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韓国経済にまた一つ、重荷が増えた

2020-09-24 12:04:07 | 日記
勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。


韓国経済にまた一つ、重荷が増えた。ムーディーズは、韓国を代表する企業26社中の15社に対して、上半期業績不振を理由に信用格付け引下げを警告した。これは、韓国のマクロ経済にも重大な影響を及ぼすものだ。

『朝鮮日報』(9月24日付)は、「ムーディーズ、韓国大企業の信用格付け引き下げを警告」と題する記事を掲載した。

世界的な信用格付け会社、ムーディーズは23日、韓国の大企業の信用格付けを一斉に引き下げる可能性を警告した。ムーディーズは韓国の非金融分野の企業26社を分析した結果、半数を超える15社の上半期の業績が不振だったと評価した。



(1)「ムーディーズは、「世界的な景気低迷が続く中、韓国の非金融企業の信用度に圧力が続きそうだ」と予想した。

特に石油精製、化学、鉄鋼、自動車産業など景気に敏感な産業が大きな打撃を受けた。

ムーディーズは「これら産業はコロナによって最も大きな打撃を受け、景気回復遅延など外部のショックに弱い」と分析した。一方、通信業などはコロナによる影響をさほど受けていないとされた」

韓国経済を代表する企業の業績不振が明らかになっている。石油精製、化学、鉄鋼、自動車産業などだ。コロナ・パンデミックの大波を被った結果である。世界景気の回復を待つほかない。



(2)「今後の景気回復は、コロナの広がりをどれだけ抑制できるかにかかっているが、現時点で楽観は難しいとの見方を示した。ムーディーズは、「最近新規患者数が急増したのは、効果的なワクチンが登場するまでは(コロナの拡散を)継続的に抑制するのが難しいことを示している」と指摘した。ムーディーズは韓国を代表する企業の信用格付けが引き下げられる可能性が高いとした」

韓国大企業の信用格付けが、引下げられれば株価へ影響する。それは、通貨危機への序章となりかねず、韓国は緊張を強いられるのだ。


(3)「ムーディーズが格付けの対象にしている韓国の民間・非金融企業は、サムスン電子、現代自動車などを含む26社だ。

うち格付け見通しが「ネガティブ(弱含み)」なのが13社、「ステイブル(安定的)」なのが9社となっている。

格付け見通しが「ポジティブ(強含み)」の企業はなかった。信用格付けが「ネガティブ」とは、今後2年以内に信用格付けが低下する可能性が高いことを意味する」


格付け見通しが「ネガティブ(弱含み)」になれば、2年以内に格付け引下げの可能性が高まる。韓国経済には悪材料だ。

ここで、先々の経営環境がさらに悪化するという悲観的な見通しが高まっている。それは、文政権による企業規制立法が実現することである。

『中央日報』(9月24日付)は、「外国資本の投機との訴訟を助長しながら経済活性化を望むのか」と題する社説を掲載した。

企業は来るべきものが来たという雰囲気だ。

文在寅(ムン・ジェイン)政権が国政課題として推進してきた「企業規制3法」(公正取引法・商法・金融グループ監督法)が国務会議の議決を経て国会通過の直前段階に入った。

第20代国会でも企業の経営に致命打になるという懸念のためブレーキがかかったこの法案が、巨大与党の国会掌握をきっかけに推進力を得ることになり、企業は危機を迎えている。

(1)「現在の法案は世界的に類例がない急進性を帯びているのが問題だ。

憲法が保障する経営の自律性はもちろん、国際的な慣行から見ても反企業的な条項を持つ。

最も大きな問題は資産2兆ウォン(約1800億円)以上の企業に対する多重代表訴訟制と監査委員分離選任だ。

この2つの条項は企業の経営に対する無差別的な訴訟と投機の口実を与える。「財閥の経営透明」という名分の中、国内企業に対する投機資本の攻撃が日常化する可能性があるということだ」

資産1800億円以上の企業は、多重代表訴訟制と監査委員分離選任という2つの新たな問題が課されることになった。それぞれの内容は、後のパラグラグ


(2)「多重代表訴訟は、親会社の株主が子会社の経営不信を理由に子会社の取締役を相手に訴訟を提起できる制度だ。

子会社の上場の有無とも関係がないため、企業の新規事業もすべて訴訟の対象になる。訴訟乱発の可能性が高く、米国・日本でも親会社が子会社の株式100%を保有する場合に限り認められる。

