山形のホリデイマタギ日記

山菜とキノコと魚を採って遊ぶ年寄りの冷や水日記

キノコ採りは、楽しみの内のひとつ

2021年08月26日 | キノコ採り

 早朝、目覚めると気象情報を調べる。問題はなさそうだ。前回のキノコ採りから、まだ3日しか経っていない。それなのにキノコ山に出掛ることにしたのだ。というのも、実は昨夜のこと、

 ふと目覚めると、枕元に女性が立っていることに気付いた。どこかで会ったことがあるようなないような。・・女は、静かに語り出した。

「この前、あなたは、なぜ私の所に来てくれなかったの?」

すぐに思い出した。『○○』さんだ。

「そ、それは、雨上がりで川の水も増していたから、命を守るために仕方がなかったんだ。」

「そうなの、水が増したから・・・。」

女は目の奥を光らせて、じっと私の目を見つめ、瞬きもしない。こちらの心の奥底まで見透かされている気がする。

 ここは、嘘ごまかしは一切なしだ。本音で語らなければならない。心の中で警戒警報が鳴っている。

「そう、増水も心配だったけれど、そこに辿り着くまでの様子を見て、これは無理だと考えたんだ。」

女は、なおも私の心を探るように見つめながら言った。

「そう、無理だと思ったの・・・。それで、今日は来て下さるの?」

一瞬のうちに思考が頭の中を駆け巡る。休日となる今日、断る理由は全くない。

「行かせてもらっていいかな?」

ようやく女の視線が和らいだ。

「まあ、来て下さるの?じゃあ、お待ちしてますわ。・・・もし、嘘だったら、いえ、そんなことはありませんよね。」

 気がつくと、女は消えていた。

 ・・・とにもかくにも、今日は行かなければなるまい。全然予定していなかったので、暗がりの中で山用品を点検・準備して車に詰め込んで出発した。

 マタギにしては珍しく、一般の休日の山業となった。最近は、滅多に行かないんだよね。だって、山奥とは言っても、やっぱり休日は人口密度が上昇して競争率も上がってしまうから。

 ところがだ、今日は山の中に誰もいない。天気が悪いわけでもないのに・・・。何かあるのか?少々の不安を覚える。

 身支度を調えて森に入り込む。

       しっとりと濡れた原生林を進む

 確かに女が言ったように、本流を渡ったのは半月前で、その後全然様子を見ていない。やはり、どんな状況になっているのか見ておく必要はある。

 本流の渡渉も問題なかったが、藪が発達していて道形が消えかかっている。おかげで、アブの攻撃は全く受けずにすんだが、既に全身ずぶ濡れだ。そうして、目的地、トビタケの精が宿る木に辿り着いた。

 でも、なんにもない。

 ここでさあ、ちょっとでもキノコの気配があったりすると、昨夜の夢と現実が結びついてドラマチックになるのに、本当にキノコのキの字もないのだ。・・なんだよう。

       これは、去年の画像

 でも、考えようかな?記録を見ると、上の写真が9月の中旬のもの。トビタケ史上、最も遅く出たトビタケなんですけど、出会うのが僅かに遅かった。一昨年は、もっと早く出たんだけど、これまた手遅れで旬を逃してしまっているのだ。

 こうしてみるとトビタケの旬は、年によって大きくずれ込む。『タケさん』(女の名前:トビタケの精と思われる)は、このことを告げたかったのかもしれない。2年連続で収穫を逃している『タケさん』。今年こそは、丁寧に様子見をして収穫してほしいのかもしれませんね。

 さて、帰り道、

       チチタケは至る処に出ている

やっぱり、今年のチチタケは豊作のようです。でも、本日は採りません。実は、

       チチタケとナスのピリ辛炒め

うちの食卓にも出番を待っているチチタケがいっぱいいるんです。

 「そのまま帰ってもいいの?」という天からの声が聞こえてきそうですが、いいんです。

『タケさん』との約束を果たせたし、収穫がなくたって、マイナスイオン溢れる原生林でたっぷりと散歩が出来たし、鮮烈な渓水で水浴びは出来たし、自然鑑賞会まで出来ました。

       いい森です

       景色もいい

       花もいい(ハンゴンソウ?) 

