朝日新聞への投稿短歌・俳句で「原発」、「原爆」に関連して詠まれたものを抜き書きした。
顔のきず皺(しわ)に隠して被爆せる友は逝きたり愚痴もいはずに
(西海市)原田覚 (1/12 馬場あき子選)
汚染水「アンダーコントロール」にて外界へでるか五輪後某日
(福島市)青木崇郎 (1/28 高野公彦選)
帰還などできぬ出来ぬと雉子(きじ)がなく被曝塗(まみ)れの雑木の田畑
(いわき市)馬目弘平 (2/2 馬場あき子選)
もはやここが「最終」なのか雪止まず無数のタンクとフレコンバッグ
(朝霞市)青垣進 (2/9 高野公彦選)
陽だまりの校門静かプレートに原発からの距離書かれおり
(藤枝市)菊川香保里 (2/9 高野公彦選)
白椿咲くふくしまの墓じまひ終へてむなしき更地二坪
(国立市)半杭螢子 (2/16 高野公彦、永田和宏、佐々木幸綱選)
町の未来は町に住まいて語らんと二月浪江に帰還(かえ)る友あり
(福島市)青木崇郎 (2/16 佐々木幸綱選)
被爆せる母娘に水をやるために再び戻る白昼の夢へ
(西海市)原田覚 (3/1 佐々木幸綱選)
汚染とはホモサピエンスの問題で地球は何も困っておらぬ
(松本市)馬木和彦 (3/8 高野公彦選)
人のなき町に残され餓死までの牛のかじりし牛舎の柱
(郡山市)渡辺良子 (3/8 馬場あき子選)
この国が「想定外」に弱きことフクシマでもう知っていたのに
(水戸市)中原千絵子 (3/15 馬場あき子、佐佐木幸綱選)
原発の汚染の始末まだなのに水害に遭い肺炎が来る
(郡山市)柴崎茂 (3/22 馬場あき子選)
猪も原発事故も乗り超えしこの山畑に今別れ告ぐ
(仙台市)古谷隆男 (3/22 佐々木幸綱選)
九年経ち未だフクシマと呼ばる春
(いわき市)馬目空 (1/28 長谷川櫂選)
粉々に砕け散りたる春惜しむ
(福島県伊達市)佐藤茂 (3/15 長谷川櫂選)
被曝地の分校跡の春の空
(いわき市)馬目空 (3/22 大串章選)
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