gooブログはじめました!

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

三角形と同一面積をもつ正方形

2024-10-20 08:35:30 | ブログ
 NHKテレビの数学教室で、秋山仁先生が三角形を4分割してこの三角形と同じ面積をもつ正方形を組み立てる方法を披露しておられた。

 そこで、この三角形は正三角形であると仮定して、三角形を4分割して同面積の正方形を構成する方法を計算してみた。しかし、正三角形の底辺の長さが2のとき、高さはSQRT(3)になる。そうすると、正三角形の面積はSQRT(3)になるので、正方形の辺の長さは3の4乗根になる。正三角形を4分割して寸法が4乗根の項をもつピースを切り出すことはできそうもないので、正三角形は諦めることにした。

 その代わりとして、底辺の長さが2で高さが2の二等辺三角形の場合について計算することにした。こうすると、三角形の面積は2となるので、同面積の正方形の辺の長さはSQRT(2)になるとともに、三角形の辺上の4つの点は左右対称となり、シンプルな計算問題となる。

 三角形ABCの頂点の座標をA(1,2), B(0,0), C(2,0)とする。辺ABの中点をK(1/2,1)とし、辺ACの中点をL(3/2,1)とする。辺BC上に点M(m1,0)と点N(n1,0)をとり、線分MLと線分KNの交点をP(p1,p2)とする。



 ベクトルMLの中点がP(p1,p2)に一致するとすれば、
   ((m1,0)+(3/2,1))/2=(m1/2+3/4,1/2)=(p1,p2)
の式を得る。この式からm1/2+3/4=p1, p2=1/2となり、p2の値が決まる。

 BM=NCとすると、m1+n1=2であり、m1=1/2, n1=3/2と仮定できる。これによってp1=1となり、p1の値が決まる。

 正方形の図からKP=PNでなければならないから、ベクトルKP=ベクトルPNの条件からp1-1/2=n1-p1およびp2-1=-p2が成り立たねばならない。上記のn1, p1およびp2の値はこれらの式を満足する。

 正方形の4角は各々直角であるから、ベクトルMPとベクトルPKは直交しなければならない。この条件を式で書くと、
   (3/2-m1)(1/2-p1)+(1-p2)=0
である。上記のm1, p1およびp2の値はこの式を満足する。

 最後に、両面積が一致することと、チェックしていない線分が整合することをチェックしておこう。三角形ABCの面積は2である。正方形の面積は、2PN×2PL=4SQRT(1/2)×SQRT(1/2)=2であり、一致する。また、三角形PMNについて、PM=SQRT(1/2), PN=SQRT(1/2)であり、MN=1であるから、PM^2+PN^2=MN^2が成り立ち、これらの線分の長さは元の三角形上の線分の長さと一致する。

 三角形を4分割して正方形に組み直すとき、分割したピースの線分の長さや頂点角の大きさは、他のピースと相互関係をもつことになる。すなわち、ピース間で情報の相互関係を示す情報ネットワークが新たに創発する。それによって分割した三角形のピースが自然に集まり、正方形に相転移する。RNAや生命体を構成する多くの分子が分子間力や分子間の相補性により集まって結びつき、相が異なる分子ネットワークを構成する状態と似ているような気がする。

宇宙の膨張とハッブル定数

2024-09-29 08:29:13 | ブログ
 千葉大学の大栗真宗先生の「宇宙の大きさってどれくらい?」と題する講演を聴講した。宇宙論において重要な物理定数であるハッブル定数の精密な値を得て、それから宇宙の大きさを推定しようとする試みである。

 宇宙は膨張しており、我々からみて遠くにある銀河の後退速度vは、H0を現在時刻におけるハッブル定数、遠くの銀河までの距離をrとすると、v=H0rの式から計算できるとされる。

 しかしながら、遠くの銀河が光を発したのは遠い過去の時点であり、その時点から現在時刻までの間には過去の宇宙膨張分の積み上げがあるはずであり、v=H0rのような線形式にならないのではないかと疑問に思っていた。そこでこの際、H0が何を意味するものか、再検討することにした。

 この式のH0は現在時刻の値であるから、vとrも現在時刻における変数と考え、v0=H0r0と書く方が分かりやすい。しかし、v=H0rの式は、遠くにある多くの銀河に適用可能であることを示すために、現在時刻よりもそれを優先して(v,r)を変数表記としたのであろう。