やっぱり、考えようですよ。山遊びの楽しみって、一石二鳥どころか三鳥にも四鳥にもなる。その中で、キノコの収穫は、ほんの一部。他の喜びに満足して、全く採らずに帰る日があったって悪くないよね。

 帰宅したら、台所に収穫物用の新聞紙が敷かれていた。家族には、何も話さずに出掛けたはずなのに・・・。まさか、言われないよね。

「あなたは、なぜ何も採ってきてくれなかったの?」

なんて。

 なにはともあれ、本日も、

 山の神様、それに『タケさん』ありがとうございました。また、遊びに行きますね。      

 

 


よあそび(さんぽうた100)

2021年08月25日 | いきもの

  よあそび   かぶとむし とむ

 

せんせい

ぐあいわるいっす

どんなかんじだ?

なんだか、あたまがおもいっす

ほかには?

めが あかなくなってきました

じことかは?

ありません

しょくじは?

しっかりたべました

よくねたか?

いや、ねてません

なんで?

だって、なつのよるは

ち がさわぐっす

おまえ、がっこうまちがえてないか?

かぞくと そうだんしなおしてみます

 

       当地は自然豊かで

       植物も多種多様

そういう環境だから、動物たちも元気に育ってます。

 でも、散歩道で出会って、少々情けないのがこのお方。

       元気?

       げ、げんきじゃない

 はっきり言ってヘロヘロです。可哀想すぎるので日の当たらない藪に置いてやったけど、無事だったでしょうか?

 最強の昆虫、子どもたちのアイドルのはずなんですけど、昼間に出会う『トム君』は、ちょっと情けない。まるで、二日酔いのマタギみたいです。

 原因は、夜更かしによる昼夜逆転でしょう。まあ、習性ですからね。仕方ないんですけど、せめて、子どもたちの前では、勇ましい姿を見せてほしいものです。

 子どもたちも、真似すんなよ。


ハナビラタケ保存、うまくいったみたい

2021年08月24日 | キノコ料理

 山菜やキノコ採りって、天候や季節の変化・進行を読んで見つける楽しみと、思いがけない出会いがあったりなかったりするギャンブルのような楽しみとが混在するゲームのようなものだ。

 一方で、採ってきた山菜キノコを如何に美味しく戴くか。こちらも大きな楽しみだし、次の収穫に向けての原動力になる。

 そんでもって、この収穫と消費のバランスがピタリと合えば言うことなしなんです。でも、そんなにうまくいくはずありませんよね。なんてったって、相手は自然界なんだから。

 で、このところの供給過剰状態に、どう対応したかを記録しておくことにしました。まずは、

  ≪ハナビラタケの乾燥保存≫

 ・小分けにした房を天日で干しました

       ここまでは順調でしたが・・・

 ・日が暮れてきたので家の中に避難

 この次の日から、梅雨を思わせるような天候が続いたため、なかなか乾きません。乾かないと香りに惹かれるんだろうね、いろんな生き物が集まってくるんです。その辺の駆け引きを主に妻にやってもらいながら1週間経過。

 ・ようやく真夏の日差しが戻った本日、ほぼ完璧に乾燥品が出来上がったみたいです。

       こんなに小さくなりました

       重さは120g、約1/10に減りました

 ・色々考えたんだけど、これを冷凍保存することにしました

       このまま冷凍庫へ

 今後、必要に応じて適量を戻して使う予定です。

 実は、キノコの乾燥保存って、条件が悪いと乾燥前に、それこそ蝕まれてしまうんです。きっと虫にとっても美味しいんでしょうね。乾いてしまうまでが勝負です。ここは、ある意味で綱渡りです。好天が続けば難しくないんですけど、この夏のように雨が続いてしまうと非常に気を遣います。

 今回の場合、ここにきて、太陽が顔を出してくれたので助かりました。

 お日様、ありがとうございました。そして、妻よ、ありがとう。大切に戴きますね。


チチタケの旨みを追求

2021年08月23日 | キノコ料理

 昨日の山歩きは、本命のトビタケこそ採れなかったものの、色々なキノコとの出会いがあって楽しかった。何よりも、原生林の中を歩き回れたことだけで、いい汗をかけ、リフレッシュになった。

 さて、今回の収穫物ですけど、

       チチタケさんたち(一晩塩水に浸けたら萎びてきた)

またまた、チチタケを連れ帰りました。

 で、料理なんだけど、前回の『ナス炒め』が凄く美味しかったので、今回も作ります。ただね、同じ料理だけだと、進歩も変化もなくてつまらないじゃないですか。もう一品、試してみたいですねえ。例によってチチタケ料理を調べていく。そうして見つけたのが、

  ≪チチタケご飯≫

 何やら、チチタケの弱点を克服する画期的な料理らしい。・・弱点というのは、ボソボソという食感ね。

 面白そうじゃない。やってみましょう!

