sacrifice

夢の中で私は小さな子どもを胸に抱えている。

懸命にあらゆるものから守ろうとしている。

でも途中から薄々と、だんだんはっきりと気がついてしまう。

このあと行き着く先に待っているのはココナッツの硬い皮を剥くために地面に刺さった槍のような道具、私はその子をそこに突き刺すために向かっているのだ。

何より大切に自分にも替えて守ろうとしているこの赤ん坊を、硬いココナッツのようにそこに突き刺すために進んでいるのだ。

どうせならくるしまずすぐに死ぬようにしないといけないと思いながら呆然と進む。

そこでまた気がついた。

その子もまた私だということを。

必ずその子を失うということ、そしてその先にしか希望はないということを。