日本のクワガタムシで後食する種が晩夏〜秋に羽化した場合
通常はそのまま蛹室にとどまり、翌年の春〜夏に野外活動をはじめます。
また、成虫で複数年生存する種は、少しずつ変わりゆく日長と気温の変化を感じ取り
低温期を休眠というかたちでやり過ごし、春〜夏には休眠覚醒して活動をはじめます。
所謂、季節適応「体内時計」というやつです。
この体内時計を人為的に操作(摂食・繁殖)するのは困難です。
通常、野外でのコルリクワガタ(ニシコルリ)も晩夏〜秋に羽化し
翌春の雪解けにより、蛹室から出て活動を開始します。
↓ 2022年5月 野外では雪が解けなければ発生できない
↓ 天気の良い日 2022年5月
5月に野外採集したコルリクワガタを持ち帰り
23度前後の環境で朽ち木を与えると、10月頃には次世代新成虫が得られます。
そして、そのままの温度で管理を続けると
新成虫は蛹室から脱出してゼリーを舐めたり
交尾を行う個体がいくつも現れます(産卵は未検)
↓ 飼育で得られたコルリクワガタの新成虫オス 2022年10月29日
↓ 飼育で得られたコルリクワガタの新成虫メス 2022年10月29日
↓ 春と同様の活動 交尾中 2022年10月29日
こういった事象は、前記のような季節適応して休眠する他種ではあまりありません。
また、コルリクワガタは厳寒期であってもある一定の温度帯を継続して感じさせることで
活動を人為的にある程度コントロールできる種なのです(産卵は未検)
これらのことから、コルリクワガタの活動は温度によって促され
体内時計による絶対支配ではないことがわかります。
ただ、冬季休眠をしない状態で子孫が残せるかどうかについては不明のため
この機会に試したいと思います。
割り出し
飼育容器は2産地計4セットありますが
今回は新成虫の徘徊が多い2セットの割り出しを行いました。
産卵に使用した朽ち木は、薄黒く良く腐食したバクテリア材です。
↓ 2022年5月セット開始 23度前後で管理
↓ ゼリーを吸汁
↓ 産卵行動 2022年5月
↓ 産卵痕 2022年5月
↓ 羽化前日のオス 2022年9月23日
⇩ ⇩ 翌日羽化 オス
↓ 新成虫の脱出孔 セットから約半年経過 2022年10月29日
↓ 朽ち木内の新成虫 2022年10月上旬
↓ メスの新成虫 2022年10月29日
↓ 蛹室から出た個体は交尾に至る 2022年10月
↓ 終齢後期幼虫・前蛹・蛹・新成虫が混在する 2022年10月29日
↓ オスの蛹 2022年10月29日
↓ 緑系は少ない
この時期に春を先取りできるのはうれしいことですが
温度次第で活動を始めるといういい加減さは、飼育では困ります。
↓ 新成虫を雌雄分けて常温にて管理〜春まで眠れ!
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます