ヤマトサビクワガタ Dorcus japonicus Nakane &S.Makino,1985
体長:オス14.0〜26.2㎜ メス16.7〜22.1㎜
分布:鹿児島県大島郡徳之島(採集禁止)・鹿児島県大隅半島南部(佐多岬1♂・辺塚1♀)
発生期:7~9月
ヤマトサビクワガタは(以下ヤマトサビ)
オオクワガタやコクワガタなどと同じDorcus属のクワガタとされています。
Dorcus属の多くは上翅に筋(点刻列)と、毛が生えており(肉眼では見えにくい)
ヤマトサビはその両方がよく目立つ種です。
↓ 筋と毛がよく目立つ種、ヤマトサビ (体表湿り気味の個体)
また、台湾にはヤマトサビと似たセスジサビクワガタ D.carinulatus というのがいますが
雌雄ともに大アゴ・頭循などの形態が違うため、ヤマトサビは独立性が高いと考えられています。
↓ ヤマトサビ・セスジサビ・タイワンサビ・テヌイサビ
↓ 別属で和名に「サビクワガタ」が付くとちょっと紛らわしい(ホラサビクワガタ)
↓ 体表がやや乾燥気味の時 ヤマトサビ
飼育開始
昨年Tさんから頂いた終齢幼虫5頭がすべて羽化し、一部は後食も始めました。
幼虫をいただいたTさんの資料によると、産卵セットを組んだのは2022年5月30日で
10月7日にはメスの新成虫が蛹室から脱出、23日の割り出しではオスの新成虫も出てきたそうです。
つまり、セットから5ヶ月も経たないうちに一つのサイクルが終了したというわけです。
一方で現在前蛹も存在するとのことで、産卵日と季節の温度変化による成長の差異も生じており
私のところでも昨年10月羽化と、今年の3月羽化に分かれました。
↓ 2Lブロー容器で幼虫5頭まとめ飼い
↓ 蛹室
↓ 3オス2メスで羽化 最大は23㎜後半(オス)
↓ 黒く見える個体は洗浄直後
↓ 腹面は異物が付着しにくい
ヤマトサビの飼育は今回で2回目ですが
「朽木をマットで埋めたら幼虫が採れた」程度の遠い過去の記憶しかありませんので
今回も同じ方法で産卵セットを組みました。
新成虫の成熟期間などはよくわかりませんが
後食をはじめている個体もいるので、年内に次世代を期待します。
↓ 産卵木を加水してマットで埋めるだけ(2023.5.6)
↓ 3オス2メスまとめ飼い(2023.5.6)
参考文献:
永井信二・藤井弘,2005.10.セスジサビクワガタとその近縁種について,月間むし(416).むし社.
藤田宏,2010.世界のクワガタムシ大図鑑6.むし社.
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