最近、スクリャービン後期のソナタ6~10番(作品番号は62,64,66,68,70と何故か一つおきの偶数)にハマってます。あんまり好きじゃなかったんですけど。
夜、ウォークマンで聴きながら意識的に半覚醒状態に入ると、トリルのくすぐり地獄の快感に浸れること請け合い!(だから男性ピアニストの演奏は絶対イヤです。変態?)
繰り返し聴かざるを得なくなります。まさに麻薬的。寝不足で目つきがヘンになる自覚症状アリ。危険ソナタに指定すべきです。
そんななか、悪魔的であることは変わりないけど、妙にヤバイ感じの、少々毛色の違う短い音楽があったので、いつ頃の曲?って疑問が生じて改めて解説書を見てみたんです。
そしたら、あらー、アレクサンドルの息子・ジュリアン(ユリアン)による「前奏曲」(4曲)だっていうじゃないですか。息子の書いた曲があったなんて知りませんでした。
ジュリアンは、スクリャービンの愛人タチアナとの間にできた3人の子供(娘2人と息子1人)のうちの一人。ちなみにその子供達が公式にスクリャービン姓を名乗ることができたのは、つまりスクリャービンとタチアナが正式に夫婦として認められたのは、スクリャービンが死の床についた時だったそうです。
ジュリアンは3人の子供のうち唯一音楽の才能をあらわした。合計で7分くらいにしかなりませんが、残した曲はスエおそロシア~。。
運命のいたずらか、1919年、11歳になったばかりのジュリアンは乗った船がドニエプル河で転覆し溺死してしまった!
人生の前奏曲だけで逝ってしまうとは。。。
【ジュリアン・スクリャービンの4曲の前奏曲】
・プレリュードハ長調作品2(1914)←5歳?
・プレリュード作品3(2曲、1918)
・プレリュード変ニ長調(1919)
Julian Scriabin (1909-1919)
参考:フォービオン・バウアーズ、佐藤泰一訳「アレクサンドル・スクリャービン -生涯と作品-」泰流社