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絵のタイトルは、「このままここで」です。
留まることを許してくれない。
先頭は 汗のにおいせず 風かおり
今日のタイトルは、「プロジェクトマネージャー」です。
日本に限らず、世界中でサプライチェーンが展開される世の中です。
分業制が、効率的でコストを下げると信じ込んでいる。
一方で、分業制でありながら品質を重んじる「ものづくり」を称賛する声も聞く。
どちらの方法をとっても、「プロジェクトマネージャー」の資質に大きく関係する。
私は、「プロジェクトマネージャー」を引き受けるのが怖かった。
失敗(損や事故)して、会社を去った先輩を多く見ていた。
成功を積み重ねたものだけが、社会(会社に限らず)の階段を駆け上っていった。
挑戦したいと内からの声と、お前ならできるの声に呼応して引き受けた。
最初のプロジェクトは、見事に失敗した。
会社に損は与えなかったが、私の中では大きな挫折感を味わった。
些細なことだが、看板方式(ジャストインタイム)で、10トン車の車列で交通障害を起こした。
休日返上と昼夜兼行の作業で、近隣から謎の電話(労働基準局を語る工事中止命令)が入った。
クレーム数200を正しても、さらに200のクレームを受けた。
工事後の半年間、現場に張り付いた。
もういいよ。あなたの会社は逃げないことが分かった。お客は言った。
後からクレームが常識の世界だった。
図面でチェックし、工事後検査をし、試運転後さらに是正する。
私が携わったプロジェクトは、試運転後すぐに(一週間、一カ月)能力の150%生産になった。
不具合は、非情なほどあぶりだされた。
24時間稼働(営業運転)しながら、合間の2時間の集積(3回/日)でクレームを処理した。
職工は、24時間営業のサウナに寝起きしながら対応した。
後からクレームを何とかしないとやっていけないことが分かった。
「クレームの先取り」を目指した。
クレームを出す使う側(現場)の教育(食品ではなく医薬の衛生習得)に金をかけた。
自分たちが使いたい道具や設備や仕組みを真摯に話してもらった。
事前に出てきた些細なことも、スペックに盛り込んだ。
双方(客先と請負)合意したスペックでも、業者との最終打ち合わせ時に客先の希望を受けた。
試運転後、現場責任者から改善希望が出た。
客先プロジェクトマネージャーが、希望をつぶしにかかった。現場で何とかしろ。
それでも頼まれた改善を業者を返さず是正した。
すべて、追加工事です。追加工事(金額提示)が発生するごとに「客先の判」をもらった。
追加工事が、数千万円に達した頃、支払いの準備を客先に依頼した。
客先は、財布を用意していなかった。
それでは、追加工事ができない。
私は考えあぐねた後に、工事期間短縮(1.5か月)を提案した。
機械工事担当の私には、建築工事の短縮を提案できない。
客先に私が描いたシナリオ(実現可能)を渡して、客先願いとして提案してもらった。
工事短縮で、客先の用意されていない財布分を出した。
建築会社も利益が出た。
私の方にもおつりがあった。
その利益分上乗せで、会社が表彰するプロジェクトとなった。
私は後にリストラ対象(本業のみに方針転換)となり、転職した。
転職先で営業とプロジェクトマネージャーをした。
営業から工事引き渡しまでできることになった。
売る前から運転後をイメージ出来た。
こんな幸せなことはなかった。
私は、駅で電車を待っていても、駅の梁の鳥害対策を視て研究した。
24時間プロジェクトを考える馬鹿になった。
プロジェクトが我が子のように可愛かった。
工事が終わるごとに「もぬけのから」になり、疲弊した。
「詐欺の子」をテレビで観た。
私は、金持ちのリストを購入するだけ。
リストに書いた住所に電話をするだけ。
金を受け取るだけ。
分業制である。
登場した弁護士が、「社会の縮図」と言った。
分業制が進むにつれて、
プロジェクトマネージャー(責任者、会社や社会のリーダー)の資質が問われている。
2021年6月4日