東武練馬と上板橋の間にある不動産会社の社長ブログ(株式会社久富)

東武東上線、東武練馬、旧川越街道沿い株式会社久富の社長です…地域不動産や周辺環境、不動産コラム、街、子育て、つれづれ…

マンション問題について思うこと

2015-10-31 15:16:22 | 日々の仕事について

横浜の傾きマンションのニュースは、施工業者の関わった全国の建物にも

話題が移り、毎日のように新しいニュースで取り上げられています。

同じ担当者の建物だけでないことから、会社自体の体質の問題になって

各地に飛び火し各自治体の記者会見ばかりをテレビで目にします。

 

問題の重大さをメディアが取り上げ、真相の究明と補償の重大さの

後押しとなっていることは良いのですが、当の被害にあっている住民の

方たちの気持ちを考えると、騒ぎすぎるのも気の毒な気がします。

 

そんな住民から見て、一番悪いのは直接関わる販売主の会社です。

その販売主から言わせると、設計施工を請け負ったゼネコンであり

ゼネコンから言わせると、杭打ちの施工不良をおこした、今、世の中で一番の

バッシングを受けている杭打ちを担当した会社となります。

そして、その杭打ちの会社は下請けの一担当者の資質がどうのこうの

と言っていました。しかし、その担当以外の建物からも出てきて会社自体の

体質であることが露呈したわけです。

 

たしかに杭打ちに施工不良をおこした会社が一番悪い。ですが、このマンションの

販売に至るまでに関係している業者全てに責任がある訳で、現状、罪のなすり合いの

泥仕合になっているのは、入居者だけでなく、誰が見ても不快な光景です。

ただここで、第三者を決め込み、対応批判ばかりしている自治体、国、役所に

同様に責任があることをあまり言う人がいないのは(多少はいると思いますが)

お上にたてつくと怖いからでしょうか。建築の許可を出し、確認の検査にOKを出した

のは、役所のはずです。国や自治体、役所からの積極的な救済措置があっても

良いものではないでしょうか。

 

杭打ち会社の問題は社会的な問題として、究明しなければいけませんが

おきてしまった以上、現実問題、住人への補償と対応が一番重要なはずです。

今日明日に住民への販売会社の説明会があるようですが、当初の対応は良くなかったようです。

マンションの大手7社のうちでも、トップと言っても過言でない会社ですらこうです。

しかし、最終的にはトップの大企業であることが、金銭的にはそれなりの補償をできる

せめてもの救いかもしれません。全棟建て替えの提案ができるぐらいですから。

(姉歯事件のヒューザーは倒産し住人の方々は大変な思いをされているようです…)

 

横浜にはすでに昨年、同様に傾いて問題になっているライバルの財閥系マンションがあり

そちらは、メディアでの広がりがここまでになっていないこともあり、被害住民は全く納得の

いかない対応をされているようです。これで、昨年の青山の超高級マンションの施工ミスで

建て替え問題に発展しているもう一つの財閥系マンションと合わせて、マンション大手の

トップ3(財閥系3社)が揃い踏みになってしまいました。

 

しかし、これらの大企業のブランドが、マンションを選ぶ際の基準として、一番の安心感を

与えてきたことは間違いありません。これらのような、レアケースを除けば、やはり、大手トップ

のマンションは建物設備も優れていますし、管理体制などは良いものばかりです。

では、プロの建築家や我々プロの不動産の人間も良いものだと判断するこれらの大手マンションが

信用できなくなったら何を信用すれば良いのでしょうか。

 

やっとここから、私なら、私のような小さな地元の不動産会社なら、について言わせていただきます。

 

まず、今回のようなことは事前に見抜くことができるか?

 

はっきり申し上げます…    できません。

建築のプロでも見抜けず、地下の見えないところにある問題を事前に見抜くのは無理です。

 

しかし、マンションの建っている土地がどんな場所か、そこが以前、昔、どんな場所だったか

地元生まれ、地域に根ざして不動産業を40年近くやってきていますから、5・60年前ぐらいのことならば

父や周りの大人たちから、地元周辺、近隣の地域のところまで直接聞くことができます。

新しい大きな建物などが建つと、よく、商店街役員の集まりでは年配の役員から

「昔はあそこは、×××だったんだよな~」なんて感じで耳にします。

 

また、周辺の物件であれば、地域でどんな噂があるとか耳にしたり、誰かしら知り合いが住んでいたり、と

何かと、情報も入ってきます。

知る限りでデメリットがあれば、お客さんにお伝えします。

マンションが建っている土地、地盤が大事で、そこがどんな土地だったのか、は、ある程度把握しているエリアで

普段の商売はしています。

 

こういった情報を物件選びに生かせるといえば、 … そう、中古のマンションです。

私はかねてからの持論で、マンションは中古で買うのが良いと、言い続けてきました。

 

基本的に、新築マンションはマンションデベロッパー自体が販売を行い(若しくは系列不動産)、通常

我々のような仲介をする不動産会社では販売できません。つまり、我々が扱うマンションは

ほとんどが中古マンションとなります。

 

新築マンションを扱えないから、中古マンションを勧めているわけでなく、様々な情報を生かし

立地や価格の妥当性、管理状態も含めた総合的な判断材料が豊富にあるわけです。

 

私は新築戸建の建売を買っていただく際も、まだ土地の状態(まだ建物が建っていない)で、ご契約を

いただくことはしません。最低でも、室内に入り、2階に上がって窓の外を見てもらうような

ほとんど完成後の物件で、よく見て検討していただき、ご納得いただいてご契約いただいております。

 

不動産の購入は、最終的には購入されるお客様御本人の責任です。

 

そのお手伝いをすることが仕事である以上、入居した後で「違った」と思われるようなことだけは

絶対にしたくありません。不動産の購入がまだ見ぬ(未完成の)建物でギャンブル的になっては

いけません。だから、価格の妥当性を含め、買う側の様々な判断材料を生かせる中古での

マンション購入は理にかなっていると思っています。

また、最近ではリノベーションによって、新築同様、しかも自分の求めるスタイルに自由に

作りこむことができます。

 

モデルルームを見るだけで判断される、新築マンション購入を否定しているわけではありませんが

そこにしか目が行っていなかった方がいれば、中古の安心できるマンションを選ぶことも検討の

一つに加えてみるのも良いかもしれません。

 

最後に、今回のマンション同様、傾きなどで問題になっているマンションは、他にもまだあります。

そこでは、このマンションのような扱いを受けられずに困っている方々が大勢いらっしゃいます。

今回の横浜の例をきっかけに、手厚い補償を受けられるようになっていただけることを

願うばかりです。

 

 

株式会社久富  代表 内田直克