 距離r(t)は、r(t)=a(t)xの式で表現される。スケール因子a(t)は1Mpcを単位として付された物差しの一目盛り分の膨張と考えればよく、xはこの目盛り単位で計数する銀河間の距離である。

 銀河の後退速度vは
   v=dr/dt=(1/a)(da/dt)r=H0r
で得られる。定数のaは目盛り単位であり、1Mpcである。rを現在時刻での宇宙膨張なしの距離(つまりr0)とみなすと、x=r/aとなる。こうしてみると、ハッブル定数H0は、関数v=f(r)の単位目盛り当たりの微分係数であり、現在時刻での膨張速度を意味することが分かる。

 宇宙は、一様等方であるとみなすので、時刻が同じであれば宇宙空間のどの部分に1Mpcの距離をとっても膨張速度は同じと考える。銀河間の距離を1Mpcを単位として計数したとき、その値xは時間にはよらず、スケール因子a(t)が時間依存となる。

 同じ時刻のときの全宇宙の膨張速度da/dtが同じとすれば、異なる時刻のときの全宇宙の膨張速度もその時刻において同じと考えてよいはずである。そうであれば、遠くの銀河までの時刻r(t)が異なっても1Mpc当たりの膨張速度として平均値は同じ、すなわちハッブル定数H0は同じと考えてよいのではなかろうか。なお、近くの銀河と最遠の銀河とでは宇宙膨張分の積み上げ履歴が違うはずだが、そのような違いはH0に付いている+-の誤差範囲内に反映されているということだろうか。

 目盛りの膨張速度(1/a)(da/dt)は、一般相対性理論から導かれる目盛りの大きさの時間変化を司る方程式によって支持されており、v=H0rおよびr(t)の式は、シンプルな線形式にもかかわらず、観測値と整合することが確認されている。

 ちなみに、アンドロメダ銀河は天の川銀河から約230万光年離れているが、秒速120km程度で近づいている。1pc=3.26光年とすると、230万光年は0.706Mpcに相当する。1Mpc当たりの膨張速度を70km/sとすると、宇宙膨張分は49.4km/sとなり、引力により両銀河が近づく速度は、見かけの速度120km/sに減速分を加えて約169km/sとなる。1Mpcという目盛り単位は、できるだけ銀河間の引力の影響を避ける方向で決めたものらしい。

 参考文献
 二間瀬敏史著「なっとくする宇宙論」(講談社)

数学の不定方程式と相転移

2024-09-08 09:45:27 | ブログ
 2011年7月17日に投稿したブログ「数学の組合せ論に現れる相転移」が、いまだに自身の人気ブログ・ランキングに入るのを見て、数学問題と物理学の相転移とを関連付けることに興味をもつ人が少なくないことを知った。

 NHKテレビの数学教室で、解が不定の方程式を扱うというテーマの下に、いくつかの問題が紹介されたが、その中の一つ「フロベニウスの式」を知り、相転移と関連付けて語りたくなった。

 4円玉と7円玉の硬貨の組合せのように、x円貨幣とy円貨幣を各々0,1,2…枚組み合わせて任意の金額をつくるとき、組合せできない金額と組合せできる金額とが存在する。フロベニウスの式とは、組合せ不可となる金額の最大数をMとするとき、xy-x-y=Mの式で表現できるというものである。たとえば、x=4,y=7の場合には、M=17となる。

 x=2, y=3の場合には、M=1となるので、2以上の金額数の場合には、すべての金額が組合せ可能となる。多くの整数は2または3で割り切れるし、任意の素数はより小さい素数と偶数の和で表せると予想できるので、ありうることである。

 x=13, y=17の場合はどうか。M=191となるので、191が組合せ不可となる金額の最大数である。つまり、13円貨幣がm枚、17円貨幣がn枚とするとき、不定方程式13m+17n=191に整数解がないことを表明している。192以上の金額数のいくつかについてこの方程式の整数解が存在することを確認できる。

 x,yがより大きな素数の場合にも、Mは大きくなるが、Mを越える数値について、mx+nyが整数解をもつことが予想できる。すなわち、M未満の数値については、x,yの組合せの可否が不揃いであるが、Mを越える数値については、一転してすべて組合せ可能となる。強磁性を示す物質を加熱していくと、臨界温度を越えた温度でその磁性が失われる相転移の現象に類似している。