実情がこうであるにもかかわらずそのまま導入する場合、持ち株会社体制の国内企業は子会社の経営の失策を口実に限りなく訴訟に巻き込まれる可能性がある」

子会社をつくる理由は、将来の成長が不透明な場合、とりあえず「子会社」として発足させて様子を見るケースだ。ベンチャー的な色彩もある。親会社役員が、この子会社まで業績不振を理由にして訴訟対象になるのは、子会社をつくれないという消極経営に追い込む。

(3)「監査委員の分離選任は、企業の取締役会に投機資本のトロイの木馬を入れるような格好になりかねない。

3人で構成される監査委員会で社内監査委員の議決権行使を制限する規定があり、大株主の影響力はすでに遮断されている。今回の改正案はこのルールの対象を外部監査委員2人に拡大する。この場合、投機的な外国資本が株主総会で力を合わせて監査委員選任に影響力を行使することができる。これも米国や日本では導入されていない」

監査委員は、3人で構成される。具体的には、企業出身監査委員と外部出身監査委員である。だが、企業出身監査委員は議決権行使を制限し、外部監査委員が2人へ増やされ、大幅な決定権を握る。ドイツ流監査役制度の導入であろう。

これは、投機的な株主の恣意的な運営にもなりかねず「危険」というもの。韓国株式市場は、外国資金が大きな影響力を持っているので、韓国企業が振り回される公算があるとしている。

(4)「結局、過度な企業規制は新型コロナ克服と経済活性化を推進する政府の政策にも逆行する。企業の支配構造を透明にするのはよいが、急進的にすれば企業は厳しい状況に直面する。国政課題という理由で強行することではない。企業の現実を十分に確認して失敗を犯さないことを望む」

前記の多重代表訴訟制と監査委員分離選任が、現実を無視して行われるとどうなるか。韓国企業は、守勢に回らざるを得なくなる。

立法主旨は、企業の恣意的行為を抑える目的であろう。ただ、理想論が先走ってしまうと、最低賃金の大幅引き引上げ時と同様、大きな反動をもたらす危険性が高い。韓国経済は要注意だ。

韓国は、複雑な心境にある

2020-09-24 11:37:24 | 日記
勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。  


韓国は、複雑な心境にある。

民族感情では日本へ一矢報いたいが、日本は経済的にGDP3位の規模を背景に、世界市場で技術的影響力を確立しているからだ。

日本は、半導体材料や半導体製造設備について、かつて日米半導体戦争を繰り広げ、技術的に優位にあった。その潜在的能力の高さは、今も変わりないのだ。

こういう日本を向こうに回して、韓国が半導体材料や半導体製造設備の国産化を目指すのは無駄であるという指摘

昨年7月、日本が韓国向け半導体3素材の輸出手続き規制強化をしたものの、輸出は滞りなく行われた。

半導体の主要3材料輸出で、日本がWTO(世界貿易機関)違反に問われる事態は起こらなかったのだ。

韓国は、それでも半導体3材料の内製化努力を進めているが、韓国国内でも「無駄な投資」と批判を浴びている。

『ロイター』(9月16日付)は、「韓国、官民タッグで半導体材料の『内製化』を推進」と題する記事を掲載した。

韓国政府が先月、拡充した半導体材料の試験施設をお披露目した際に目玉となったのは、サムスン電子が格安で売ってくれた最新鋭の露光装置だった。

9月14日、韓国政府が先月、拡充した半導体材料の試験施設をお披露目した際に目玉となったのは、サムスン電子が格安で譲渡した最新鋭の露光装置だった。

この施設は、国内のサプライヤーが、フォトレジストなどの半導体向け先端素材の製造や検査ができる態勢づくりを進めるのが目的。

日本が昨年、幾つかの半導体材料輸出を制限したことをきっかけに、韓国は内製化を推進している最中だ。

(1)「業界関係者からは、内製化実現への道のりは遠いとの声が聞かれる。ただ今年になって、新型コロナウイルスのパンデミックと米中対立激化によりサプライチェーンの世界的な変化が加速しているため、内製化の必要度は一層高まっている。

