*この記事には標本を分解した画像が含まれますので
閲覧にはご注意ください。
ドウイロクワガタ(以下ドウイロ)は
その名の通り、銅色に紫~青系の金属光沢を放つクワガタで
その美しさと渋さに希少性も加わって人気を集めています。
↕ 光や角度により色は多少変化して見える
前記事「ドウイロクワガタ・4-再スタート」では
羽化後の膨らんだ腹部背面は黒い縞模様であることを
画像を含め書きました。
↓ 腹部背面の縞模様
↑ 前記事「ドウイロクワガタ・4-再スタート」から転載(メス)
似たような模様は一部の他種(ザウテルシカ・ムナコブ等)にも
認められることがあるため
熱吸収等、共通した理由があるのだろと考えていたところ
ドウイロの羽化時の黒い縞模様(腹部背面)は
時間の経過とともに色彩が現れ
とてもきれいな色になることがわかりました。
↓ 飛翔直前(メス)
↓ 光と角度の加減で黒っぽく見える
↓ ドウイロの飛翔(メス) 実は虹色
ん・・・?
スマホの画面越しに見えた一瞬の色に目を疑いました。
なにこれ?
撮った画像を見直してみると
確かにカラフルで・・・虹色。
ドウイロの背中はこんな色になっていたのか!
その後も飛翔するのを待ち続け
この日は3回虹色を見ることができました。
そして、このことを詳しく知ろうと検索しましたが
ヒットはしませんでした。
この色彩はオスにも存在するのか気になり
半年以上前に死亡した個体を分解して確かめることにしました。
その結果は、下画像の通りです。
↓ 死後半年以上経過したオスの腹部背面
なぜ虹色なのか?
画像の通り、オスにも同様の色彩が認められたため
種としてこの特徴を備えていることがわかりました。
ドウイロは飛翔時にこの色彩をもって
同種他種への情報発信を行っているのではないかと思え
特に捕食者(鳥)が嫌う色彩を放つことで
身を守っているのではないかと想像します。
また、脚部や大アゴの色彩もその延長ではないかと考えます。
↓ 鳥はこういう光が苦手らしい
このような色彩から野外でのドウイロは
日差し(晴れ間・紫外線)のある中を飛翔していることが想像でき
思いのほか飛翔性が高いような気もしています。
仮に、飛翔(活動)するにはある程度の気温も必要かと思え
実はクワガタ飼育者の好む低温帯は
ドウイロ成虫にとって快適な温度範囲の端っこあたりなのかもしれません。
これは、最近よく耳にするようになった「低温種」という言葉に
やや否定的な私の考えです・・・悪しからず。
最後に
ドウイロの腹部背面には
死後半年以上経過した個体でも虹色の色彩が認められたため
当該部位は構造色と思われます。
もし、ドウイロをお持ちでしたら
その発色を体感してください。
低温の事は私も同様に感じることがあります。オウゴンオニなどで菌糸瓶産卵では、低温だと産まないし、高温だと菌糸がダメになるしと、菌糸がダメになるかどうかのギリギリの温度帯が1番産みやすいですしね。
ドウイロは、もしかすると昔はもっと綺麗かったような気もしますね。
オスの大アゴや足が青・紫系なのは、飛んでいるとき腹部の虹色の続きの役割をして鳥などから身を守っているように思えてきました。
前回のドウイロは、23~24度の範囲で20個以上産んだので、低温種というほどでもないように思えました。
オウゴンオニなんかも産座の環境が良ければ産む温度範囲はある程度広いんですね。