創発について語る

2024-08-18 11:43:06 | ブログ
 自然科学ダイアログで、「創発は部分と全体の関係を埋めるのか?」をテーマとしてダイアログすることになり、この機会に自分の見解をまとめておこうと考えて筆をとった。「創発」とは、非線形科学や複雑系科学で使われる用語であり、英語のemergenceの訳語と思われる。emergeという動詞からつくられたemergenceは、ひとりでに(自然に)出現する現象を意味する。「創」は「ひとりでに」を意味し、「発」は「発現する」を意味するのであろう。

 力学系において、系の構成要素が集団をつくると、全体として単独の要素の特性からは説明できないような物性を示すことがある。よく挙げられるのが、水分子がその温度を変えることによって、気体・液体・固体のように相を変える「相転移」という現象である。また、強磁性を示す物質を加熱していくと、ある温度(キュリー温度)でその磁性が失われることが知られている。相転移の一種である。また、高温状態にある熱源と低温状態にある熱源との間にある熱平衡状態にある液体について、二つの熱源の間の温度差を大きくしていくと、対流という別の物性を示す状態になる。熱平衡状態から対流状態への相転移である。これらの例は、構成要素どうしの相互作用が生み出す非線形現象である。

 保存力学系では、エネルギー保存則が成り立つとともに、系のエントロピーは最大のままその増減はないものと理解する。系全体の物理量さえ分かればよいのであり、ミクロな部分の物理量は意味をもたないことになる。

 散逸力学系では、エネルギーの散逸があるとともに、エントロピー増大の法則が成り立つ。多くの散逸力学系は、構成要素どうしが強く関係しあう非線形システムとなり、システムが自らを組織化していく自己組織化とよばれる現象を示す。ここでいう自己組織化とは具体的にどのような現象か解析できれば、その解析結果から説明できるものと考える。

 非線形科学の研究を通じて、全く異なる現象の間に共通の不変構造を見出すようになり、数理現象学のような分野が展開されることになった。その結果、人間の社会にも数学的な法則によって説明できる現象が少なくないことが見出され、特に人間関係のネットワークやインターネットがしたがう法則として、ネットワーク理論が有効なことが知られるようになったのである。

 世界には70億人もの人間が生活しているが、一人の人間が残りのすべての人間との間に情報交換のリンクをもつということはあり得ない。しかし、一人の人間は他の任意の一人の人間との間に平均して6段階の情報交換リンクがあればつながるという。隔たり次数が6という数値で表現できる。世間は狭いという意味で、スモールワールド・ネットワークと呼ばれている。

 一人の人間は、平均すると数十人の知り合いがいて、比較的強い絆の下に情報のリンクをもつことになるだろう。この人間を中心としてリンクの「群れ」をつくっているという意味で「クラスター化」していると言える。このようなクラスターは、全世界の人間に及ぶ類のものであり、かなり普遍的なものである。したがって、このようなクラスターの平均リンク数を用いてすべてのクラスターが規則的につながるようなネットワークのモデルをつくることは容易である。しかし、そのようなモデルの隔たり次数を計算すると、予想されるように大きな数値となり、6次の隔たりという現実世界を説明できない。

 そこで、このモデルに、対象者を任意に選んで二者間のランダム・リンクを加えてみると、隔たり次数が急激に低下することが分かる。全世界の人間の間の平均の隔たり次数を6にするには何本のランダム・リンクを加えたらよいか計算できるだろう。参考文献によると、「スモールワールドを作りだすためには、つねにごく少数のランダム・リンクがあれば十分である」という。ランダム・リンクは、クラスターを構成するリンクとは別枠となり、「弱い絆」のリンクと呼ばれるが、スモールワールド・ネットワークを構成するためには、決定的に重要である。

 参考文献の文言を引用すると、「隔たり次数は、ある場所と別の場所とのあいだで情報を行き来させるのに要する一般的な時間を表しているから、スモールワールドの構造は、情報処理の能力と速さに寄与することになる。」

 脳の神経細胞(ニューロン)のネットワークも、スモールワールド構造になっている。参考文献を引用すると、「脳は一つのまとまりをもった統一体として驚くほど見事に協調した働きをしており、どんな瞬間にも、完全に統合された意識の反応を一つだけ作りだしているのである。」

