あきオジの風景

写真、そして、俳句(もどき)
毎日更新しています。

何か求むる心海に放つ    放哉

2009-03-27 06:02:36 | 日記
神代植物園の屋台

使っているのか、単なる代用品か
そこに屋台のメニューが貼り付けてある。
むりやり春を感じることもないけれど
こんな遊びが好きですね。

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何か求むる心海に放つ  放哉

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この句では、なにもかも投げ出してしまおうとする放哉ですが
この人は世を捨てる行為もこだわりがあり
未練があった人のように思えます。
この句でいえば「海に放つ」といいながら
自分の掌に未練が残っている。
そのように読み取れます。
そこがこの人の面白いところで
仏教的世界を作り上げてしまった芭蕉の路線を
踏襲するはずもありません。
溢れる世俗的な感情を覆い尽くすことができなかった。
そんな「惜しい」がこの人の個性なのでしょうね。

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今日の西行

空はるる雲なりけりな吉野山花もてわたる風と見たれば(987)

【通釈】

空が晴れてゆく時の雲であったのだ。吉野山を、桜の花を含んで渡る風と見ていたら――。

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思い込みの気分が伝わってくるだけでなく、影響されていることを感じます。
でも、自然の中に育つ桜を見ている西行と
環境を作り手入れをしている多くの種類の櫻を見ている私たちとは
ずいぶん、感じるものは違うのでしょうね。

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「12人の優しい日本人」(三谷幸喜脚本 豊川悦司主演)(NO5)

かの有名な「12人の怒れる男」を下敷きにした戯曲
タイトルを見ただけで分りますね。
アメリカの陪審員制度を取り上げた映画です。
有罪に決定しそうな少年の父親殺人事件を
陪審員が再度、事件を解明することで逆転するという内容です。
スリリングで個性的な登場人物が浮かび上がる。
そんな映画です。どの役者も素晴らしい演技をしています。
この映画はリメイクと言うか、下敷きにした
映画です。
三谷幸喜が脚本を書いています。
登場人物や事件内容は違っているのですが
あきらかに手法をぱくっていますし
それぞれの自分もパクリです。
そのパクリを前面に出しながら、
巧みに三谷ワールドを構築しているのです。
物語は、大いに笑わせ
台詞と人物設定の巧みさで緊張を高めていきます。
台詞によって、それぞれの人物を描きわけて
いるので
ルメット版とは違ったものになっています。
当然のこととして、舞台を想定していますし
演技も舞台を意識したものになっています。
じょうできの舞台だったでしょう。
集団がでずっぱいの舞台ですから
大変だったと思います。
でも、役者も緊張感をもって演じており
殆どが名も知らない俳優ですが
舞台で演じた熱がそのままになっているように思います。
「笑う大学」も面白かったですが
この映画も上出来ですね。
「12人の怒れる男」とダブらせてみてしまう
観客を裏切るようで、後で納得する。
そんな映画です。