1954年11月6日、7日にオペラ「ボリス・ゴドゥノフ」の日本人歌手による初演が日比谷公会堂で行われました。
このプログラムの中の、音楽評論家・服部龍太郎氏(1900-1977)の文章によるとボリス・ゴドゥノフは「昭和2年(1927年)に帝劇へ来朝したロシア歌劇団によって上演されたことがある。そのときの主役ボリスはなんというロシア人であったか、もう記憶していないが、僧院の密室でピーメンが独白する部分がいかにも印象的であったことが、いまでも忘れられない。」(※1)
ということで、既に27年前に日本で初演されていたらしいですが、1954年は原信子さん(1893-1979)の訳詞による上演。原さんは大変苦労されたようですね。↓
上品な感じの文はミラノで歌手・松平里子の看病をした原信子と同じでした。
第9回文部省芸術祭公演ということで、入場無料!?イビキの嵐になりそうな気もしますが。。
指揮はグルリット、演奏は東京フィルハーモニー管弦楽団、演出はプリングスハイム、演出助手はジャック平野氏でした。
Manfred Gurlitt (1890-1973)
Klaus Pringsheim (1883-1972)
ジャック平野
以下、出演者です。
ボリス・ゴドゥノフ
石津憲一(藤原歌劇団、1924-2014)昨年12月31日に90歳でお亡くなりになりました。
フョードル
日高久子(グルリット夫人、1924-2008)
クセニヤ
鎌倉和子
乳母
永井智子(1908-1992)
ヴァシリー・シュイスキー/ミサイール
宮本正(1919-2014)宮本文昭の父、宮本笑里の祖父
和田家広
グリゴリー・オトレピエフ/白痴イヴァヌイチ
木下保(1903-1982)
荒井基裕
アンドレイ・シチェルカーロフ/ロヴィツキ
白川雅雄
ピーメン
下八川圭祐(1900-1980) 昭和音大創立者。
マリーナ・ムニーシェク
北澤栄(1908-1956)
ランゴーニ
宮本良平(藤原歌劇団、1916-1987)
ヴァルラーム
深澤巌
ニキーティチ/チェルニコフスキ
竹原正三(藤原歌劇団、1927-2006)
フルシチョフ
天野秋雄(1925-)
女主人
三枝喜美子(1921-2000)
侍従
村尾護郎(藤原歌劇団、1909-) アニメ「くもとちゅうりっぷ」のくもの声優としても有名なかたらしいです。
情報を補足していきます。
※1 『帝劇の五十年』(東宝株式会社昭和41年9月1日発行)の「主要興行年譜」によると、確かに1927年4月26日及び5月5日に「露西亜歌劇; モスコー、レニングラード両国立大歌劇場より選抜の一行」が何かしらの演目をやっています。