サムスンから露光装置の提供を受けた国立ナノ総合ファブセンター(NNFC)のリー・ジョウォン所長は、以前ならサムスンなどの大手半導体メーカーは、材料の調達に関して価格が最優先で、調達先がどこかは問わなかったと話す。

「だが日本の輸出制限とコロナが原因で、彼らは国内のサプライヤーを育成し、混乱なく材料を仕入れられる仕組みを構築し始めた」という」

韓国では、製造業の内製化が叫ばれている。パンデミックと米中対立激化によりサプライチェーンの世界的な変化が加速しているためだ。

もう一つ、日本の半導体輸出手続き規制を逃れる目的もある。

(2)「日韓関係に改善の兆しが見えないことから、韓国政府は依然として主に日本から仕入れているハイテク100品目の調達先を広げる取り組みを進めており、このために2022年までに5兆ウォンを投資すると表明した。

日本の輸出(手続き)制限を受けた3品目については、既に国内やベルギー、台湾、中国から仕入れている」

周知のように、半導体主要3材料輸出は、手続きに時間はかかったが全量、輸出されている。この点が誤報され、日本が「輸出制限した」ことになっている。困ったことだ。

(3)「とはいえ、規模の小さい韓国国内の半導体材料市場において、日本が優位に立つ最先端技術開発に多額の資金を投じることに経済的な合理性があるのか、との疑問も存在する。

また韓国政府は大手メーカーが国内のサプライヤーを使うことを望んでいるが、韓国産業連盟(FKI)幹部は、「品質面の保証がない限り、それは簡単なオプションとは言えない」とけん制した。

何しろサムスン、SKハイニックス、LGディスプレーは、アップルやクアルコム、華為技術(ファーウェイ)といった世界的なIT企業に製品を供給しており、韓国にとって半導体セクターは輸出の2割を占める重要な産業なのだ」

日本の半導体主要3材料は、品質・納期・価格で世界一の安定度を誇っている。それだけに、韓国企業は日本からの素材輸入に依存するという必然の理由がある。

仮に、韓国国内で生産できても、品質・納期・価格が安定しているか、それが最大の問題になる。

(4)「元SKハイニックスのエンジニアで現在、韓国産業技術大学教授のキム・サンヨン氏は、EUV(極端紫外線)フォトレジストのような高度な材料を内製化するにはそれなりの時間がかかると指摘する。

今、世界のフォトレジスト製品のシェアは日本が9割を握っている。

キム氏は、日本が輸出制限対象を半導体製造装置にまで拡大すれば、韓国は痛手を受けかねないと警告する。


韓国がなおも日本に大きく依存するハイテク100品目のうち、14品目は半導体製造装置関連で今は輸出が制限されていない。

ただキム氏は、日本がこの14品目を規制すれば、韓国の「半導体生産はストップする」と強調し、半導体の材料よりも製造装置とその部品の方がより足場が弱いと付け加えた

韓国が、日本に大きく依存するハイテク100品目のうち、14品目は半導体製造装置関連で目下、輸出制限されていない。

日本がこの14品目を規制すれば、韓国の「半導体生産はストップする」という。

韓国経済は、日本の技術と資本で成長発展してきた。本質的に、日本依存である。

この現実を理解すれば、日本と喧嘩することがどれほど危険かを知るであろう。

文在寅が「万事休す」へ…韓国で急浮上した「タマネギ女疑惑」のヤバすぎる末路

2020-09-23 11:10:34 | 日記
文在寅が「万事休す」へ…韓国で急浮上した「タマネギ女疑惑」のヤバすぎる末路

9/23(水) 6:31配信

武藤 正敏(元駐韓国特命全権大使)

文在寅政権に「新疑惑」が急浮上…!

