
『遭難未遂事件』から3日後、再び彼の地を訪れた。
今回のキノコ採りは、A氏、M氏との3人組。
当初は、M氏と『キノコ山』に出かけるつもりでいたのだが、諸般の事情により、このような変更になった。
本日は、夜明け直前まで雨が降る予報なので、安全という観点からも、こちらの方が良かろう。
車を駐めて身支度を整えると、森に潜入する。
「ここは、足元でなくて、頭の上を見てけろ。」
「はああ???」
この山に初めて入るM氏は、何を言われているのか分からない様子。
「んだがら、ここのキノコは、殆ど頭の上さ生えるんだズ。」
論より証拠、
立木のムキタケ
実物を見ると、
「ああ~、この前見っけだ木とおんなじな。」
と言って探し始めた。前々回の立木ナメコを思い出してくれたようだ。
「お見事!」としか言いようのないキノコの群生
M氏は、夢中になってムキタケ採りをしている。
マタギは、この地のムキタケが無尽蔵に採れることを知っているから、そんなに頑張らない。
A氏に至っては、本日は、ムキタケを採る気がないみたい。
とにかく、車から降りて間もなくの場所だから、歩く苦労は殆どない。もちろん、川を渡るなんてこともない。
そうして間もなくすると、
今年も健在な『ラスボス』
なんとも見事なナメコの木です。ナメコの数もさることながら、超肉厚の極上ナメコであることが分かります。
しかし、悲しいかな、この木は、断崖の上にせり出している上に、ナメコの生えている場所がかなり高いんですよ。
去年は、
「このナメコは酸っぱい。」
と言って、採ることを止めたマタギたちでしたが、ここに来て、やおらA氏が動き出しました。
ナメコを採り始めたA氏
古い渓流竿に、川虫捕り用のタモを括り付けてナメコを落とす作戦のようです。
さては、去年から考えて、この作戦を立てたのだな。
マタギも作戦は準備していたんです。
ナメコ採りの飛び道具です
マタギの作戦は、カマで切り落として、落ちるナメコを下でキャッチする方法。残念ながら、この木では、『キャッチ』の方が無理です。これは、主にムキタケ採りで使うことになりました。
「養生テープでつないだんだけど、これは、濡れるとだめだね。」
なるほど。A氏は、次の作戦を考え始めているようです。
こちらも、次の作戦を考えておいた方が良さそうですね。
・・・この辺が、この採り場での楽しみなんですよ。手の届かないキノコをどうやって手に入れるか、知恵を巡らせながら試行錯誤する楽しみ。年寄りでも、童心に返ることができます。
さて、高い場所に手が届かなくても、
こんなのや
こんなのが生えています(これは来週用)
今回も、十分な収穫を戴くことができました。
「なんだズ。今までの苦労は何だったのかと考えてしまうぞ。」
「これは、『ナラ枯れ』のせいな。この状態が何年続くかは、分からない。だけど、せっかくの自然の恵みだから、楽しませてもらいましょう。」
「うん。それはいい。ただ、ここには、苦労して見つける喜びがないズね。」
それも、その通り。
アカゲラやアオゲラたちの開けた穴
この現象は、多分、一部の鳥たちにとっても、思いがけないプレゼントなんだと思う。
このプレゼントが、いつまでも続くとは思えないんだけど、そうなったとしても、その時には、別の形で、人間を含めた生き物たちに幸せをもたらしてくれるといいなあ。
紅葉とキノコの世界(見える?)
それから、M氏が言うように、自分の全身・全力を使って自然と対決するキノコ採りもずっと楽しみたいなあ。
ちょっと贅沢な望みかもしれません。でも心からの願いです。『キノコ追いし彼の山』が末永く保たれていきますように。
山の神様、天気の神様、これからも、どうかよろしくおねがいいたします。
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