山形のホリデイマタギ日記

山菜とキノコと魚を採って遊ぶ年寄りの冷や水日記

救いのキノコ達

2021年08月14日 | キノコ採り

 本日は、延期になったキノコ採りの日。ふっと目覚めると午前3時前。目覚ましよりも10分だけ早い。この早朝起床の習慣、すっかり身についてしまった感じ。

 気象情報を確認するが、不安要素なし。安心して出発できそうだ。

 出発前の用具点検、OK。でも待てよ。雨上がりとは言っても8月半ば、アブの最盛期だ。足回り用具だけは、助手席に移しかえておくことにする。

 ちょっと説明しておきます。夏になると、山でも川でもアブが大発生します。この子達、スズメバチなんかと違って、命にかかわるような危害を加えることはありません。ただねえ、刺されると痛痒いんですよ。しかも、人海戦術(虻海か)で無数に纏わり付いてくるものだから超厄介。さらに、普通の防虫スプレーが効かないものだから、ますます厄介なんです。

 ただ、防御方法がないわけでもない。その一つが、アブも入り込めないような濃い藪に逃げ込むこと。これで、殆どのアブは諦めてくれます。その代わりに、こちらも朝露でずぶ濡れになったり無駄な体力を消耗することになります。

 もう一つが、完全装備で立ち向かうこと。厚手のズボンに長袖、手袋に防虫ネット。これなら負けません。・・・でもねえ、これで楽しいの?と問われれば、胸を張って答えましょう。

「楽しくない!」

 じゃあどうするか。実は、アブには、『低い高さで攻撃してくる』という習性があるんです(多分、日本の森にキリンはいないから)。だから、身をかがめなければ、それほどひどい目には遭わない。

 収穫でかがむ時は仕方ないがな。でも、いよいよスタートという、朝一番の身支度の時に襲われたら堪えますやろ。んなもんだから、車中で身支度ってことになりまんねん。

 説明がちょっとでなくなってしまったけど、この時期の山の事情、分かって貰えたでしょうか。こんな風に、マタギ達も、ただ濡れ手に粟で収穫してるわけではないのですよ。

 さて、山に入って状況を観察する。

       さすがに水量は多い

登山道は安定しているのだが、さすがに大雨や洪水の注意報明けだ、本流は結構増水している。

       沢の水量は落ち着いています

 こういう時には、上流や小沢から先に安定し、下流ほど遅れて増水したり落ち着いたりするものです。で、更に上流部なんだけど、

       深いガスに包まれています

 これは、まだ降っているか、これから降り出すか分かりませんね。この時点で、完全に本流の渡渉は、諦めました。

 一応、登山者(山頂を目指す人)と山師(道なき道を行く人)との分岐点まで歩いてみたけれど、目的のトビタケは全く影も形もない。

 「ないものはないんだから」と引き返そうとしたとき、山の上の方からいい香りが漂ってくることに気付きました。

 これは、キノコですね。美味しい香りです。普通は登らないんだけど、匂いに誘われて登山者の領域に踏み込む。

 始めは、トビタケの香りかと思ったんだけど、登るにつれて分かりました。

       香りの主はこのお方みたいです

 分かりますか?

       刺激を与えるとそこから白い汁を出します

そう、『チチタケ』です。このキノコがポコポコ生えていたんです。

       可愛いですね。食べ頃かな?

 これをある程度いただけたのでホッとしました。これで、手ぶらでの帰還はなくなりました。安心したら、心に余裕が生まれてきたみたい。下流部に広がる針葉樹の林が思い浮かんできました。そう言えば、『キノコのクイーン』もそろそろだよなあ。入ってみるか。

 車を下流に移動させて林に入り込んでみると、

       おおっ、出てる!

       こっちの株はでかいぞ!!

 ハナビラタケが食べ頃です。さすがは『クイーン』相変わらず麗しいお方たちです。この2株だけでハケゴが満杯になってしまいました(2㎏)。嬉しい計算違いというか、予想外の結果です。

 本命のトビタケが空振りだっただけに、このキノコ達には救われました。

 山の神様からの、思わぬプレゼントに感謝を伝えて家路につくことが出来ました。