文在寅大統領は、「タマネギ男」と呼ばれるチョ・グク前法務部長官の不正を可能な限りもみ消すために秋美愛(チュ・ミエ)前共に民主党代表を法務部長官に任命した。

そんな秋長官は検察改革を錦の御旗に強権をふるって検察の牙を抜き、チョ・グク氏をかばい続けた。

しかし、いまやそんな秋氏自身のスキャンダルが文政権の命運を握るほどに拡散しており、韓国のメディアも「第2のチョ・グク氏」「タマネギ女」だと皮肉っている。

これが文在政権の断末魔となる可能性もある。

秋長官は、息子S氏の陸軍入隊の際は配属などで優遇していたのか、休暇を不正に延長したのか、それに自身が関与してきたのかが問題となるやこれを隠蔽するため、発言が再三変わり、その信ぴょう性に疑念がもたれている。

また、疑惑の当事者である長官が検察の人事権や指揮権の発動によって捜査に介入することで、事件の隠ぺいを図ろうとしている。

秋氏が与党の前代表だったこともあり、政府与党は秋氏を全面的に支援し、庇う姿勢を示している。

保守系メディアはまた、秋長官が倒れると文在寅政権に対する捜査が再開され、今後の政治日程に多大な影響がでると与党が危機感を滲ませているからだと報じている。

「政権ぐるみ」で実行

文在寅政権のレームダック化が見えてきた photo/gettyimages

こうした一連の流れは、文在寅政権の体質と一致するものである。

権力を乱用し、それを私的に利用する。それが明るみに出れば、巧みな事実隠蔽と詭弁で世論を誘導する。

政府与党が一体となってこれを弁護する。検察や裁判所の人事を掌握し、もみ消しを図る。それを政権ぐるみで実行する。

文在寅政権は守りに強い政権である。

過去の政権であれば、文政権3年余りに起きた不正や政策の失敗がこれほど多く明るみに出れば、文政権への支持率の落ち込みは現状をはるかに凌いでいただろうし、そろそろレームダックになっていてもおかしくない。

朴槿恵大統領に至っては弾劾で失職している。しかし、文政権は新型コロナの封じ込みによって総選挙で大勝を収め、立法府まで支配するようになった。

秋長官のスキャンダルがどのような結末を迎えるかで、今後2年間の文政権の動向を占う手掛かりになるかもしれない。

これをすり抜けることができれば、いよいよ検察権力も支配下におさめ独裁への道を突き進むことになりかねない。

それは日本にとっても東アジアの安全保障への懸念、日韓関係の一層の悪化という事態をもたらすであろう。こうした視点で秋長官問題の動向に注目してみたい。

入隊の経緯

疑惑は深まるばかり 

秋美愛法務部長官の息子S氏の病気休暇延長のため、秋長官の補佐官が部隊の将校に電話を掛けたという証言記録が公開されて以降、秋長官の介入疑惑は盛り上がりを見せている。

9月14日から4日間にわたって行われた定期国会は、秋美愛長官の子供への特別待遇疑惑に対する激しい攻防が続いた。

14日の答弁で、秋長官はS氏の膝の状態に関連し、「まともに検査を受けたならば、少なくとも現役兵にはいかなかったはずだ。私の負担になりたくなくて、無理して現役で入隊したものだ」と入隊の経緯について語った。

しかし、朝鮮日報の取材によれば、S氏は手術後入隊までの間、留学していた英国では在学韓国人のサッカーチームで活動。

ユニフォーム姿の写真が残っている。実際にS氏と同様の診断で過去10年間に兵役免除された事例は1件もなかった由である。

入隊後の配属についても特別待遇疑惑が持ち上がっている。S氏の通訳兵選抜に関連しては、宋永武(ソン・ヨンム)元国防長官は「請託は共に民主党代表室からきていると聞いている」と明らかにしている。

当時の代表が秋長官である。

党代表室の誰かが共に民主党出身の国防部長官補佐官に請託を指示し、補佐官がこれを再び軍関係者に伝えたという。

その補佐官は軍関係者に「通訳兵問題をなぜ早く解決してくれないのか」と騒ぎ立てたといわれ、そのことは秋代表の指示を強く印象付けるものである。

片や「実刑判決」という現実も…

異常なことばかりが発覚していく 

また、KATUSA(在韓米軍に入増くされた韓国軍兵士)支援団長だったイ・チョルウォン予備役大佐は、


「秋氏の息子をソウル竜山の在韓米軍基地に配属してほしいという請託の電話を受けた」「S氏を平昌オリンピックの通訳兵に選抜するようにという全方位的な請託も実際にあった」と語っている。

