壮絶な本を読みました。
感情移入せずにはいられないところが多く、3日かけて一文字一文字じっくり読みました。
詳細な記憶と記述から、卯月さんがひとつひとつ丁寧に受けとめ、子育てを懸命にされていらしたと強く感じられました。
隅々まで明生さんを想う愛情に溢れていましたが、読み進めるのは辛い本でした。
わずか15歳で自らの命を絶った中学の同級生の事も、娘の事も重なり、いろいろと考えました。
医療や学校の対応には強く怒りを覚えました。
娘に聴覚過敏があった当時の学校でも、教員の自分勝手な解釈や一方的で暴力的な対応であったり、そもそも話を聞いていなかったりで、何度も学校へ足を運び、複数の教員と面談を行った結果に失望し怒りを覚え、これが教育なのか、虐待ではないかと思える事もありました。
娘の場合は、大きな音が苦手だと入学前に伝えていましたが、ある教員は娘の目の前で曲を流し、それは隣の隣の教室で授業中の担任がうるさくて駆けつける程の音だったり、
またある教員は、授業の最前列の席で涙を流しその場から動く事も出来ない娘に気づかず、心配したクラスメイトの訴えを「うるさい」と退け、話を聞く事はなかったそうです。
そして、娘は音に震え吐きそうになりながらもじっと耐え、何とかやり過ごそうとしていたと後で知りました。
どちらの教員も担任と特別支援コーディネーターが授業改善を指摘しましたが、当該教員からは娘への謝罪も家庭への連絡もありませんでした。
中学では欠席なくレポートとペーパーテストは三年間満点でしたが、コーディネーターの指摘を不貞腐れた様子で聞いたという某教員は真ん中くらいの成績評価をくれ、その評価を見た娘の友人は、自分が顧問の部活に所属する生徒には授業中に寝ていても最高評価を出すと評判の教員だと教えてくれました。
学校のイベントを観に行った際に一人舞台上で興奮しながら一方的に感情を振り乱していたその教員と本の中の激昂する人物とが似ていると本能的に感じました。
高校では入学時にコーディネーターと面談を行いました。
プロの音楽家から教員になった方が、授業中の音に対し娘だけでなくクラス全員へ配慮してくださった様子は何度も聞きました。
自らミュージカル舞台を観に行きたいと娘が言った時には、学校という小さな世界でも教員が生徒に与える影響力に大変驚きました。高校での成績は10段階で最高評価でした。
わずか週に一度、一年間で娘に「音」の楽しみを教えてくださったその先生は、本当に素晴らしい先生でした。
ひつじは仕事柄、たくさんの小さなお子さん達と出逢います。
ご家族と離れて過ごす様子については、文章や会話や写真などを通して伝えています。
伝わる部分は100%ではありませんが、これからも様々なかたちで保護者とのコミュニケーションを大切にして、お子さんの成長と発達を積極的に見守っていきたいと思います。
自分の言動が子ども達に与える影響について改めて考える機会を頂きました。
卯月さん、明生さんがご家族に愛され、真っ直ぐに繊細な心で懸命に生きた軌跡を読ませて頂きありがとうございます。
この本の表紙絵をじっと見ていた娘にどうしたのかと尋ねたら、
「きれいな絵だったから」と言いました。
明生さんの繊細さが感じられる絵です。
明生さんのご冥福をお祈りします。