 別の自然科学ダイアログで、出席者の一人が、宇宙の大規模構造と脳の神経細胞のネットワーク構造とが類似しているという研究成果を紹介したことを思い出した。宇宙の大規模構造とは、宇宙に存在する数多くの銀河が形作る空間分布パターンのことであり、銀河団は互いにフィラメント状に連なって超銀河団を形作り、銀河が比較的少ない領域(ボイド)を取り囲んでいるという構造をもつ。宇宙の大規模構造は、誕生間もない宇宙で生み出された原始密度ゆらぎがその後の宇宙膨張と重力的進化にともなって成長した結果、形成されたものと考えられている。神経ネットワークの形成に際しては、宇宙膨張と重力の影響を無視できると考えられるので、それでもなおかつ両者の構造が類似しているとなると、システムの構成要素間に働く相互作用の種類が異なっても類似したパターンになるように自己組織化されるということだろうか。素人目には、重力の大きさが及ぼす作用の大きさを決める宇宙の大規模構造と、アクセス頻度の大きさがハブの影響力の大きさを決めるインターネットのリンク構造との類似性に注目したくなる。

 企業などの組織がかかわるデジタル・トランスフォーメーション(DX)は、単にIT化やデジタル化により業務を効率化するだけでなくデジタル技術を活用して組織や企業文化・風土を変革することとされている。これは、環境変化に応じて企業の相を変えることであるから、力学系における相転移に類似していると思われる。

 参考文献によれば、人間社会のネットワークもインターネットも、「すべて、ニューロンのネットワークや生体細胞内で相互作用している分子群のネットワークともまったく同じ組織的構造をもっている」とのことである。こうなると、細胞内の分子ネットワークは、どのような構造をもっているのか探究したくなる。

 ネット情報によると、細胞内分子の相互作用ネットワークよりも、細胞間相互作用ネットワークの方が早く明らかになりつつあるようだ。ほとんどの細胞が数十種から数百種のリガンド(細胞から分泌されるホルモンや成長因子など)や受容体(細胞膜に存在するタンパク質)を発現しており、複数のリガンドー受容体経路を介した細胞間相互作用ネットワークを構築しているという。この相互作用ネットワークの全体像から、細胞間コミュニケーションのために使用するリガンドー受容体ペアの種類数の多い細胞系列がハブとなり、その種類数の少ない細胞系列を圧倒していることが読み取れる。

 生体細胞内で相互作用している分子のシミュレーションが行われており、いずれ相互作用ネットワークの構造も明らかになるだろう。このネットワーク構造と細胞内タンパク質についての要素還元的な研究成果とを合わせると、細胞内で行われる自己組織化の詳細が理解されるものと期待する。

 生命とは何かについて、シュレデインガーの著作以後にポール・ナースの「生命とは何か」が出版されたり、「動的平衡」のような哲学的概念を提唱する人も出てきた。そもそも生命というものを「自己組織化」などの自然科学の用語や数式によって記述できるものか否か根本的な疑問がある。

 「生命」は俗語であるとともに、形而上学的な言葉でもある。宇宙が物質を駆動して行っているシミュレーションのうち、我々の意識が特別な構造をもつ物質の活動と捉えているものを「生命」と呼んでいる。そうであれば、「生命」とは我々の意識がつくりだす幻想かも知れない。「生きている状態」と「死んでいる状態」との違いは、同じ物質についての相の違いを意味するだけかも知れない。

 参考文献
 蔵本由紀著「非線形科学」(集英社新書)
 マーク・ブキャナン著「複雑な世界、単純な法則」(草思社)
 清水博著「生命を捉えなおす」(中公新書)

「円周角の定理」を証明する

2024-07-28 09:58:13 | ブログ
 NHKテレビの数学講座を見ていて、「円周角の定理」を知った。図に示すように、半径rの円周上に定点A,Bと動点Pがある。このとき、円周角APBは、一定値をとるというものである。



 円の中心をOとし、線分ABの中点をMとする。円周角APBの角度をaとする。角AOMの角度をbとする。三角形OABは二等辺三角形であるから、角OABと角OBAは等しく、各々の角度をcとする。つまり、2b+2c=PI(パイ)が成り立つ。角度2bをもつ角AOBを中心角という。

 角BOPの角度をdとする。三角形OAPは二等辺三角形であるから、角OAPと角OPAは等しく、各々の角度をeとする。三角形OAPについて内角の和をとると、
   d+2(b+e)=PI
となる。

 三角形OBPも二等辺三角形である。角OBPの角度をfとする。三角形OBPについて内角の和をとると、
   d+a+e+f=PI
となる。f=a+eであるから、
   d+2(a+e)=PI
となり、
   d+2(b+e)=d+2(a+e)
が成り立つ。
 すなわち、a=bとなり、円周角APBは中心角AOBの半分に等しいことが証明された。