この記事は「同定ミス・ノセオオクワガタ(chayuensis)」前編です。
記事「今年の標本整理・クワガタムシ」に本種の考察を追記
( このクワガタは、Dorcus chayuensis )
*↓ カテゴリー「ノセオオクワガタ」は別途設けています
ノセオオクワガタ
ノセはノセでもあの能勢ではありません。
Dorcus nosei Nagai,2000 のほうです。
1999年7月、ミャンマー北部Putaoの標高2500mで
野瀬探検隊によって採集された
大型のミンダナオパリーみたいなやつのことです。
↓ ミンダナオパリー(中型) Mt.Apo.63mm
最近になってチベットのXizang からも
「ノセオオクワではないか?」とされる個体がもたらされ
その子孫が流通するようになりました。
しかしながらネットで見ることのできる当該成虫オスは
どれもさほど大きくなく
ホロタイプのような大歯型は(57mm台)みあたりません。
閲覧できた40mm台の飼育オスは
内歯の基部がしっかり幅広く、その先端は横を向く中歯型で
幅広内歯~大歯までの変異がにわかに連想出来ず
チャンスがあれば確かめてみたかった種です。
幼虫飼育
手に入ったのは2016年12月に孵化した
10mm程度の初齢初期の幼虫4頭。
雌雄の判別は判りません。
この4頭から半分でもオスが出てくれることを
願いながらの飼育開始です。
↓ 本当は10頭くらいほしかった
飼育の方法
まず、プリンカップ(120cc)のカワラ菌床二つを
塊のまま1.5Lボトルに押入れ
発酵マットでしっかり埋めました。
そこに4頭の初齢を投入し、様子を見ることにしました。
押し詰めた菌床はクルビデンスに使っているやつで
そこに卵や初齢幼虫を投入すると高い確率で落ちるタイプの菌床です。
マットはそのための保険です。
食の好み
多頭飼いから1か月ほどが過ぎ
容器内での幼虫の居場所は出来上がっているようなので
一昨日(2月12日)個別飼育に切り替えました。
4頭入れたボトルの掘り出しです。
まず最初にマット上部から
殆ど成長していない初齢初期1頭がでてきました。
次いでよく育った初齢? が1頭
同じく2齢?1頭の、計3頭が出てきました。
↓ メス? 初齢?
↓ オス? 2齢?
そして、残り1頭は菌床とマットの境目で見つかり
菌床も崩して食べていました。
↓ 菌床に手を出したオス、2齢? これが一番大きい
結局4頭のうち3頭は、この菌床がお気に召さないようで
やはり、使用した菌床は若齢にはきつすぎるのもしれません。
しかしながら、オスと思う個体もいたので
大型にはなってもらわないと・・・
どの個体もそのうち菌床を食べだすことと思いますが
現時点で菌床だけではまだリスクがありそうなので
単独飼育も菌床とマットを併用することにしました。
↓ 単独飼育も菌床入りマットで
これらの幼虫が羽化するのは
今年の秋ごろではないかと思われます。
それが何者であれ、結果がでたら「後編」へと繋ぎます。
注)このクワガタは
Dorcus chayuensis Huang & Chen, 2017 です。
参考文献:
西山保典,2000,世界のクワガタG,木曜社.
藤田宏,2010,世界のクワガタムシ大図鑑6,むし社.
*記事「今年の標本整理・クワガタムシ」に追記しました
(2017年11月19日)
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