23日にも及ぶS氏への休暇延長が許可された過程も異常である。病気休暇延長に不可欠な診断書や休暇命令書もない。

17日の国会で国民の力(旧・未来統合党)のキム・サンフン議員が「KATUSA支援班長との面談記録では、両親が(休暇の延長について)請願したことになっている」と追及、前日の会合では「2017年6月に国防部の陳情室に「女性」が電話をかけ、S氏の休暇について問い合わせ、秋長官の夫、徐盛煥(ソ・ソンファン)氏の名前を出したとの情報提供があった」との指摘もあった。

これに対し、秋長官は「私は請願したことはない。私の夫にも請願したことはないと確認した」と答弁した。

国防部はS氏関連疑惑について、「手続き上の問題はなかったと判断する」といったが、過去4年間で休暇から舞台に復帰せず、電話で病気休暇を年次休暇にして延長したのはS氏だけで、その休暇も「事後承認」だった。

S氏とほぼ同じ時期に兵役に就いた一等兵は休暇からの復帰が17分遅れただけで実刑判決を受けている。

韓国主要メディアも社説で「批判」!
 
秋長官は「KATUSAの休暇は韓国陸軍ではなく米軍の規定の適用を受ける」といった。

しかし、それは事実に反するという。KATUSAも休暇は韓国陸軍の規定を適応され、関連書類は5年間保管しなければならない。しかし、S氏関連の書類は保管されていない。

秋長官は、国会の答弁中に「自分は無限に耐え続けている」「私にどんな責任があるというのか」「確認されていない疑惑を提起する野党議員は、どう責任を取るつもりか」と逆に何度も声を荒げた由である。

このような詭弁を弄し、ウソがばれると声を荒げる不誠実な対応。それでも真実を追求できない韓国の国会の虚しさを感じる人も多いだろう。

秋長官を巡る介入疑惑が高まるや、共に民主党の「秋美愛防衛」体制は一層強化されている。


民主党の院内広報は16日、論評を通じ、「国のために献身することは軍人の本分だという安重根(アン・ジュングン)義士(発言のママ)の言葉を自ら実践するものだ」と述べた。

国民が「安義士が告別扱いで病気休暇を取ったのか」「安義士は休暇から戻ったことがあったか」「正気か」と憤ると、院内広報は「遺憾」だとして、安義士にかかわる部分は削除した。

主要メディアは安重根氏とS氏のケースを同一視したことの不見識に対し社説を掲載して批判している。

それでも秋長官は国会で「(自分の息子は)体調が悪いにもかかわらず、最後まで兵役に忠実だったこと、(安義士の)言葉に従ったことを強調したものだ」と院内広報に同調している。

S氏の体調がそれほど問題がないことは英国留学中のサッカー活動で明らかである。これは、S氏と同じ病状で兵役免除された人は過去10年間に一人もいなかったという事実を全面的に無視した発言である。

来年の「選挙」
 
民主党議員は、秋長官擁護で団結している。洪永杓(ホン・ヨンピョ)議員は秋長官に対する疑惑を提起した野党議員に向かって「かつて軍を私有化して政治に介入した勢力が昔はクーデターを起こしたが、もうそれができないから国会にきて工作している」と攻撃姿勢を貫いている。

さらに、「秋美愛氏の息子は体が痛くていかなくてもよい軍隊にいった。むしろ賞賛されるべきだ」(ソル・フン議員)、「(情報提供者である)当直兵士が到底単独犯だと見られない。

