初めてその人に会ったのはスクリーン越しだった。
確かまだ蒸し暑い梅雨の頃。
16分割なのにひとつだけくっきりとした窓、なんてかわいい人なんだろう。
季節が変わる頃その場所にやってきた。
海を見下ろす天空の鳥の巣。
窓の下の畑で砂浴びする雀たち。
小さい手を骨に当てられた時、どこか身体の奥から「なんでわかった」という声がした気がした。
その人が用意した舟でゆらゆらと深い水底に浮かぶ。
寝てはいなかったけど
どこにいたんだろう。
時間も空間も私もないところ。
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