クワガタ~スズメバチ等の覚書

   Photo & Text by こよみ

ヤマトサビクワガタ

2023-05-07 21:34:51 | ヤマトサビクワガタ

ヤマトサビクワガタ Dorcus japonicus Nakane &S.Makino,1985

体長:オス14.0〜26.2㎜ メス16.7〜22.1㎜

分布:鹿児島県大島郡徳之島(採集禁止)・鹿児島県大隅半島南部(佐多岬1♂・辺塚1♀)

発生期:7~9月

ヤマトサビクワガタは(以下ヤマトサビ)

オオクワガタやコクワガタなどと同じDorcus属のクワガタとされています。

Dorcus属の多くは上翅に筋(点刻列)と、毛が生えており(肉眼では見えにくい)

ヤマトサビはその両方がよく目立つ種です。

↓ 筋と毛がよく目立つ種、ヤマトサビ (体表湿り気味の個体)

 

また、台湾にはヤマトサビと似たセスジサビクワガタ D.carinulatus というのがいますが

雌雄ともに大アゴ・頭循などの形態が違うため、ヤマトサビは独立性が高いと考えられています。

↓ ヤマトサビ・セスジサビ・タイワンサビ・テヌイサビ

↓ 別属で和名に「サビクワガタ」が付くとちょっと紛らわしい(ホラサビクワガタ)

↓ 体表がやや乾燥気味の時 ヤマトサビ

 

飼育開始

昨年Tさんから頂いた終齢幼虫5頭がすべて羽化し、一部は後食も始めました。

幼虫をいただいたTさんの資料によると、産卵セットを組んだのは2022年5月30日で

10月7日にはメスの新成虫が蛹室から脱出、23日の割り出しではオスの新成虫も出てきたそうです。

つまり、セットから5ヶ月も経たないうちに一つのサイクルが終了したというわけです。

一方で現在前蛹も存在するとのことで、産卵日と季節の温度変化による成長の差異も生じており

私のところでも昨年10月羽化と、今年の3月羽化に分かれました。

↓ 2Lブロー容器で幼虫5頭まとめ飼い

↓ 蛹室 

↓ 3オス2メスで羽化 最大は23㎜後半(オス) 

↓ 黒く見える個体は洗浄直後

↓ 腹面は異物が付着しにくい

 

ヤマトサビの飼育は今回で2回目ですが

「朽木をマットで埋めたら幼虫が採れた」程度の遠い過去の記憶しかありませんので

今回も同じ方法で産卵セットを組みました。

新成虫の成熟期間などはよくわかりませんが

後食をはじめている個体もいるので、年内に次世代を期待します。

↓ 産卵木を加水してマットで埋めるだけ(2023.5.6)

↓ 3オス2メスまとめ飼い(2023.5.6)

参考文献:

 永井信二・藤井弘,2005.10.セスジサビクワガタとその近縁種について,月間むし(416).むし社.

 藤田宏,2010.世界のクワガタムシ大図鑑6.むし社. 



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