共犯勢力も徹底的に究明しなければならない」(ファン・ヒ議員)などと事実に反する抗弁、むしろ秋長官を被害者として情報提供者を追い詰める動きを見せている。

与党のこうしたスタンスは、S氏を巡る疑惑が秋長官の退陣を狙った野党・保守勢力の政治攻勢ととらえているからである。

「野党の攻勢で秋長官が倒れれば、政権の保護膜が消える」、

「与党の検察に対する掌握力の低下する」

「そうなれば尹錫悦(ユン・ソクヨル)検事総長の政権捜査などの逆襲を招きかねず、現政権がレームダックになるリスクもある」とみているからである。

さらに今後の政治日程を見ても来年4月にはソウル・釜山市長選挙、22年3月には大統領選挙がある。

秋長官の問題で譲歩すれば、支持層の分裂などで政権維持に支障が生じかねないとの見方もある。

チョ・グク前長官をかばったのも今年4月の総選挙を見据えてのものであったのと同じ構図である。

すべては「政権与党」を守るために
 
秋長官はこのような与党の力強い加勢を受けて、定期国会を乗り切ったと見ているのではないか。

韓国の国会は与党勢力が全議席の3分の2であり、野党の攻勢には限界があるのも事実である。国会が休会となれば、秋氏に対する追及も下火になる可能性がある。

S氏を巡る検察の捜査への秋長官の指揮権発動と人事、それに検察幹部の「忖度」はすさまじいものがある。

S氏の軍休暇未復帰問題を捜査しているソウル東部地検は、当時国会議員だった秋氏の補佐官と電話で話したという部隊関係者の陳実を得ながらも参考人調書から外したという疑惑が取りざたされている。

当時の担当捜査官は「証明できるのか」「確かなのか」と聞き返し、あいまいだとして、その内容を陳実調書に入れなかったという。

また、大検察庁刑事部長だったキム・グァンジョン氏は関連診療記録の家宅捜索を阻止し、その代わりに秋長官が取ってきた記録を任意で提出してもらえと指揮していたことも明らかになった。

それでも捜査チームが家宅捜索をすると、同部長をS氏の事件を捜査するソウル東部地検の地検長に昇進させている。

キム検事長が率いる新捜査チームは、次長検事はもちろん部長検事まで政権側の人物で埋め尽くされているという。

秋長官とS氏の疑惑はそれほど複雑な事案ではない。検察が意思をもってまともに捜査すればすぐにでも真実が明らかになるはずだ。

それでも政府与党が秋長官親子を擁護し、それを隠れ蓑に秋長官が自分の私的な問題で指揮権を発動し、人事を私する。これが文在寅政権が執着していた検察改革なのか。

文政権の独裁体制がいよいよ確立へ…?

秋長官は、1月13日、チョ・グク前法務部長官の親族に関するスキャンダルや大統領府による市長選挙介入疑惑などの捜査を指揮していた大検察庁(最高検)の幹部を交代させた。

これによって、尹錫悦検事総長の側近の多くが大検察庁を離れることになった。
 
これは検察改革への布石の体裁をとりつつ、実際には政権にとって都合が悪い捜査の妨害を目的としたものだとの批判を受けている。

文在寅政権は高位公職者犯罪捜査処の設置など、自身に都合のいい検察改革を着々と進め、政権への打撃を抑える体制を構築している。

結論:文政権の独裁体制がいよいよ確立か――。

文政権は立法、行政、司法の権力を独占し、言論への支配力を強めている。

そこへきて政権へのけん制勢力となりうる検察を抑え込めば、怖いもの知らず、である。

秋長官親子への捜査はその一つの試金石となるであろう。

武藤 正敏(元駐韓国特命全権大使)

現実路線より喧嘩路線 韓国政府が菅総理の「倍返し」を恐れるワケ

2020-09-23 11:01:35 | 日記
現実路線より喧嘩路線 韓国政府が菅総理の「倍返し」を恐れるワケ

9/23(水) 6:01配信

文春オンライン

ポイント3:朝鮮半島政策への厳しい姿勢
 
菅氏の特質は、日韓関係にも影響するだろうと見られている。

 
日韓関係のなかで外務省や官僚が玉虫色、曖昧にしてきた課題は数多い。韓国に対して折れる、というシーンも多かった。

「日本が折れてくるから、韓国サイドは何度も慰安婦問題や徴用工問題を蒸し返してくるという状況が続いています。

実際に慰安婦合意についても、文在寅政権のもと事実上の“破棄状態”が続いています。

こうした曖昧な状況について、菅総理が果たしてどう対応するのかに注目が集まっています」(前出・外交ジャーナリススト)

