食の旅人

~ 食べることは生きること、生きることは旅すること、そうだ食べることは旅すること~
  野村洋文

ドクターペッパー

2009-05-05 08:05:21 | 日記
 ドクターペッパーという飲み物をご存知だと思う。独特な風味にして、癖のある味。のどが渇ききった時に、のど越しで、心から喜べる人は少数派だと思う。この飲み物、ちょっとした歴史があるのである。

 1900初頭、アメリカで、ペッパーという医師がいた。彼は医業のかたわら、薬局を営んでいた。そこで、ハタチそこそこの青年が働いていた。たまたま、その薬局にペッパーさんのお嬢さんが遊びにやってきた。青年は、一目でそのお嬢さんに恋をしてしまった。「自分はただの雇われ人、、、彼女とは身分が違いすぎる。」当時は、現在と比較にならないほどに、身分、職業、家柄等が、サンクチュアリーとして存在していた。この厳然な事実に普通の人間なら、そこであきらめるのだが、彼は違った。「何とかしてお父様に認めてもらえるようになろう。」彼は、苦業のすえ、薬効がありしかも美味しく飲める飲料を開発した。これが、爆発的にヒットし、彼は彼女のお父様に敬意を表し、この飲み物に、ペッパー医師、すなわちドクターペッパーと名づけた。
 
 そこで、僕の記憶は途切れている。彼は、ペッパー医師のお嬢さんと結婚したのか?
富と名声を得たがため、多くのハリウッド女優などと浮名をながしまくったのか?お嬢さんと結婚したあと、多くの女性と浮気をしたのか?、、、ただ、商標登録する時点で、自分の名前をつけずに、ペッパー医師とつけたのだから、彼はそういう心根の持ち主なのだ。きっと、純愛を貫き幸せな家庭を築いたと思う。いや、思いたい。一番なって欲しくない結末は、ペッパー医師にすべてをもっていかれ、この青年が起業以降、表舞台からけされてしまうことだ。

 ドクターペッパー、味は昔とほとんど変わってないらしい。実際、薬効があるとはとても思えない。幼いころ、「そんなのばかり飲んでいると、頭が悪くなるよ。」とよく言われたものだ。きっと、ドクターペッパーを飲みすぎてしまったのかもしれない。小学生時代、埼玉の田舎にはじめてドクターペッパーが登場した。「コカコーラから、すげえ飲み物がでたぜ!」子供にありがちな、間違った解釈である。ドクターペッパーとは、コカコーラの改良版だとみんな思っていた。カップヌードルがアメリカから来た食べ物で、カップスターがそれを真似して日本でつくったという勘違いをしてたのと同じように、、、、、
 北米にいくと、セブンUPという炭酸飲料がここかしこにあるが、これも、ドクターペッパー社の商品である。まっ、何か事をおこして環境を変える、あるいは社会をかえるという場合、既成の常識を一度排出し、一歩外れてみるコペルニクス的思考が必要なこ
とは、言わずもがなである。


 昨日、従妹の結婚式に際して、何かロマンティクな薀蓄はないかなと考えたら、ドクターペッパーが浮かんだので書いてみた。