食の旅人

~ 食べることは生きること、生きることは旅すること、そうだ食べることは旅すること~
  野村洋文

賭博食

2009-08-06 07:28:58 | 日記
 サンドイッチが、カード賭博に由来して生まれた食べ物であることは、広く知られている。


 18世紀のイギリス、サンドイッチ伯爵という無類のギャンブル好きがいた。


 カードに興じながらでも、手軽に食を済ませられるよう、召使に2枚のトースト間にコールドビーフを挟んだ食べ物を運ばせていた。


 この食事法。評判になり、いつの頃からかサンドイッチと呼ばれるようになる。


 やがて、19世紀のピクニック流行に伴い、世界に普及していく。。。。。



 不思議なことに、日本でも、同じような経緯をたどり、誕生した食べ物がある。


 時は、江戸の世。賭博場は、鉄火場と呼ばれていた。


 博打に興じながら、胃の中を満たせる食べ物はないか? 仲間内で思いを巡らせていた。


 彼らのために、ある寿司職人がマグロを米とのりでくるりと巻いた代物を考案する。


 これが、たちまち評判となり、いつの頃からか、鉄火巻と呼ばれるようになった



 ほぼ、時を同じくして、違う場所で同じことが発見される。  よくある話である。



 偶然とは、精巧にしつらえられた無意識の累積から、断続的にこぼれ落ちてくる必然の事実なのかもしれない。




 「のむ、うつ、かう」が男の甲斐性と言われた時代、 「食べる」は二の次だったようだ。