折々スケッチ

小さなスケッチブックやハガキに水彩と鉛筆ペン等で描いた絵を中心に、感じたこと等日記代わりに添えています。

奈良の旅・乗り鉄と少しスケッチ(4)出会った人

2019年06月24日 | 奈良
JR奈良駅

今回の奈良旅行はひとり旅。
耳が良くないので自分からは話しかけないから人と話すことはあるかなぁと思っていました。

一日目の夕方最後のスケッチをしようと興福寺北円堂の前で座っていると通りかかった女の方が
話しかけてきました。石段を上がって私の隣に腰掛けてスーツ姿の60代くらいの方です。
「絵を描いているなんていいわね~」から始まって「今の世の中悲しいことが多すぎる」と。
「そうねぇ」と聞いていると福祉関係の仕事らしい。そのまま家に帰りたくないと散歩してから帰ると
言われます。私は「そうねぇ」としか言いようもない。
「あなた髪は白いけどおいくつ?」「もうじき77、あなたは?」「まだ70前だけど元気に動けるのは80迄よ。今のうちに頑張ってね」と言われます。
「興福寺も新しい建物が出来て変わりましたね」と話を変えると「新しいものばかり増えてどこかの様にテーマパークみたいではね」と言われます。「お寺さんだって経営が成り立たないといけないからやりての所だけが繁盛してね」地元の方にしたら新しいものが出来て人が集まればいいかと思ったらそうでもないらしい。「そうねぇ」ばかり言う私。
スケッチもうまく描けないし立ち上がって「またどこかでね」とお別れしました。


  南大門近くの土塀


貴重な夕方の時間まだホテルに帰るのは惜しいのでまた五重塔の前まで行きました。
鹿が集まっています。シニアの男性が何か話しかけて来たけれど聞き取れないので「そうねぇ」と。
軍手の上に薄いビニールの手袋をして慣れた感じで鹿の喉をさすっています。猫と同じだ。
その方が袋からバナナの皮を取り出すと鹿はもう待てないという感じで食べました。
「バナナの皮やキャベツの青い葉も好きですよ」
「観光客がいなくなると集まって違うところへ寝に行くんですよ」話は続きそう。
暗くなってきそうなので「ここからバス停は何処が近いでしょうか」と聞くと「JRの駅なら案内しましょう」と歩きだされたのでついて行きました。
商店街をどんどん歩きながら「この辺は店が沢山あって賑やかでしょう」「賑やかでも資本は京都や大阪の大手が出しているんですよ。地元に金は落ちないです」と。
春日大社の参道だったこの道は倍以上に拡張されたとかで賑わっていますが、問題もあるようです。
私より7歳若い男性は怪我の後遺症のリハビリで毎日の散歩が日課なのだとか。
「若い人がいない街なので年寄りも元気でいないと」と話しているうちにどんどん歩いて「ほらすぐそこがJRの駅」と言って「じゃ、家はここだから」とお別れしました。
膝の為にできるだけバスを使っているのに下り坂とは言え興福寺から歩いてしまった。約2キロ!
色々話しも聞けたけど・・・ホテルの温泉に浸かって念入りにマッサージして湿布を貼りました。


夕方の南円堂


翌朝は始発のバスで興福寺へ行き博物館前でスケッチしました。
昼間は観光客と鹿で混雑している所ですが朝は誰もいない。
座っていたら散歩中のシニアの男性が「いい趣味ですね」と。
「奈良はいいところですね。こんな所を散歩できるのは羨ましい」と言うと
「名古屋だったら1泊ではもったいないから1週間くらいは泊まるといいのに」ですって。
できれば私だってそうしたいけど・・・お財布の都合だってあるのよと心の声。
「JR奈良駅からこっちの方は過疎でね。若い人がいないんですよ。シニアばっかり」
「お役所は箱ものばっかり作って活性化なんて言うけど住む人がいなくちゃどうしようもないでしょう」
「そうですねぇ」と私。
奈良の人って話し好きなのか人懐っこいのかしら。


    大仏池


公園事務所の方と話した時のこと。
「貸自転車が置いてあるけど、違う場所に返すことはできますか」と聞きました。
「これは業者に頼まれて場所を貸しているだけで分からないですね。ややこしいようですよ」と。
公園事務所の方ですかと聞いたらそうだと言った人です。業者に場所を貸しているだけだから知らないとはどういうつもり。缶コーヒー片手にのんきそうに話す人、事務所の前の観光客用の貸自転車、少し勉強して欲しいものです。そんなことは言えないから「ああ そうですか」とだけ。
ここでいただいたパンフレットはしっかりした冊子になっていて地図にはトイレの場所が大きく書かれて分かりやすそうなのですが、地図の上が東になっています。左が北なので南大門や大仏殿も横向きの絵になっています。これは分かりにくい。他でいただいた地図はどれも上が北になっています。
なぜこうなったのでしょうね。
このあと汗をふきふきブツブツ言いながら歩いた道はとっても暑かった。

ひとり旅だから話しかけやすいのか色々な方と話しが出来ました。
興福寺の金堂の再建が昨年なされたのに私と話した方達はあまり喜んではおられない風でした。
「千年たてば風格も出て・・・」と言えば「いや〜今の建物千年はもたんでしょう」と言う方も。
住んでいる方から見ると・・・短い話だけでは分からないことがあるようでした。


旅は風景や人とも出会って緊張感がいっぱいです。
特に失敗もなく無事に帰宅できたので今回は大成功と言える旅でした。

奈良の旅は終わります。
長かったですよね~・・・お付き合いいただき有難うございました。


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