 下ごしらえ・調理の部

 ・チチタケの部位でも特に食感の悪そうな『柄』の中から数本をみじん切りにします

       これを

       こうして

 ・FPで更に細かく砕きます

       『低速』でしばし粉砕

       こんな風になりました

 ご飯を準備します。

 ・米1合をといで、だし汁(顆粒ダシ使用)1カップで炊きます

 ・沸騰したら、先ほどのチチタケ適量と塩ひとつまみを加えて弱火で10分

 ・消火後10分ほど蒸らしてから全体をかき混ぜます

       いい感じ

 味見してみると、すごく旨いですね。キノコの旨さたっぷりで、なおかつ、弱点だったボソボソ感は消えていました。

 これで充分なのですが、参考にしたレシピでは、『バターをひとかけら』と書いてあったので、試してみました。これはこれで、また違った美味しさを楽しめますね。どちらも、極めて美味しいです。それから、親子丼じゃないんだけど、別に作った『チチタケナス炒め』を乗せると、これまた非常に美味。こいつは、儲けものだぜ!

 それにしても、キノコ歴幾星霜。ここまできて、こんなおいしさに出逢えるとは思ってもみませんでした。家族にも好評だったので、今度採ってきたら、また作ってみます。

 それにしても、山の恵みに感謝です。山の神様、ありがとうございました。


本命不在のキノコ採り

2021年08月22日 | キノコ採り

 夏が終わったかのような天候がようやく一段落して、気温も上昇してきた。8月も後半戦まで来ているんだから、そろそろ発生してくれよな。そんな思いで、キノコ山に出掛けてみた。

 前日から未明まで雨だけど、その後、曇り空で推移する予報だから、本日に関しては悪くない。

 ただ、問題になるのは、ここまでの天気。降雨が多かったことに加えて、気温が低すぎる。お盆期間中の最高気温が20度を切って、最低気温は、16度前後の日々。平年値を大きく下回っている。これは、秋キノコの王様、マイタケが発生し始めるくらいの気象状況だ。

 こんな状況で、本命のトビタケは、目を覚ましてくれるのかなあ。『日照りトビタケ』という異名を持つぐらいのキノコ。まあ、歌手に例えるなら桑田佳祐(???)みたいなお方だから、この天候には、ちょっと似合わない気がする。でも、もしかしたら、ちょっと顔を出してバラードを囁いてくれているかも。・・・っていうぐらいの、淡い期待を抱いての山業である。

 今回はA氏が同行。夜明け時刻頃に到着。夏山シーズン(登山)は終わったようで、車止めまで、人の気配は一切なかった。

       黄葉が始まっていた木々

 驚いたことに、木々の一部に黄葉が始まっていた。昆虫による『ナラ枯れ』は、葉が茶色くなるので、これは違うと思う。お盆期間の異常な低温に、木々が秋と勘違いしての反応ではないかな。

 実は、マタギの散歩コースでも、ここに来て、実りつつある果物の片脇で花を咲かせ始めた枝が増えてるんです。植物も、この異常な気温の変化についていけずに、勘違いしてるんだと思います。

 さあ、キノコはどうか!

       沢を渡って奥に進む

       A氏がエゾハリタケを発見

       続いてキクラゲ

 ちょっと古いかな?次までに、お友達を増やしていてね。

 肝心のトビタケは、全く気配無し。本命のキノコは、今日も不在のようだ。しょうがないや、こういう年もある。早い年もあれば遅い年もある。豊作の年も不作の年も・・・。

 記録を紐解いてみると、9月に入ってようやく出てきた年だってあるんだから、諦めずにのんびりと待ちましょう。

 ちなみに、

       A氏がハナビラタケを発見

       チチタケは豊作みたいな気がする

 いろんなキノコ達が、それぞれの事情で発生したりしなかったりしているみたいです。

 その辺の生き物達の事情を読み切って収穫できれば言うことないんですけど、マタギの判断は、当たったり外れたり。修行の道のりは、まだまだ遠いみたいです。

 本命不在のキノコ採りになってしまいました。マタギの積み重ねてきた経験と知識の浅さというか、不足している要素も、少しだけ見えてきた気がします(間違いないのは、気温だけが条件ではないということ)。

 一応、収穫がないわけではなかったし、次につながる視点もなんとなく見えてきた気がするので、良い経験になったと考えましょう。

 

 山の神様、本日もありがとうございました。また来ます。