菅氏は、もともと自民党の対北朝鮮経済制裁シミュレーションチームの座長を務め、様々な対策を主導してきた政治家だった。


「菅氏が特に力を入れていたのが、北朝鮮が核実験を行った場合の対応策でした。国連安全保障理事会の経済制裁決議がなくても、北朝鮮船舶の日本への全面的な入港禁止などの経済制裁措置をただちに発動することなどを、積極的に提唱していました」(前出・政治部記者)

2013年、韓国・海空軍と海洋警察が島根県・竹島で防衛訓練を実施したことに関し、菅官房長官(当時)は「わが国の立場から受け入れられず極めて遺憾だ」と述べた。

菅氏は直ちに外務省官僚を呼びつけ、「竹島は歴史的にも国際法上も、わが国固有の領土だ」と憤りを見せたといわれている。

「このときも、『国際司法裁判所に提訴することを検討しろ』と菅氏は真っ先に言い出したのです。やられたら、やり返すというのが菅氏の外交スタンスではないか、と囁かれるようになりました」(前出・外務省関係者)

徴用工問題、GSOMIA問題などでは、常に安倍政権のもと官房長官として厳正に対処してきた菅氏。

しかし、勘違いしてはならないのは、外交方針は同じように見えて、安倍氏が外交現実路線を取って来たタイプであるのに比べ、菅氏はより“仁義”や“筋”を重んじるタイプであるということだ。

「韓国に対する思想的なものはないけど、菅氏は韓国が領土問題や歴史問題を仕掛けてきたならば『倍返しするぞ!』という喧嘩上等の姿勢を持つ政治家です。

韓国政府にとっては現実路線を取ってきた安倍政権よりも、手ごわい相手になりかもしれません」(前出・政治部記者)

はたして菅政権は“嫌韓”ならぬ“喧韓”へと舵を切るのか。


赤石 晋一郎

韓国の世代間格差と若者の怒り

2020-09-22 17:31:00 | 日記
韓国の世代間格差と若者の怒り

2020年09月15日(火)11時35分

韓国の世代間格差と若者の怒り


<高成長時代にまだ少なかった大学卒としていい会社に入り家も手に入れた386世代に対し、アジア通貨危機後に社会に出た世代は安定した仕事もお金もないない尽くし>

韓国社会における世代間の葛藤が深刻化している。

朝鮮戦争以降、韓国社会の世代区分は多様な定義があり、重複する年もあるものの、大きく

(1)ベビーブーム世代(1955年~1963年生まれ)、

(2)386世代(1960年代生まれ)、

(3)X世代(1970年代生まれ)、

(4)Y世代(1980年~1995年生まれ、ミレニアル世代ともいう)、

(5)Z世代(1996年~2012年生まれ)に区分することができる。

韓国社会における世代間の葛藤は多様な世代間で起きているものの、

主には若者世代や高齢者世代、そして386世代とそれ以降に生まれた世代を中心に議論することができる。

空気を読めない一部の高齢者

まず、若者世代や高齢者世代の葛藤は主に意識の差により発生している。韓国社会には今も「儒教思想」が根強く残っている。

目上の人とお酒を飲むときには失礼がないように顔を横に回して飲む、若者は電車の優先席に座らない、普通席に座っていてもお年寄りが乗ると席を譲る等、義務ではないものの、若者が守るべきことは多い。

人口高齢化の進展に伴い、地下鉄会社が1984年から段階的に65歳以上の高齢者に対する乗車料金を無料化してきたために、地下鉄を利用する高齢者は急増した。

10年前には、無料であることを利用した格安の「老人地下鉄宅配」というビジネスも登場したほどだ。

高齢者の利用が増えたことで、若者が座って休める確率は低下した可能性が高い。

料金を払って地下鉄を利用する若者の多くが、無料で地下鉄を利用する高齢者に席を譲ることについて不満を感じても不思議はない。

しかも、一部の高齢者は若者が席を譲ることを当たり前と考えている。若者が席を譲るように大声を出したり、怒鳴ったりする。

若者だって、仕事や学業で疲れているときもあり、体の調子が良くないときもある。

そんな時には席に座ってゆっくりしたいだろう。だがそれを認めない高齢者がいる。

いくら儒教思想が大事でも、席を譲ることを強いられると、高齢者のことが嫌になり、世代間の葛藤はさらに深まるだろう。

地下鉄の席を例に若者世代と高齢者世代の葛藤を説明したが、地下鉄以外の場所でも「最近の若者はだめ」だと言いながら、若者にやたらと説教をする高齢者が存在し、世代間の葛藤の一因になっている。

