新しい医薬品を世に送り出す場合、その開発において非臨床試験と臨床試験の二段階を通過する必要があります。。前者は試験管等の非生体におけるものや人以外の動物を使ったものであり、後者は健康な人そして目的の病気をもった人を対象とした試験です。この試験を通過して有効性が有害性より優ると評価されると、医薬品として世に出回ることが出来るようになります。ただ一度医薬品と認められても、安全性や有効性はその後も評価されます。この評価が悪いとその医薬品は姿を消していきます。
二重盲検法という手法は、ある目的の病気にその薬が有効であるか比較試験をするときに用いられます(臨床第3相試験)。これにはその評価する薬とプラセボ(偽薬)の2種類を用意します。そして薬を投与し評価する側も患者もそれがどちらであるか隠されて、第三者のみが分かるようにしておきます。これにより「これは薬だから効くはず」とか「これはプラセボだから効かない」という思い込み(バイアス)による評価が排除されます。
なおプラセボ効果は心理的に起きるとは限りません。信じる信じないに関わらずその効果が現れるからです。またその人が信じているということは科学的に測定できません。
この二重盲検法は薬という物質を評価するにはとても有効な手法です。しかしそれでも臨床試験にバイアスというものは入り込んできます。例えば製薬企業が資金提供した臨床試験ではその結果が製薬企業に有利に解釈されると報告されています。(註1)
現在、鍼灸の有効性を科学的に実証しようとする動きがあります。そしてその時避けて通れないのが臨床試験です。ただし実証とは須らく純粋経験に負うべきものであり、それは個人的なものです。それを科学的にしたいと望むと統計学が関わってきます。
はたして鍼灸の有効性の評価に二重盲検法は利用できるのでしょうか。
(註1)スペインLa Fe小児病院のAntonio Nieto氏、Arch Intern Med誌2007年10月22日号
(ムガク)
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