初めて女の子になったさくら。
室内で飼っていたので安心していた。
隣家の人が「うちの大ちゃんの所へ来ていたけど」と教えに来たくれた。
大ちゃんは隣家で飼われているさくらの3倍近い大きな渋い男の子。
「・・・・・・」
乳房がこころなしか大きくなってきたかのよう。
病院で診てもらうと、「5匹いますね。でもこの内、1匹は大きいので普通出産は大変かもしれません。帝王切開の方がいいと思いますよ。」
大きくなるお腹。大儀そうなさくら。だんだん出産日が近づいて来る。
とうとうその日がやってきた。診察室で不安そうに見つめるさくら。家で待つ。
時計ばかりが気になる。娘は仕事を早めに切り上げ、息子は部活を休み、家族で病院からの電話を待つ。
「どうぞお越し下さい、赤ちゃんもお母さんも元気ですよ。」電話から明るい先生の声が聞こえてきた。
急いで病院に行くと、さくらの横に5匹の赤ちゃんが。
はしゃぎまわっていたあのさくらがすっかりお母さんの顔になっている。
うるうるする私、娘はビデオをまわしている。
5匹の内4匹はもらわれて行き、残った1匹が“モコ”
そんなさくらは今年12歳、モコは9歳に。
横浜から北海道に移り住み、気ままに暮らしている。