持込み征服した。この故事を忘れるな、ということである。
好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。
韓国、「逡巡」10月、日本で開催される日・米・豪・印4ヶ国安保対話に欠席後に「何が起こる?」
2020年09月25日
韓国経済ニュース時評米国経済ニュース時評
韓国の「中国恐怖症」は、骨の髄まで染みこんでいる。
頭では、中国から離れて米韓同盟の原則に戻らなければならないと考えている。だが、現実に行動へ移すには気が重い状態で逡巡している。
『朝鮮日報』(9月25日付)は、「韓国が二の足を踏む間にポンペオ長官、来月日本でクアッド会議」と題する記事を掲載した。
米国務省のポンペオ長官が来月初めに来韓した直後に日本を訪問し、日本、オーストラリア、インドと共に「4カ国安保対話(クアッド)」の会議を開催することが24日までに分かった。
自由民主主義などを主要な価値として共有するアジアの主要国と米国との協議体「クアッド」は、この会議で中国に対抗する同盟連帯を強化し、対応戦略について協議を行うとみられる。
(1)「韓国が抜けた状態で、米国が対中戦線参加国との同盟関係を固める場面が日本で演出される形だ。外交関係者の間では「韓国が米中の間で留保的な立場にこだわる間に、主要な多国間協議体の一員から外れてしまった」
「このままでは米国の同盟国の中で仲間外れの立場に転落するのではないか」など懸念の声が出ている」
朝鮮李朝時代末期と同じパターンである。
中国の顔色を覗って右往左往しているのだ。当時の世界情勢は、米英主導であったにもかかわらず、中国とロシアの両帝国を恐れていたのだ。
時代を読めないことが、現在の南北朝鮮分断の遠因にもなった。今の韓国と全く同じ振る舞いだ。
(2)「ポンペオ長官は来月7日ごろ、1泊2日の日程で来韓するが、その際にも中国に対する圧迫メッセージを公開の席で出すと予想されている。
ポンペオ長官は韓国側のカウンターパートとなる康京和(カン・ギョンファ)外交部(省に相当)長官と会談し、ファーウェイ排除、経済繁栄ネットワーク(EPN)への参加など、反中政策への積極的な協力を求めるとみられる。
米国による対中圧力政策が引き続き強化される中、韓国にこれらへの支持と参加を求める要請が一層強まっているのだ。
ある外交筋によると、米国は「クアッド」に韓国などを含める「クアッド・プラス体制」を構想しているという。
これに先立ち中国は先月末、楊潔チ・中国共産党外交担当政治局委員を韓国に派遣し、「米国の側に立つな」とのメッセージを間接的に伝えた」
韓国は、中国の恫喝に怒ってみたものの、次の行動が取れないという気弱さを抱えている。蛇に睨まれた蛙である。
立派な米韓同盟があってももこの「ていたらく」である。刷り込み現象とは恐ろしいものである。口先だけで、行動が伴わないのであろう。
(3)「米国の圧力にもかかわらず、韓国政府は「安全保障は米国、経済は中国」という基本政策を打ち出し、あいまいな立場を取り続けている。
ある外交官幹部OBは「政府は先月の韓米日国防相会議にも納得し難い理由で参加しないなど、米日と徐々に距離を取ろうとしている」
「これに対して中国、北朝鮮、ロシアは連帯を強化している」と指摘した」
このパラグラフは極端である。
米韓同盟を結ぶ韓国が、中国、北朝鮮、ロシアと連帯を強化しようというのならば、日韓首脳会談を開こうなどと考えるはずがない。
文政権は、心が千々に乱れており、ともかく日本とは協調関係を回復させようという「外交ヘッジ(保険)」に出てきたと見るべきだろう。
冒頭に指摘したように、韓国進歩派は意思統一されていない。日本を恐れるグループが存在するのだ。
『ハンギョレ新聞』(9月25日付)は、「『アジア版NATO』と安倍前首相の大きな影」と題するコラムを掲載した。筆者は、同紙のパク・ミンヒ論説委員である。
4カ国の安保対話を意味する「Quad(クアッド)」は、2007年に当時の安倍晋三首相の主導で始まった。
米国、日本、オーストラリア、インドが手を握り、中国に対応するための非公式安保フォーラムだ。
安倍首相は「自由と繁栄の弧」という概念を掲げ、米日印豪の4カ国が中心となって中国を包囲しようという構図を描いた。
(4)「最近この構想は、米日印豪4カ国が核となり、それ以外の国を下位パートナーとして引き入れて中国に対抗する多国間安保機構へと拡大しようという「Quadプラス」へと発展している。冷戦時代にNATO(北大西洋条約機構)がソ連に軍事的に対抗したことを連想させる「アジア版NATO」構想である。
米国は、ここに韓国が参加すべきとの信号を送り続けている。最近、スティーブン・ビーガン米国務副長官とマーク・エスパー国防長官が相次いで、インド太平洋地域にNATOのような多国間安保機構が必要だと述べ、Quad4カ国に加え、韓国、ニュージーランド、ベトナムなどに言及している」
米日印豪4カ国の「クアッド」は、将来の「アジア版NATO」を目指している。米国はここへ、韓国、ニュージーランド、ベトナムなどが参加することが望ましいとしている。
(5)「Quadには日本のアジア戦略が込められている。日本の右翼勢力は、日米同盟を強化しつつ韓国や台湾などを下位パートナーとして引き入れ、平和憲法の修正、自衛隊の軍備強化と活動範囲の拡大などを通じて軍事力を強化しようとしている。
これには、中国を抑えて日本がアジアの主導権を握るという意図とともに、米国がアジアから撤退する時に備えなければとの不安も作用している。
安倍前首相は、南北和解を推進する韓国の朝鮮半島平和プロセスをQuad戦略の障害と考えて執拗に妨害し、退任後も「アジア版NATO」のかたちで韓国外交に大きな影を落としている」
このパラグラフは、なんとも幼稚なことを言っている。
中国の飽くなき領土拡張の暴走を食い止めるために「クアッド・プラス」が構想されている。韓国が中国を恐れるように、アジアでも、共同でこの中国を食い止めようという案である。
韓国一国による中国のご機嫌取りでは、横暴を防げないのだ。
ならば、韓国も「クアッド・プラス」に参加する方が効果的である。
「合従」(同盟)は、「連衡」(一対一の関係)よりもはるかに安全である。
だから中国は、「合従」を嫌い「連衡」へ持ち込み、相手国を飲み込む意図である。秦の始皇帝が、中国を統一したときの手段が、合従を壊して連衡へ持込み征服した。この故事を忘れるな、ということである。