若者は彼らを「コンデ」と呼び、一緒にいることをできる限り回避しようとする。

「コンデ」とは元々親や教師を指す若者の隠語で、高齢者世代(広くは中高年世代)を意味する。

彼らは、自身の経験を一般化して若者に考えや行動などを一方的に強要したり、自分の若い頃の自慢話ばかりをしたり、なんでも経験して分かっているように語る。

もちろん、高齢者のすべてが「コンデ」ではない。しかしながら韓国社会における「コンデ」は、会社、電車の中、教会等、どこにも存在している。

次は、386世代と若者世代の間の葛藤だ。

386世代とは、1990年代に年齢が30代で、1980年代に大学生活を送り民主化運動にかかわった1960年代に生まれた者を指しており、(30代、80年代、60年代の3,8,6を取って386世代と称する)現在はほぼ50代になったことで、最近では586世代とも呼ばれている。

若者世代や高齢者世代の葛藤が主に意識の差による葛藤だとすると、386世代と若者世代の間の葛藤は経済的要因に起因する。
 
現在、韓国社会の中心とも言える386世代は、政治や経済に与える影響力においてX世代やY世代を大きく上回っている。

1960年代生まれの386世代は、1970年末〜1980年代に大学に入学した。

当時の高校卒業生の大学進学率は3割を少し上回っていたので、約7割が大学に進学する今とは大学生の存在感が大きく異なる。

彼らは社会のエリートとして評価され、キャンパスのロマンスを楽しみ、マッコリを飲みながら軍事政権を批判し民主化について語った。

386世代は学業より学生運動や民主化運動に重きを置いたにもかかわらず、大きな問題なく労働市場に加わることができた。

当時の韓国経済が絶好調だったからだ。

1985年からアジア通貨危機が発生した1997年までの経済成長率は平均9.1%に達し、失業率は完全雇用ともと言える2%台にとどまっていた。

だが、1997年に起きたアジア通貨危機により状況は急変した。

ウォンが暴落し、金利が上昇すると企業倒産が相次き、街には失業者が溢れた。

1998年の経済成長率は統計が始まってから最も低いマイナス0.51%を記録し、1997年には2.6%だった失業率は1999年2月には8.8%に、さらに若者失業率は14.5%まで上昇した。

労働の質と量の改善を

アジア通貨危機に見舞われた韓国政府はIMFから融資を受ける条件として、企業、金融、公共部門、労働市場の4部門における構造改革を行った。

1998年以降、IMF の指導の下で諸改革を進めたことにより、韓国経済は少しずつ回復し始めたものの、企業は危機管理体制を緩めず、正規職の代わりに非正規職を増やす雇用対策に切り替えた。

その影響は、当時労働市場に進出し始めたX世代やその後のY世代、そして最近のZ世代まで及んでいる。

2019年時点の非正規労働者の割合は36.4%に達しており、2015年の4年制大卒者のうち、正規職として就職した人の割合は52.5%に過ぎない。

卒業すれば正規職が当たり前だった386世代とは状況が大きく変わっている。

その結果、若者世代の多くが恋愛、結婚、出産、人間関係(就職)、マイホーム、夢、希望を諦めている。

韓国社会において世代間の葛藤は、「コンデ」の存在や世代間の意識の差が一つの原因かも知れないが、最も大きい部分は経済的要因に起因している。

そして、経済的要因、つまり、経済的格差に影響を与えるのが「労働の質と量」である。

従って、今後世代間の格差や葛藤を解消するためには労働の量や質を改善するための政策を持続的に実施する必要がある。

また、世代内の不公正により格差や鬱憤が発生しないように慎重な対策を講じるべきである。

安心して働ける社会や公正な社会を実現することこそが世代間と世代内の格差や葛藤を解決する近道であることを忘れてはならない。

※本稿の詳細は、現代韓国朝鮮学会の『現代韓国朝鮮研究』第20号に近日公開される予定である。